痛みの探偵

今回は須田先生の著書である『痛み探偵の事件簿』から、ハイドロリリース(エコーガイド下ファシアハイドロリリース)の有効性を、リアルな医療現場のお話を通して学ぶことができました。特にファシアにご関心のある鍼灸師の先生には大変興味深い本だと思います。

漢方薬については、お医者さんの中にも理解が広がっていると思いますが、残念ながら、鍼灸に関してはまだまだ「胡散臭いもの」という印象ではないかと思います。その意味では、鍼灸を理解いただくためにも“共通言語”は必要であり、そして“ファシア”は多職種連携を進めるための”共通言語”になりえる極めて重要なキーワードだと思います。

ファシアは内臓を含めた全身に広がる膜の組織なので、筋骨格系(整形外科)だけでなく内臓系(内科)の疾病の改善にも関係すると考えています。

※ファシアについては、ブログ:”経絡≒ファシア1”、”経絡≒ファシア12(まとめ)”および”ファシアの基礎”をご参照ください。 

痛み探偵の事件簿
痛み探偵の事件簿

著者:須田万勢

監修:小林 只

発行:2021年10月

出版:日本医事新報社

『高齢化により地域に溢れる疼痛患者を、内科医や総合診療も、もちろん鍼灸師らも、西洋医学も東洋医学も総動員して、多職種が「誠実に」連携しながら、支えていくことが今の時代には求められています。そのためにも、言葉の定義や使い方に非常に慎重になっています。専門領域、多職種間で扱っている言葉の意味がすれ違っていることこそが、「無用の亀裂」を生んでいる現在、ファシアに関する言葉を共通言語とし、「学術的な納得」を基盤に、安全・簡単・低コストで実行できる治療体系を体現することが「政治的な納得」にもつながると信じています。

目次 (ページ順に変更させて頂いているため、“コラム”がバラバラになっています)

序章「痛み探偵の誕生」

第1回  頸部痛の研究

第2回  膝痛の証明

コラム① エコーガイド下ファシアハイドロリリースの手順

第3回  膝痛の証明パート2

コラム② エコーでの異常なファシアの見分け方

第4回  まだらの腰痛

第5回  第二の瘢痕

第6回  消えた炎症

コラム③ 炎症性疾患の後に、どうして非炎症性の痛みが出るのだろう?

第7回  腱のねじれた男

コラム④ 「ファシア=筋膜」という概念を捨てよう!

第8回  這う女

コラム⑤ X線時代とエコー時代

第9回  悪魔の足

コラム⑥ ワクチン筋注後に生じたFPS!?

第10回 犯人は2人

コラム⑦ 治療方法から考える痛みの分類

第11回 白銀指事件

コラム⑧ 上肢の末梢神経に対する神経テンションテスト

第12回 Dr.写六最後の事件(前編)

第13回 Dr.写六最後の事件(後編)  

 論考「経絡、経穴はファシアで説明できるのか?」

 論考「臨床医の仕事とは?」

ブログは目次の黒字部分ですが「本流に従って」とはいえず、重箱の隅をつつくように、気になった箇所を取り上げています。ご容赦ください。

第2回 膝痛の証明

●変形性膝関節症(OA:osteoarthritis)は非炎症性疾患とされ、メカニカルストレスによる軟骨の摩耗が主病態と考えられてきたが、近年、種々のサイトカインの産生や時に滑膜増殖を伴う炎症性疾患だということが分かってきた。そして炎症を伴うものを“osteoarthritis”、炎症を伴わないものは“osteoarthrosis”と呼んで区別している。

★“osteoarthritis”と“osteoarthrosis”について分かったこと

・日本でも変形関節症には“osteoarthritis”と“osteoarthrosis”の2つがあると認識されていますが、実際は区別されていないようです。『病気がみえる vol.11 運動器・整形外科』にも欄外に以下の補足がありました。しかし、本文にはその説明はなく「変形性関節症」が一つあるのみでした。 

「病気がみえる vol.11 運動器・整形外科」より

また、調べてみるとOsteoarthritis or Osteoarthrosis: Commentary on Misuse of Termsという記事がありました。詳しい説明が載っており、Google翻訳の力を借りることで何とか理解できました。ポイントは次のようなものです。

