概要
首こりは多くの場合、肩こりとともに現われることが多いと思います。頭は他の部位にくらべ可動性に優れるため、負担が掛かりやすくなっています。一方、頭の重さは成人男性平均で約5kgですので、例えば仕事でパソコンを長時間連続使用する場合、特に後頚部にある半棘筋や板状筋は、前方に傾斜する頭を持ち上げ安定させるために、常時収縮することになり、筋肉は疲労していきます。
ポイント
1.首が前方に傾斜する姿勢や、パソコン・スマホの過度使用に注意します。
2.生活習慣のうち、睡眠、栄養、運動を見直し、必要に応じ改善に努めます。
補足説明
筋肉が疲労する主なメカニズムは、筋肉が常時収縮する状態が毎日続き、筋肉内のグリコーゲンが枯渇し、筋小胞体からのカルシウムイオンの放出量が低下することにより、筋肉は疲労していきます。このことからも、栄養と睡眠の重要性が分かります。
鍼灸治療では後頚部にある半棘筋や板状筋、後頭下筋を中心に、頚椎(首の骨)と肩甲骨を繋ぐ肩甲挙筋や頚椎から胸椎にかけて深層に存在する多裂筋・回旋筋、肩甲骨周辺の筋である胸最長筋や菱形筋なども触診して、硬結、圧痛を調べます。
付記
米国の整形外科医、ケネス・ハンスラージ氏は頭の重さは首を傾ける角度により負荷が増えていくという内容の発表をされました。それによると、傾き0度のときは頭の重さなので約5kgとのこと、これが15度傾けると12Kgに、傾き30度では18Kg、同じく45度で22Kg、そして60度になると27Kgまで増えると指摘されています。このデータを見ると、パソコンやスマホなどの使用は首への負担が大きいということを痛感させられます。