“日本の外交を考える”という動画の中で、岡崎冬彦先生は外交官、初代情報調整局長、タイ大使など外交のスペシャリストと紹介されています。また、東大法学部在学中に外交官試験に合格し、その後大学を中退、外務省に入省したという異色のキャリアをお持ちです。
“未来ビジョン133『岡崎冬彦、日本の外交を考える』” この動画は「JapanMiraiVision」から拝借しました。
その岡崎先生は毎年のように風邪をひかれ、扁桃腺を腫らしていたそうです。その健康維持をはかるために始めたのが気功であり、岡崎先生が通っていたのは、ブログ“氣とはなんだろう30(合気道編)”でご紹介させて頂いた:藤平光一先生の道場でした。
岡崎先生の著書である『なぜ気功は効くのか』は、まさに岡崎先生が自ら気功を実践し、そして風邪をひかなくなったという実体験に基づくものです。とても説得力があります。気功師の先生が書かれた本とは少し違った角度で気功をみることができました。
目次
プロローグ なぜ、風をひかなくなったのか
第1章 私の気功体験は病気から始まった
第2章 気を回す
第3章 風邪治し法
第4章 道場の稽古
第5章 気を科学する
第6章 気を哲学する
エピローグ 天地正気の歌
鼎談 二十一世紀に気は解明されるか 帯津良一 愛甲次郎 岡崎冬彦
あとがき
プロローグ なぜ、風をひかなくなったのか
●症状は出ても、風邪までには至らなかった
・『体の緊張をゆるめることが病気を治す最大の要諦のようです。』
●五年前に気功を始めた
・気功を始める前は、毎冬ごとに大体三回は風邪をひいていた。
・気功以外にも健康法を試していた。例えば、漢方薬では「正源」という薬を常用していた。また、野菜スープも常用していた。運動は年数回のゴルフ以外は気功だけである。これらの健康法で最も効果があったのは気功だと思っている。
●気功のおかげか無理のない生活のおかげか
第1章 私の気功体験は病気から始まった
●三叉神経痛を使わず治すには?
・漢方で治ったものの、薬疹が起き体中に蕁麻疹ができ10日ほど入院した。それがきっかけで気功を始めた。その後、5年間一度も再発していない。
・中国出張の際、各都市の公館に依頼をし、北京、上海、広州、瀋陽、大連の5つの都市で合計10人の気功の達人を紹介された。
第2章 気を回す
●ゆるみを回す
・気功は本来体得するものである。
・気功には非常に多くの流派があるが、唯一共通しているのは小周天である。
・百会は頭頂のツボ、会陰は肛門と性器の間、体の前面中央のラインが任脈。体の後面中央のラインを督脈という。
-『息を吐きながら、気を百会から体の前の任脈を通して会陰まで下ろす。それから今度は息を吸いながら、気を背中の督脈を通して百会まで上げる。これをぐるぐる回すのが小周天です。』
・小周天は個人差があり、背中から下ろす方が良いという人もいる。
・『気を回すといっても、普通の人にはどうしていいのかわからない。中国の説明の一つでは気ではなく、意を回す。だから意識をずうっと回すという考え方もあります。意識して何かを回す、うちの道場では光の玉をイメージして、光の玉がぐるぐる回っているというふうにイメージしています。つまり意を回すということです。私が中国で覚えて以来、心がけてやっているのは、ゆるみを回すことです。通る場所を次々にゆるめる。ずうっとゆるみを回しながら、息を吸いながらいちばん上までもってくる。』
・気というものは、ゆるんだところに入ってくることになっている。これは仮説というより公理である。どんなに気が満ちた状態になっても体を硬くした瞬間にその状態は解消してしまう。緊張したところには気は流れず、入ってこない。
・修行といえば、普通は精神統一や集中力を重んじるが、気の場合は楽しい気持ちの時の方がよく回る。
・中国では目と目の間を上丹田、乳と乳の間を中丹田、お臍の10cmくらい下が下丹田である。まず百会をゆるめて、それから上丹田をゆるめ、中丹田、下丹田をゆるめて、続いて背中の各丹田の裏側を下から上へゆるめてぐるぐる回すのが小周天である。
●小周天ができれば気功はできる
・呼吸は吸うときは鼻だが、吐くときは流派によって異なる。特に決まりはないようである。(岡田先生は吐くときも鼻だそうです)
・すべての気功の流派に共通なのは、舌の先を上顎の先につけることである。これは気を任脈を通して顔の前を下すときは舌がついてないと、鼻から真下に下す時に口の中で前の線が途切れてしまう。
・気功ができるようになったという証拠は、丹田が熱くなることである。岡田先生の場合は中丹田は割合に早く実感できたが、下丹田はなかなかできなかったとのことである。人によっては下丹田が温かくなるのに3年くらいかかる人もいる。