『In short, “osteoarthritis” means inflammation of the joint, while “osteoarthrosis” means degeneration of the joint.』『要するに、「変形性関節症osteoarthritis]」は関節の炎症を意味し、「変形性関節症osteoarthrosis]」は関節の変性を意味します。』

さらに何かないかと検索していると、北海道大学のPRESS RELEASE、世界で初めて! 軟骨細胞が関節の炎症を誘導することを発見を見つけました。これを拝見しても、変形性膝関節症はメカニカルストレスによる軟骨の摩耗(非炎症性疾患/osteoarthrosis)だけでなく、滑膜細胞、さらには軟骨細胞にも関係する炎症性の疾患(osteoarthritis)であり、本来、変形性膝関節症(膝OA)は非炎症性と炎症性の2つに分けることが望ましい、ということだと思います。

右をクリック頂くと、PDF4枚の資料がダウンロードされます。

『自己免疫疾患である関節リウマチ(RA)や炎症性疾患である変形性関節症(OA)病態に大きく関わる関節組織の細胞は滑膜細胞であるとこれまで考えられ、広く研究されてきました。その結果,治療法も進歩してきましたが難治例は未だに存在し,完治が困難な疾患です。

~中略~

本研究では、RA、OAの軟骨細胞において炎症アンプが活性化していることを見出し、さらに炎症アンプ関連遺伝子の一つとして同定されたTMEM147(Transmembrane protein147)が軟骨細胞に発現して、炎症アンプの主要な経路の一つであるNF-κB経路を正に制御していることを初めて明らかにしました。加えて抗TMEM147抗体が、関節炎モデルに対して治療効果を持つ可能性を示すことに成功しました。

このことは、RA、OA治療に対して新たな方向性を示すものであり、治療に難渋するRA、OAの突破口となる可能性があります。』 

関節炎における炎症アンプ
関節炎における炎症アンプ

画像出展:「北海道大学PRESS RELEASE、“世界で初めて! 軟骨内望が関節の炎症を誘導することを発見”」

”アンプ”とは一般的には”増幅器”と訳されます。

縫工筋が膝の痛みの原因になっている可能性がある。

縫工筋は上前腸骨棘(腰部)から起始し、鵞足となって脛骨の前内側面(膝部)に停止する人体で最長の筋線維を持つ筋である。その筋線維の走行の途中でいろいろな構造物と交差する。特に縫工筋の深層に内転筋管(Hunter管)があるが、この管は内側広筋、大内転筋および両筋の間に張る結合組織性の広筋内転筋膜によって囲まれる三角柱上のスペースで大腿動静脈と伏在神経(大腿神経の分枝)が通っている。

大腿前面の筋
大腿前面の筋

画像出展:「人体の正常構造と機能」

縫工筋は上から2番目です。

大腿前面の筋
大腿前面の筋

画像出展:「人体の正常構造と機能」

縫工筋は下から4番目です。

大腿内側面の筋
大腿内側面の筋

画像出展:「人体の正常構造と機能」

縫工筋の下には大腿神経、大腿動静脈が走行しています。

内転筋管
内転筋管

画像出展:「人体の正常構造と機能」

内転筋管(Hunter管)は内側広筋、大内転筋および両筋の間に張る結合組織性の広筋内転筋膜によって囲まれています。

大腿中央部の横断面
大腿中央部の横断面

画像出展:「人体の正常構造と機能」

縫工筋の深層、広筋内転筋膜によって囲まれる三角柱状のスペースに、大腿動静脈と伏在神経(大腿神経の分枝)が通っています。

髀関と箕門
髀関と箕門

画像出展:「経絡マップ」

縫工筋の近くには体幹の近位と筋腹中央に、”髀関[ヒカン]”と”箕門[キモン]”というツボ(経穴)があります。

髀関(胃経):上前腸骨棘と膝蓋骨底外端とを結ぶ線上で大転子の頂点の高さ。股関節と膝をわずかに外転し、大腿前内側に加えられた抵抗に抗したとき、三角形の陥凹が現れる。

箕門(脾経):膝蓋骨底内端と衝門(鼡径溝)を結ぶ線上、衝門から1/3のところ、大腿動脈拍動部。

 

なお、下の図は左がツボと動脈、右がツボと神経です。

 

 


