股関節痛

概要
股関節は骨盤(腸骨、仙骨、坐骨が合わさったもの)と足の大腿骨をつなぐ大きな関節ですが、女性では先天的に関節部分が浅い場合があり、先天性股関節脱臼が0.1~0.3%の幼児期にみられます(女児は男児の約5~7倍)。
主な症状は関節の痛みと機能障害になります。最初は立ち上る時や歩く際に足の付け根に痛みを感じますが、悪化すると安静時痛や夜間痛にも悩まされます。また、日常生活では和式トイレの利用、台所仕事、階段の昇り降りなどに支障を来たします。

 

ポイント
1.先天性股関節脱臼の既往がある。あるいは痛みの改善がなかなか進まな
い場合は病院での受診をお勧めします。
2.股関節や骨盤周辺の筋群に硬結や圧痛がある場合は、その筋群を緩める
ことで痛みの軽減ができます。
3.メタボやスポーツのやりすぎなど、生活習慣の見直しも大切です。

 

補足説明
股関節は歩行をはじめ、運動には極めて重要な関節ですが、歩行時には体重のおよそ3倍、立ち上がりでは体重の6~7倍、さらに床からや低い位置からの立ち上がりでは10倍の重さがかかるといわれています。
股関節の動き(外転・内転、外旋・内旋、屈曲・伸展)を支える主な筋肉のうち骨盤と大腿骨を結ぶ筋は、腸骨筋、大殿筋、中殿筋、小殿筋、大腿筋膜張筋、縫工筋、大腿直筋、ハムストリングスおよび梨状筋などの外旋筋群と大内転筋などの内旋筋群があります。
股関節痛を伴う場合で、筋肉以外による疾患としては変形性股関節症などがあります。幼少期に先天性股関節脱臼の既往や加齢による軟骨のすり減りなどがある場合は特に疑う必要があると思います。また、変形性股関節症は症状があまり出ないことがあり、股関節以外に症状が出ることも多いのが特徴です。初期には大腿部、殿部、膝などに痛みや違和感、だるさなどが現れることもあるため、変形性股関節症だと気づかないことも多く、坐骨神経痛と間違われることも珍しくありません。危険因子としては、肥満、過度なスポーツなどがあります。
鍼灸治療は、股関節周辺の筋肉の軟らかさを取り戻すことにより、重要な骨盤の安定を高めます。また、無理な姿勢の歩行や動作のため、一部の筋肉の使いすぎで慢性的に筋が硬くなり、痛みの原因になっているケースなどの治療も有効です。しかしながら、先に記述した既往や危険因子があり、痛みの改善がなかなか進まない場合は病院にて画像検査をお勧めしています。