・瀋陽では「姿勢がよければすぐ丹田が熱くなる。姿勢が悪いとなかなかならない」と言う。その姿勢とは「百会と三つの丹田と会陰が一直線になること」とされている。
●小周天はすべての元
・「吸うのが一分吐くのが一分、計一息二分を目標とする」と言われてやってみたが、その後、「とにかく、吐くときにゆるめて、吸うときにゆるめて、体がゆるみさえすれば呼吸は自然に深く流れる。だから、まだまだゆるめられる、ゆるめられると、思いながら小周天をしています。」という方法に変えた。
・『これも中国でちょっとヒントを得た。なんでもない一言なんですけれども。「小周天をやっててそのうちにほんとうに体がゆるんできたら、吸うのも吐くのも一分ぐらいになりますよ」と言われたことがある。そういうヒントがある。だから時間を計らないで、まだまだゆるめられる余地があればもっとゆるめながら、ゆるめて吐いて、ゆるめて吸う、それをやっています。
それからもうひとつ中国でちょっとヒントを得たことなんですけれども、「容器の中に水がじわじわっといちばん上まできて、今度水がじわじわじわっと引くようにやりなさい」というのを教わった。それを内観内視と言うんです。自分で満ちて引くのをじいっと見なさいということ。
仏教の行にそういうのがあるんです。歩くという自分の行動を、たとえば、いま、右足のかかとを上げた、次につま先あげた、その足を前に伸ばした。次は左足というようにいちいちいつも見てるという修行がある。それと同じ修行です。それをすればたしかに雑念は入らなくなる。
もう一つヒントを得たのは、なるべく静かに澱みなく細く長く呼吸しているのがいちばんいいんだと考えがちだけれどけれども、「波が押し寄せて来るようにしなさい」と言う人がいた。「蛇がずっずっと動くようにしなさい」と言う人もいた。そうしますと、特に吐きながら、顔の前に下ろすときに扁桃腺とか気管とか、特に治したいところを丹念に通す。波が押し寄せるように何度でも洗う。繰り返して洗いながら下ろす。それをやってもいいんだなということです。これはたいへん効果的であります。』
●性格まで変わった
・もともと神経質な性格で、緊張体質だから不眠が多かったが、小周天をマスターし不眠の問題は解決した。さらに、先輩からは神経質でとても近寄りたがったが、気功を始めてから話しかけやすくなった」と言われるようになった。
・小周天に対し、足の先、手の先まで回すのを大周天という。大周天までできると内気功だけでなく外気功(他人を気で治療すること)ができるようになると言われている。
・大周天は小周天を覚えて丹田が熱くなるのを覚えてから次のステップであるという教え方もあるし、小周天でも初めから足の先まで回す流儀もある。あるいは、むしろ足の裏から回すことが一番大切という流儀もある。
・自分で気功を覚えないで、気功師の外気功治療に頼る人が多いが、これは個人的(岡崎先生)には勧めない。
・『もっとも私も三年ほど前、前立腺の手術などで、道場にしばらく通えなかった時代、代わりに外気功を受けたことがあります。
私は小学校のときから肩凝りです。凝りに凝って背骨と肩甲骨の間に指が入らないぐらい固くなる。これがゆるんできた。それは藤平道場という気功の道場で、気圧法という、外気功の治療もしてもらったからです。それはいまでも続けて通っていますが、いまはゆるんで背中に楽に指が通るようになってきて、肩凝りもずい分楽になってきた。五十年間苦しんだのですが、その点では私も外気功の効果は否定しませんし、お世話になっています。たしかに自分独りでは背中までゆるませるのは難しいでしょう。内気功で癒せる限度を越えた場合には大変有効です。』
第3章 風邪治し法
●ずっーと扁桃腺で悩んでいた
・小学校の時から、年に3回は扁桃腺を腫らしていた。40代には扁桃腺が化膿して後部扁桃腺膿症にもなった。
・今まで、非常に効果があったのは、本当の熊の胆であるが、ワシントン条約のため手に入らなくなった。かつては中国産の熊の胆が手に入った。熊の胆は熊の胆汁の塊である。それを砕いて粉にして、歯と頬の間に含む。これを口に含んでいると扁桃腺の奥から唾液がしょっちゅう湧き出てくるため乾かない。しかも外側で濡らすのではなくて内側からじわじわと濡れてくる。のど飴では10分しかもたない。
・小周天をするときに、顔の正中線(真ん中の線)を通して息を吐きながら鼻の奥の上気道と喉をゆるめながら気を下ろしていくと、ジワーッと内から唾液が湧いてくる。バイ菌にとっては乾燥状態が望ましい。
●いつも喉を潤して