陰包と曲泉
陰包と曲泉

画像出展:「経絡マップ」

縫工筋の膝周辺(鵞足)部位には、”陰包[インポウ]”と”曲泉[キョクセン]”というツボがあります。

陰包(脾経): 大腿部内側、薄筋と縫工筋の間、曲泉の上方、膝蓋骨底の上方4寸の高さ。股関節をやや屈曲・外転・外旋させ、筋を緊張させると縫工筋が明確になる。

曲泉(肝経): 膝内側、半腱・半膜様筋腱内側の陥凹部。膝窩横紋の内側端。

 

 

鵞足を構成する3つの筋の停止構造
鵞足を構成する3つの筋の停止構造

画像出展:「機能解剖学的初診技術 下肢・体幹」

縫工筋は鵞足の中では膝蓋骨に最も近く、筋幅も最も広い筋肉です。

 

縫工筋による膝関節の安定化作用
縫工筋による膝関節の安定化作用

画像出展:「機能解剖学的初診技術 下肢・体幹」

下腿を外旋させる力が働くと、縫工筋などの鵞足を形成する筋群が拮抗するように働き膝を安定させます。

 

縫工筋・大腿筋膜張筋
縫工筋・大腿筋膜張筋

画像出展:「骨格筋の形と触察法」

縫工筋と大腿筋膜張筋は筋膜で連結しています(A)。

また、この写真をみても縫工筋の筋幅が広いことが分かります(C)。

 

縫工筋・大腿筋膜張筋
縫工筋・大腿筋膜張筋

画像出展:「骨格筋の形と触察法」

左下方に縫工筋があります。縫工筋の筋連結は大腿筋膜張筋だけですが、大腿筋膜張筋は縫工筋だけでなく、大殿筋、中殿筋、腸骨筋、外側広筋と筋膜で連結しています。

 

縫工筋と膝痛について分かったこと

①膝関節に付着する鵞足は縫工筋、薄筋、半腱様筋の3筋からなり、下腿の外旋に対して拮抗する働きによって、膝関節を安定させている。

②O脚の人は靴底の外側が薄くなる。これは外側重心を示している。また、股関節は外旋し縫工筋はオーバーユースになりやすく、機能低下が進むと機械的ストレスが強い付着部(鵞足)に炎症を起こしやすい。

③筋連結から考えると縫工筋は大腿筋膜張筋と筋膜でつながっている。さらに大腿筋膜張筋は縫工筋以外に、大殿筋、中殿筋、腸骨筋、外側広筋とも筋膜でつながっている。これを考慮すると、膝近位部だけでなく大腿筋膜張筋近傍の体幹近位部も重要である。また、縫工筋は上前腸骨棘(腰)から脛骨粗面内側(膝)につながる非常に長い筋なので筋中央部も無視できない。

以上3点からツボ(経穴)を考えると、体幹近位の“髀関”、筋中央の“箕門”、そして“曲泉⇔陰包”の膝関節内側部に注目し、触診により硬さを感じる部位に刺鍼するのが第一選択と考えます。

第4回 まだら腰痛

●脊柱起立筋に圧痛があっても、坐位での動作分析で後屈・側屈・回旋のいずれも目立った痛みがみえず、立位の動作のみで痛みが誘発される場合は、原因筋は脊柱起立筋のような腰部の筋肉ではなく大殿筋や中殿筋の関与が疑われる。

気づいたこと

腰部の筋か殿部の筋かどちらが患者さんにとって重要な原因筋かを判断する時に、坐位と立位に分けて動作分析(後屈・側屈・回旋)を行う方法はとても重要だと思います。是非、取り入れたいと思います。

腫脹・圧痛、動作分析(痛みの誘発)
腫脹・圧痛、動作分析(痛みの誘発)

画像出展:「痛み探偵の事件簿」

 

 

 

殿部の筋
殿部の筋

画像出展:「人体の正常構造と機能」

右の図は表層の大殿筋と、大殿筋の下にある中殿筋を取り除いた、この2筋の下層にある筋群です。中殿筋の下方に小殿筋、仙骨と大腿骨をつなぐ領域に、梨状筋、上双子筋、内閉鎖筋、下双子筋、大腿方形筋の5筋(番号付き)があります。

 

 

 

