高血圧症

概要
高血圧は心拍出量が増えるか、末梢血管抵抗が強まるか、あるいはその両方か。これらは血圧を上昇させます。血圧値は最高血圧が140mmHg、最低血圧が90mmHg以上が高血圧症の血圧値ですが、90~95%は原因不明とされ、これを本態性高血圧とよんでいます。残りは症候性高血圧とよばれ、約75%が腎性とみられています。

 

ポイント
1.高血圧の90~95%は原因不明とされています。
2.不安定段階では服薬について慎重に検討すべきです(始めたら勝手にや
められないため)。
3.治療は減塩、禁煙、節酒、適度な運動、減量などの生活習慣全体の見直
しと改善です。
4.標治では体に現われている緊張、硬結を緩めることが基本です。

 

補足説明
高血圧の治療は薬が中心になります。薬は原因別にあり、心臓の働きを穏やかにする-交感神経抑制薬(β遮断薬)、循環血液量を減らす-利尿薬、血管を弛緩させ血液を流れやすくする-Ca拮抗薬やACE阻害薬などがあります。薬の服用で注意すべき点は使い始めると長期連用になることです。これは脳疾患や心疾患を誘発する危険があるため、勝手にやめることができないためです。従って、高血圧の状態が確実に続く場合に服用を始めるのが一般的で、不安定段階での服薬については慎重に検討すべきと思います。
なお、高血圧が臓器に及ぼす影響は、脳、心臓に加え腎臓と眼底が上げられます。治療は減塩、禁煙、節酒、適度な運動、減量などの生活習慣全体の改善が非常に重要となります。
原因が明らかな症候性高血圧の中で腎性では、腎盂腎炎、糸球体腎炎、腎不全などがあります。腎性以外ではクッシング症候群などの内分泌性高血圧症や心臓/血管性高血圧症があります。
鍼灸治療では、基本は四診により判断することになりますが、原因不明の本態性高血圧の場合、内攻する熱により代謝が悪くなっていると考え、肝経、腎経に対して潤し、熱を下げ、通りをよくする経穴を選択するのが一般的です。脈診では硬い脈になっている場合が多いのですが、既に薬を服用していて脈が硬い場合は、薬が体に合っていないことも考えられます。

標治としては背部のストレスラインなどを中心に、体に現われている硬さ、緊張、硬結を探しそれを緩めることが重要です。