・口は吸うときも吐くときも一切開けない。特に冬は注意が必要である。また、舌の先を上顎につけるという習慣、舌全体で上顎を蓋しておく感じである。これにより上顎全体の扁桃腺の周りはいつも唾液で潤うことになる。
第4章 道場の稽古
・道場の稽古は、巡気と柔軟体操の2つからなる。最初に先生が巡気のような形で、一人一人の先生の気を押し込むようにして小周天を回す。これにより独りでやるより効率よく気が巡るようになる。その後、体操をして最後に巡気をする。
●巡気
・巡気は二人向かい合って立ち、手の甲と甲を合わせ、お互いの身体の電気が接触するような形で、片方が相手に気を送り込み、それに答えて片方がそれによって増幅された気をまた相手に送り返す。そうしてお互いの気の強さを増幅していくという方法である。注意点は肘、肩、背中、腰、膝など全身の力を抜くこと。さらに、気を通さなければならない。
・気というのは意を通すことでもある。この二つができるようになると巡気ができる。
・自分の正中線と、相手の正中線がいつも正面を向いていて、ずれないようにしながら行うとうまくいく。
・『これは説明できないのですが、二人で巡気をすると気がたちまちに高まります。この理屈は私にはわかりません。生理学や電気の専門家に聞けば、そんなことは電気の増幅の現象として似たようなことがよくあるのかもしれません。もっと哲学的なことかもしれません。一言で言えば、人間には他人が必要だということです。そうなるとちょっと宗教じみてくるので、この問題はそこまでにしておきます。』
・巡気をしているとお互いに気が充満した感じになり、お風呂に入ったように熱くなり、前でも後ろでも跳ねたくなってくる。
・マスターするのに半年かかるが、向かい合っている片方の人が、自分の気を身体の上の方に上げてストーンと下に落とすと、全く手も触っていないのに前の人がそのままストーンと転がって尻もちをつく。これは俗に「遠当て」という。
●柔軟体操
・両方の足を地面にぴったりとつけて、気を頭のてっぺんの百会から入れたり、足から吸い上げては身体中に巡るようにして、いつも循環させている。体操のはじめの方では自分で小周天、大周天もする。そうして満ちてきた気をいろいろ手足体の運動をしながら、身体中に巡らせては放出するのを繰り返して、身体中を気で充満させるのが体操の目的である。
第5章 気を科学する
●スプーン曲げ
・『スプーン曲げは気功の修練をした人なら半年もしたら誰でもできるようになります。指の先にスプーンを持って、気を通す。またゆらしたほうがいい。ゆらすというのは気を巡らすのに効果的ですが、振動を与えるという物理的な意味もあるかもしれない。
指の先に気を通すということは、すぐに覚えます。すると指の先が重くなります。重くなった指の先でスプーンを持って、気がスプーンの先までいくような感じでやる。そうすると「あっ、曲がるな」という感じがしてくる。それは一つはスプーンが温かくなるのでわかります。体温よりもちょっと温かい、お風呂ぐらいの感じになります。そうなってきたときに両手でスプーンを曲げると軽く曲がる。もっと気の強い人は、重力だけで曲がると言います。
ライス・カレーを食べている最中に思わずスプーンが曲がってこぼれてしまう人もいると言いますが、私の場合は弱いので改めて曲げないと曲がらない。
私の場合、気で曲がったかどうかわからないという問題があります。気でできることというのは、ものすごい力を入れれば曲がるものが、軽く曲がるということです。だから見ている人が「俺にもやらせろ」といって怪力を出したら、普通じゃ曲がらない場合も曲がります。「だからおまえは相当怪力を出したんだろう」と言われると、これまた説明がつかない話です。だけれども、する人が皆わかるのは、ほんとうに、「あっ、軟らかくなって曲がるな」と思ってそこで曲げるとすっと曲がる。
これがどういうことなのか。一つの仮説は、気が満ちてくると指先が強くなっている。だから強い指先で曲げるから曲がるんだということ。これもあるいはほんとうかもしれない。
パンとか食べ物の入っているビニールの袋を破るときに、齢をとるとだんだん指の力が弱くなって破れなくなる。齢をとって特に朝起きたときには破れない。少し指先に気を満たして、すっと破ると軽く破れます。そういう面もあるのかもしれない。
しかし、私が軟らかくしたスプーンを他の人に曲げさせると、私がやるようには簡単に曲がりませんが、やはり少し軟らかくなった感じがすると言います。だからやっぱりスプーンが軟らかくなっているようです。