殿部の筋の起始・停止
殿部の筋の起始・停止

画像出展:「人体の正常構造と機能」

大殿筋以外の殿部の筋は全て大腿骨頭に停止しています。

 

 

 

下肢帯筋
下肢帯筋

画像出展:「人体の正常構造と機能」

大殿筋の股関節に対する働きは”伸展”ですが、中殿筋と小殿筋の働きはいずれも”外転・内旋”になっており、大殿筋とは異なります。

 

第7回 腱のねじれた男

●『「3カ月前発症の関節リウマチで、投薬により関節炎は寛解している61歳男性で、右第2指の屈曲時に痛みを伴う可動域制限があり、身体所見やエコーで明らかな炎症・弾撥指は同定できない」。』

この症例に興味をもったのは、加齢とともに手指関節の動きの悪さなどの違和感を訴える患者さまはめずらしくなく、問題の関節周辺や指の動きに関わる上腕の筋肉などに注目した施術を行っていますが、肩、腰、膝などの部位に比べ、施術方針に迷うことがあるためです。 

A1 pulleyの位置と正しい圧痛点
A1 pulleyの位置と正しい圧痛点

画像出展:「痛み探偵の事件簿」

A1 pulleyとは靭帯性腱鞘のことです。

詳しくは以下の図をご覧ください。

 

 

 

手指の関節と腱鞘の名称
手指の関節と腱鞘の名称

こちらの画像は長野県にある湯本整形外科さまのサイトより拝借しました

これを拝見すると、根元がA1でA5まであることが分かります。

気づいたこと

この写真を見て思い出しました。「大切なことは、患者さんの気になっている箇所およびその周辺を丁寧に触診する。さらに必要であれば関節を動かして動的にも観察し、徹底的に触診する」ということです。これは代々木(日本伝統医学センター)の相澤先生から教わっていた基本中の基本ですが、あらためてその重要性を再認識しました。

なお、本書の登場人物である“Dr.写六(詳細な病歴、身体診察に加え、エコーと東洋医学的診察でクールに痛みの原因を特定する、自称「痛みの私立探偵」)”は次のようにお話しています。

今まで「非典型的」な腱鞘炎だの弾撥指だのドケルバン病だのといわれていた患者が、実はファシア異常であることは多く経験するよ。ぜひエコーで動的評価を含めてくまなく調べてほしいものだ。

第9回 悪魔の足

膝痛

●患者さん

・86歳女性

・関節リウマチで5カ月前に生物学的製剤を始めて2ヵ月。炎症のコントロールはできていたが、1ヵ月前から立位時の右膝痛が再燃した。

●症状

・椅子からの立ち上がる動作が最も痛い。

・体を動かした時にズキッとして痛みがある。

・腫脹や熱感はない。

・右関節裂隙に圧痛があるが、疼痛の最強点は裂隙ではなくやや膝蓋骨寄りである。

ワンフィンガーテスト
ワンフィンガーテスト

画像出展:「痛み探偵の事件簿」

 

●問題個所

内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)

-MPFLは1957年の膝関節の論文に“横走支帯靭帯”という記載があり、その後1990年代以降にMPFLの解明が進んだ。MPFLは膝蓋骨の外側制動に関わるとされ、膝屈曲20~90°の範囲で膝蓋骨の外側移動を制御している。

●考えられる原因

O脚のため膝関節軽度屈曲、股関節外旋位の状態で歩行することになり、膝蓋骨を制動するためにMPFLがオーバーユースになる。

●疼痛再発の原因

・関節炎が起きて関節液がたくさん溜まっているときは、膝蓋骨が大腿骨膝蓋溝から浮くので膝蓋骨に無理な力が掛かりにくいのかもしれない。今回の例では関節炎が薬により急激に軽快したことで関節液が減少し、膝蓋骨を支える靭帯、特にMPFLが張力の変化に適応できず、傷みだした可能性がある。

これは膝のいわゆる「水抜き」で良くなる人と、逆に悪化する人がいることに似ているように思う。

●診断治療

MPFLに対するハイドロリリース(エコーガイド下ファシアハイドロリリース)により、MPFLに重積したファシアをバラバラにする。筋膜ほどではないが、靭帯もファシアなのでハイドロリリースが有効である。

・腫脹や熱感はない。

・右関節裂隙に圧痛があるが、疼痛の最強点は裂隙ではなくやや膝蓋骨寄りである。

MPFL:内側膝蓋大腿靭帯
MPFL:内側膝蓋大腿靭帯

画像出展:「ScienceDirect

MPFL内側膝蓋大腿靭帯AMT:大内転筋腱、MQTFL:内側大腿四頭筋腱大腿靭帯、GTT:腓腹筋腱結節、ATT:内転筋腱結節

”Patellar dislocation is a common knee problem, 10 times more frequent in childhood and adolescence. Medial patellofemoral ligament is injured up to 94% of the time, and its reconstruction is effective in terms of stabilization of the patella.” 

