第4章 根本原因はここにあった!腸と腸内細菌
●すべての病気は消化不良から
・消化とは三大栄養素の炭水化物、タンパク質、脂肪をそれぞれ小腸で吸収できる分子レベルまで小さくすることである。
・小さなビタミンやミネラルは分子が小さいのでそのまま吸収される。
・タンパク質と炭水化物はネックレス状につながっている。タンパク質はアミノ酸や単糖(ブドウ糖、果糖、ガラクトースなど)をひとつの玉だとすると玉が100個以上(多いものは1万個以上)連なったものである。炭水化物も単糖のブドウ糖(グルコース)がつながっており、数百個、大きいものでは数万個つながっている。これらは一度に分解できないので、唾液、胃液、膵液、腸液と段階を踏んで、少しずつつながった玉を切り取り、アミノ酸の玉、ブドウ糖の玉に分けていくのが消化である。この切り分けるハサミに相当するのが酵素である。
・脂肪はタンパク質や炭水化物とは異なり、グリセロールに三つの脂肪酸が引っ掛かった形状で、この留め金を外すことが脂肪の消化である。消化されたものは小腸の腸絨毛から吸収され、門脈を通って肝臓に運ばれる。
・脂質はリパーゼによって、グリセリンと脂肪酸に分解され、一部はアミノ酸などと一緒に門脈経由で肝臓に運ばれるが、多くは分解後、胆汁酸の乳化作用によりミセル化(小さくして水に溶けやすくする)され、親水性となり腸管から吸収される。小腸上皮細胞に入った乳化物は、今度はタンパク質と結合して、カイロミクロンという大きなリポタンパク質となり、リンパ管から吸収され、リンパの流れに乗って腹部、胸部、心臓などを巡って動脈に入り全身に運ばれる。脂肪成分の多くは、このようにリンパ経由の道のりをたどる。脂肪が消化に時間がかかるのは、このリンパ経由のプロセスのためである。
・消化不良は栄養がしっかり吸収できないだけでなく、様々な弊害を生む。例えば、タンパク質が十分に消化されないと不消化タンパク質となる。それを大腸内で腐敗菌が分解すると「窒素残留物」を作るが、これがアレルギーや難病、がん等、あらゆる病気の原因になっていく。このようにすべての病気の出発点は消化不良から始まるのである。
●「リーキ・ガット症候群」
・栄養素を吸収する小腸の腸絨毛が炎症を起こし、テニスラケットのガットが緩んだようになる症状を「リーキ・ガット症候群(腸管浸漏症候群)」という。例えば、100個のアミノ酸がつながったタンパク質が血中に入れば免疫システムは異物と判断し攻撃する。これはアレルギーである。さらに膠原病、クローン病、多くの神経疾患、潰瘍性大腸炎などの難病の原因になる可能性がある。2007年4月、ハンガリーのブタペストで開催された世界肥満学会では、これらの疾患に加え、糖尿病、心臓病、脳卒中などの関連性も指摘された。
・異物が血中に入れば、血液は汚れ微小循環が悪化する。それは脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病を発症してもおかしくはない。
・リーキ・ガット症候群は小腸内の腐敗以外では、多量の化学薬剤、喫煙、アルコールの過剰摂取に注意する必要がある。
●腸内で起こる四つの現象
・消化吸収の後、腸内では4つの現象が起こる。「発酵」は正常だが、「腐敗」、「異常発酵」、「酸敗」は問題である。
・「発酵」は炭水化物に関するもので、良質かつ適量の時に起こる。
・「腐敗」はタンパク質を消化する酵素の不足やタンパク質の過剰摂取により消化不良が起こり、吸収されなかったタンパク質が大腸に停滞して起こる。この時できるのが窒素残留物のスカトール、インドール、アミン、フェノール、硫化水素、アンモニアなどであるが、これらの有害物質は強烈な発がん物質であるニトロソアミンを作り出す。
●窒素残留物と二次胆汁酸が一緒になると……
