テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

概要
テニス肘はラケットを使ったスポーツにみられる、肘の外側付近の筋肉の痛みであり「上腕骨外側上顆炎」とよばれています。一方、内側に同様な痛みがある場合には、ゴルフ肘とよばれることもあり、これは「上腕骨内側上顆炎」になります。

ただし、この部位の症状はスポーツに限らず、長時間のパソコン操作や重い鞄、子供の育児、重いフライパンを使った料理など、日常的に頻繁に繰り返される動作がテニス肘(上腕骨外側上顆炎)の原因になります。

 

ポイント
1.テニス肘はテニスに限らず、肘への日常的な負担が繰り返されることにより発
生します。
2.慢性化したものは炎症ではなく組織の劣化が原因となるため、治癒には組織の
再生が必要で通常2か月以上かかります。

 

補足説明
筋肉は末端では腱になっています。元々柔軟性に乏しい腱は引っ張られると付着部に力が掛かります。そして、この部分への力の集中が繰り返されると炎症を起こしやすく、そして痛みが出てきます。これが急性のテニス肘です。
発症時は筋腱移行部や付着部の炎症が原因ですが、長びくテニス肘の痛みは腱の炎症ではなく劣化によるものと考えられるようになりました。これはいわゆるコラーゲン線維のダメージや組織液増加、血管新生が疼痛部位に発生していると考えられます。なお、血管新生について「長引く痛みの原因は、血管が9割」の著書である奥野祐次医師はこれを病的血管、もやもや血管とよんでいます。治療法は血液循環を高め新陳代謝を促進し、本来の状態に戻すことですが、組織再生ということになるため、慢性化したテニス肘の治癒には短くても2、3ヶ月、日常の肘への負担が避けられない場合は、特に長引きます。
鍼灸治療は肘周辺の筋で、手首を反らす筋肉群の総指伸筋、橈側手根伸筋、尺側手根伸筋、短橈側手根伸筋を緩めることと、 上腕骨外側上顆の腱付着部への刺鍼、運動鍼が主な治療法になります。