仮説は、結局どのスプーンだって何百度かに熱したら曲がりやすくなります。何百度に熱したのと同じような状況がスプーンの金属の中に起こっていると考えればいい。気功する人の指先から電磁波が出ることは、もう証明されていますから、おそらくスプーンの中に電磁波が流れたからだろうという仮説が可能でしょう。これも実験してみたいと思います。スプーンを常温のままで、両側からいろんな電磁波を通してみる。振動を与えた方がよければ、そういう装置も作る。それで、曲げてみて曲がるようなら、高温と同じような状況が電磁波によって起きていることになる。これも実験さえしてみればすぐにわかる話です。あるいは逆に気が出す電磁波の特徴まで特定できるかもしれない。これが発見されたら物理学ではかなり大きな発見でしょう。』
第六章 気を哲学する
・『気を科学するだけでも、私の分際を超えた余計なことだと思っておりましたけれども、哲学するとなると、ますます余計なことです。ただどうも気とは何だろうと考えていると、どうしても科学だけで解明できないものがありそうな感じがしてきます。哲学というか、何かもっと形而上的な思索というものが入ってこないと、どうも理解できない。それは気が、心とか意思にどうも関係してくるものがあるように感じるからです。』
●科学哲学
・『中国の伝統的な考え方では、物質とそれを動かすものの二つに分けて考えます。
たとえば荘子の知北遊篇では、「人の生は気の集まりなり。集まれば即ち生。散れば即ち死」。つまり生きている人間と死体との差は、その中に気が巡っているかどうかで区別している。そういうことです。気が散ってしまえば死んでいるということです。人間の体を動かしているのは気だという考え方です。気と血を一緒にして気血という表現もあります。これは孟子も含めて、中国辞典、東洋思想に共通だといっていいのです。
ただこの思想はその後だんだん変わります。特に中国の古典思想というのは、そのいちばん大宗である儒学も含めて宋の時代になって、ずいぶん再整理されてしまいます。宗の時代になると、道徳というものに非常に高い価値を置きます。そうなると、単に物を動かしているものより高い所に、理というものがあると考え、それと気というものを区別するようになります。
理というのは道徳とか人の道とかいうことで、気というものはただ体を動かしているものだと考えるようになる。それは宋の儒学の特徴でありまして、その後長く続きましたが、いまは荘子のいうようなもとの考え方に戻っているようです。
だいたい中国で気功が盛んになったのは1950年代からです。もっとも盛んになったのは文化大革命の頃です。それはどうしてかというと医者とかインテリが迫害され、皆、充分な医療が受けられなくなった。それで伝統的な治療法に頼り、それまで秘伝とされていたものが次々表に出て、気功が非常に盛んになったのです。』
●気に対するいろいろな異なったアプローチ
1.合気道
・合気道は気を利用した武術であり、合気道と気功とは表裏一体のようなものである。
・合気道は相手が出してくる気を正面で受け止めないで逸らす。さらに相手の気が動く方向に相手を誘導する。それによって相手を投げる。相手は自分の勢いで飛んでしまうということになる。
・『合気道の達人に教えて貰ったいちばん簡単な例としては、合気道で人を倒す方法は、人が椅子に座ろうというときに、椅子をすっとどければいいというものの考え方です。それはその人の「椅子に座ろう」という意志がなければ働かないものです。「椅子に座ろう」という方向に気が動いているので、その方向を椅子で受けとめないで、椅子を外せば、転ぶわけです。それが合気道。気功は、椅子に座ろうとする人の気がいちばん欲する中心的位置に椅子を持って行って据える熟練したウェイターのような術と言えます。』
・気功は相手から出る気をなるべく体の正面で受けとめる。それでその気を自分が吸収して、自分がそれをさらに増幅して相手に気を戻す。それでお互いの気を高める。これが気功である。
●私の不思議
・藤平光一先生は『気の確立』という本の中で、次のようなことを書かれている。合気道の師範になった頃、柔道の稽古でリラックスしていたら簡単に倒された。そこで、力を抜いて、なおかつ気を出すのが一番正しいことに気がついたとのことである。力を抜かなければ気は通らない。しかし、その上で意識的に気を通さなければならない。これが気の基本であり、真理である。
感想
岡崎先生がマスターされた「小周天」を是非とも身につけたいと思いました。また、「気功ができるようになったという証拠は、丹田が熱くなることである。」というご指摘も大変貴重なものです。
さらに、「スプーン曲げ」のお話も大変印象に残りました。
「丹田が熱くなること」と「スプーン曲げ」ができるようになることが、気功の第一歩ということかもしれません。