・「異常発酵」は炭水化物の摂りすぎで起こる。その原因は食べ過ぎである。また、遅い時間に摂る夜食やストレスも関係する。加熱食ばかりの食事も異常発酵につながりやすい。異常発酵ではガスの臭いが目安となる。
・「酸敗」は脂質が腸内で酸化して生じる現象である。特に問題なのは二次胆汁酸(一次胆汁酸がリトコール酸やデオキシコール酸などに変化したもの)である。これは猛毒で、窒素残留物が作るニトロソアミンと一緒になると大腸がんの大きな原因になる。
・酸敗の原因は脂肪の摂りすぎである。また、酸化した油や劣化した油、トランス脂肪酸などの質の悪い脂肪の摂取も原因になる。
●健康のカギを握る「短鎖脂肪酸」@
・「短鎖脂肪酸」は大腸で酵素の働きによって行われる食物繊維の発酵で生じる。脂肪酸には炭素数が12以上の「長鎖脂肪酸」、7~11の「中鎖脂肪酸」、そして6以下が「短鎖脂肪酸」である。飽和脂肪酸は常温では個体である。一方、不飽和脂肪酸は常温では液体である。この不飽和脂肪酸には、中鎖脂肪酸、短鎖脂肪酸は存在しない。
・飽和脂肪酸は肉類の脂肪や乳製品の脂肪に多く含まれ、中性脂肪やコレステロールを増加させ、動脈硬化を促進するとされ、悪者扱いされることが多い。しかしながら、飽和脂肪酸がなくなると細胞膜はボロボロに崩壊し、細胞は存在できなくなる。摂りすぎは良くないということであって、とても重要なものである。
・短鎖脂肪酸は炭素の連鎖が短いため分解されやすく、すぐにエネルギー源として利用されるため、体脂肪として蓄積されることはない。
・短鎖脂肪酸の酢酸、プロピオン酸、酪酸などは水溶性の食物繊維や糖質の発酵で生じる。その働きは免疫力を高め、健康維持に重要な役割を担っている。酢酸は脂肪合成材料、プロピオン酸は肝臓における糖新生の材料、酪酸は大腸の主要部分の栄養素になる。95%は大腸粘膜から吸収され、すべての消化管と全身の臓器の粘膜上皮細胞の形成と増殖、そして粘液を分泌させる働きをしている。胃液も腸液も膵液もすべて短鎖脂肪酸が作っている。
・短鎖脂肪酸は細胞内のミトコンドリアに働き、エネルギー活性化を促す。腸のpHを下げ殺菌力を高める。がんのアポトーシス(プログラムされた細胞の自死)にも関わっている。
●二十一世紀に解明、短鎖脂肪酸の働き
・短鎖脂肪酸の材料は、熟した果実、わかめ、昆布などに含まれる水溶性の食物繊維、穀物、大豆、キノコに含まれる不溶性の食物繊維も材料になる。その他、黒酢、酢のもの、梅干し、ピクルス、ラッキョウ、漬物、キムチなどの発酵食品も腸内環境の改善を通じて間接的に短鎖脂肪酸の生成を促進する可能性がある。
●胃薬を長期間飲み続けると……
・胃薬を長期に飲み続けると胃酸は弱まる。すると、胃のpHは上昇する。このため、細菌が無制限に繁殖し胃壁は菌に侵され再び潰瘍になりがんの原因となる。また、アルカリイオン水などアルカリ度の高い食品も注意が必要である。頻繁に摂りすぎると胃酸を薄めてしまう。
第5章 体を蝕む酵素を減らす食事
●日本では“野放し”のトランス脂肪酸
・トランス脂肪酸は各国で規制対象になっている
画像出展:「AI(Perplexity Pro)が作成」
1.日本人の平均的なトランス脂肪酸摂取量はWHOの推奨する上限(総エネルギー摂取量の1%未満)を下回っている。
2.通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられるが、脂質に偏った食事をしている人は注意が必要。
3.トランス脂肪酸だけでなく、飽和脂肪酸を含む脂質全体の摂取バランスに配慮することが必要。
画像出展:「AI(Perplexity Pro)が作成」
1.多くの国で、天然由来のトランス脂肪酸は規制の対象外となっています。
2.WHOは2023年までにトランス脂肪酸の低減を進めるよう各国政府に呼びかけており、規制を導入する国は増加傾向にあります。