”膝蓋骨脱臼は一般的な膝の問題であり、小児期および青年期に10倍頻繁に発生します。MPFL(内側膝蓋大腿靭帯)は最大94%の確率で損傷しており、その再建は膝蓋骨の安定化の観点から効果的です。” 

気づいたこと

・”膝蓋骨脱臼”と”オーバーユース”を比較することには無理があると思いますが、膝蓋骨に対するメカニカルストレスがMPFL(内側膝蓋大腿靭帯)に影響を与えることは確かだと思います。

・「第7回 腱のねじれた男」同様、よく観察すること、そしてよく触ること(触診すること)がとても重要です。

第13回 Dr.写六最後の事件(後編)

ファシアと経絡の共通点

・注射針を刺入した部分の筋肉がピクッと動く現象(局所単収縮[LTR:local twitch response])も、鍼による得気感覚(「ツボ」に当たったときにズーンと感じる響き感)も、局所の刺激に対する過敏性が共通病態として理解されている。

・病的なファシアにはサブスタンスP(痛みを誘発する物質の代表)に反応する自由神経終末が多く分布しており、経穴もまた周囲組織と比べて自由神経終末の密度が高いと報告されている。

Zhag ZJ, et al:Evid Based Complement Alternat Med. 2012; 2012: 429412

上記の論文のタイトルは、“Neural Acupuncture Unit: A New Concept for Interpreting Effects and Mechanisms of Acupuncture”(“神経鍼ユニット:鍼の効果とメカニズムを解釈するための新しい概念”[Google翻訳])です。

【神経鍼ユニット】が論文の中核といえますが、冒頭には次のような説明がされています。

”The collection of the activated neural and neuroactive components distributed in the skin, muscle, and connective tissues surrounding the inserted needle is defined as a neural acupuncture unit (NAU).”(”挿入された針を取り巻く皮膚、筋肉、および結合組織に分布する、活性化された神経および神経活性成分の集合は、神経鍼ユニット(NAU)として定義されます”[Google翻訳])

自由神経終末(左)
自由神経終末(左)

画像出展:「人体の正常構造と機能」

自由神経終末(左端)に関しては次のような説明がされています。

『自由神経終末とは感覚神経線維の末端が特別な装置を持たずに終わっているものをいい、全身の結合組織に存在する。皮膚では、真皮の神経叢から出る多くの枝が、真皮や表皮の細胞間で自由神経終末として終わる。自由神経終末は、人体にダメージを与える熱や機械的・化学的刺激を感受する侵害受容器があり、痛覚に関わる。また、あるものは温度受容器として働く。求心性線維は無髄C線維:0.2~2m/秒または、小さい径の有髄線維Aδ線維:10~30m/秒で、伝導速度は[Aβ線維、Aα線維に比べて」遅い。』

追記(2022年12月16日)鎮痛薬のNSAIDで膝関節症が悪化?

CareNetさんから送られてくる情報の中にびっくりするような情報があったので、お伝えします。以下は冒頭の部分になります。

『変形性膝関節症に対し、一般用医薬品(OTC医薬品)としても販売されているアスピリンやナプロキセン、イブプロフェンといった鎮痛薬を使用しても、進行を遅らせる効果がないばかりか、むしろ悪化させる可能性もあることが、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のJohanna Luitjens氏らの研究で示された。この研究結果は、北米放射線学会年次学術集会(RSNA 2022、11月27~12月1日、米シカゴ)で発表された。』

※補足:NSAIDとは、非ステロイド性抗炎症薬であり、胃などの消化器等への副作用が懸念されており、腎臓病の患者さんは禁忌とされています。痛み止めとして浸透していますが、処方には注意が必要な薬とされています。