3.2024年時点で、54ヵ国が工業的に生産されたトランス脂肪酸の排除に向けた最善の政策を実施しています。
ご参考1:「トランス脂肪酸に関する各国・地域の規制状況」(農林水産省)
ご参考2:「すぐにわかるトランス脂肪酸」(農林水産省)
・トランス脂肪酸に次いで注意すべきはリノール酸の過剰摂取である。摂りすぎると、アラキドン酸が過剰に作られ、炎症を起こす物質(炎症メディエーター)の増加や血小板凝集、血管矮小化といった問題を引き起こす。リノール酸はサラダ油などの揚げ油の他、スナック菓子、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、インスタントラーメン、ケーキ、パン、アイスクリームなど数え上げれば切りがない。さらに、大豆、小麦、米などの穀物にも多く含まれているため、私たちは気がつかないうちに大量のリノール酸を摂っている。必要量の10倍は摂っているというデータもある。まず心がけることは「植物性油脂」「植物性食用油」とあれば、トランス脂肪酸やリノール酸が含まれていると考え、避けるよう努力することである。
ご参考3:「油のタイプ知り上手に摂取 リノール酸の取りすぎ注意」(日本経済新聞)
●油の質によって、健康は左右される
・油は消化に時間がかかり、高カロリーのため「太りやすい」「体に悪い」というイメージがつきまとっているが、重要な栄養素である。脂質は細胞膜の70%、脳の60%を構成している。脂肪がなければ、体温も維持できず、ホルモン様の物質も作ることはできず、体内で脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の運搬や吸収もできない。しかしながら、油の質によって大きく異なるというのも事実である。
・青魚の脂のEPAとDHAは血液をサラサラにする。このEPA、DHAは不飽和脂肪酸のオメガ3系脂肪酸の一種である。植物油で健康の良い油はオメガ3系脂肪酸に属するα-リノレン酸で、亜麻仁油、エゴ油、シソ油などである。ただし、これらの油は熱に弱いのでドレッシングなど生の状態で使う。加熱料理には酸化しにくいゴマ油、ナタネ油、米油がおすすめである。
・食物では、アーモンド、クルミ、ピスタチオなどナッツ類も少量なら体に良い。
・2011年、世界一栄養がない野菜といわれていたキュウリに、ホスホリパーゼという従来より分解力の強い脂肪分解酵素があることが分かった。血液をサラサラにし体も温まるという優れものである。
第6章 こうすれば簡単!酵素を摂る方法
●病気の時は、食べないほうがよい。
●証明された、少食と長寿の関係
画像出展:「AI(Perplexity Pro)が作成」
1.60代位までは食べ過ぎに注意が必要ですが、70代以降はしっかり食べて筋肉や骨を維持することが重要です。
2.健康的な食生活と適度な運動を心がけることで、健康リスクを軽減できます。
3.個人の年齢、全体的な健康状態、免疫力などが寿命に影響を与えるため、食べ過ぎの影響は個人差があります。
感想
本書によって、酵素が生命にとっていかに重要であるのかを知りました。一方、何故、9番目になったのかということが、あらためて気になりAIに質問してみました。
以下(左側)がその回答です。「非常に複雑」、「働きが目に見えない」、「直接的なエネルギー源ではない」、この3つがポイントでした。
「やはり、只者ではない!」と思いました。そして、右側の表は2度目の登場になりますが、その背景にあるのは、「やはり、量子力学が関係しているからでは!?」だと思います。
『氣とは何だろう』に量子力学を結びつけるのは唐突かもしれませんが、9番目に姿を見せた「酵素」という特殊な存在はマークしたいなと思います。








