酵素については“生物と量子力学2(酵素)”というブログを2019年3月にアップしています。この時は、ヒトの生命の中に量子力学のメカニズムが、何か存在しているのではないかという思いから、『量子力学で生命の謎を解く』という本を見つけました。
そして、その時もっとも驚いたことが以下になります。

『酵素の仕事は、本来ならあまりにも遅いさまざまな生化学反応を加速させる(「触媒する」)ことである。
~中略~
メアリー・シュワイツァーが恐竜の骨に作用させたコラーゲナーゼも、そうした生物マシンの一つにすぎず、動物の体内ではつねにコラーゲン線維の分解を担っている。酵素によって分解がどれだけ加速されるかをおおまかに見積もるには、酵素がなかった場合にコラーゲン線維の分解にかかる時間(明らかに6800万年より長い)と適切な酵素があった場合の時間(約30分)とを比べればいい。そこには一兆倍もの開きがあるのだ。』
酵素があれば、約30で分解されるプロセスが、その酵素がなかったならば6800万年以上、約1兆倍もかかるというものです。この信じられないような酵素の働きは生命の大きな謎であり、量子力学に関係しているという見解は、「きっと、そういうこと何だろうな」という感じでした。
それから約6年、多くの本に接してきましたが、「酵素について詳しく知りたい」と思ったことはありませんでした。また、今回、酵素に関するサイトや本を探していて感じたことは、想像以上に、サプリメント、食事や栄養、健康や美容に関するものが多いという印象でした。そのような中で、酵素の生理学(生体の機能とメカニズム)について、一般読者向けに書かれている本を購入しました。
酵素に関して知りたいと思ったもう一つの理由は、『氣とは何だろう』という疑問に関して、「氣」を知るためには量子力学との関係を酵素の視点から探る必要があるのではないかと考えたためです。
なお、酵素は、サイトカイン、ホルモンと同じく生理活性物質という大きな枠組みの中に分類されていますが、その機能、作用範囲、構造には明確な違いがあるとされています。
目次
はじめに
序章 栄養学から見た病気の原因
●「何を食べてもいい」というダメ医者
●西洋医療の限界
●糖尿病患者の急増が示すもの
●なぜ、キャベツで喘息が治ったのか
第1章 ここまでわかった!酵素の謎
●三大栄養素の役割
●体は、栄養素だけでは動かない
●100兆個の体内細胞が必要とする酵素
●酵素の役割
●酵素は、血液型を変えられる!?
●酵素の中身
●酵素の種類
●ひとつの酵素が行う、ひとつの作業
●酵素の寿命
●酵素は、一定量しか作れない
●白髪が生える理由と酵素の関係
●人間の酵素貯蔵量は何年あるか?
●酵素の補佐役、ビタミンとミネラル
●ノーベル賞受賞で誤解された酵素栄養学
●酵素研究が50年遅れた理由
第2章 人体における酵素の働き
●消化酵素と代謝酵素
●どんな食物を食べても、消化酵素しだい
●草しか食べない牛が筋肉を作れる理由
●肉しか食べないライオンのビタミンC補給
●消化酵素の浪費で起こる危険なこと
●酵素を消耗させる食生活
●生存活動すべてにかかわる代謝酵素
●酵素がなければ、エネルギー回路も動かない
●酵素がなければ、活性酸素も除去できない
●日本人が酒に弱い理由
●暴飲暴食しても平気な人が持つ酵素
●健康診断のγ-GTPも酵素だった!
●毒ガス・サリンと酵素の働き
●代謝量が多いほど短命になる
第3章 酵素を減らす加熱食の危険性
●縄文人の長寿を支えたもの
●動物園の死亡率を改善させたエサ
●動物実験で示された、酵素の力
●アメリカで、アフリカで、北極圏で起きていること
●長寿村の食事と短命村の食事
●50度洗いも、冷凍も、酵素を利用している!
●動物が生ものしか食べない理由
●人間にも、胃がふたつある!?
●膵臓が肥大化し、脳が小さくなった人間
●焼き魚に大根おろしを添える科学的根拠
●優れた食材・果物の力
●がんと酵素の関連性
●人間を健康にする食品の条件
●病気治療に使われてきた「酵素食」
●生食と加熱食は、6対4の比率で
●酵素栄養学から見た、和食の効能
第4章 根本原因はここにあった!腸と腸内細菌
●“第二の脳”腸の役割
●私が抗がん剤を使わない理由
●すべての病気は消化不良から
●「リーキ・ガット症候群」
●腸内で起こる四つの現象
●窒素残留物と二次胆汁酸が一緒になると……
●新説・腸内細菌の酵素は体外酵素である!
●肝臓に匹敵する、腸内細菌の働き
●がんと食物繊維の関係
●健康のカギを握る「短鎖脂肪酸」
●二十一世紀に解明、短鎖脂肪酸の働き
●糖質制限ダイエットの危険な落とし穴
●明治時代、ドイツ人医師が感嘆した日本の食事
●腸は、人体の「外」にある!?
●胃薬を長期間飲み続けると……
●小腸がんが最近、増えている理由
●体を冷やすと、がんになりやすい
●小腸にある「腸管免疫」を活性化させる
●免疫力は、便で判断できる
第5章 体を蝕む酵素を減らす食事
●肥満者が短命になる理由
●人間を老化させる三つの原因
●植物性だけでなく、動物性食品も必要な理由
●朝食は、軽いほうがよい
●なぜ、食べてすぐ寝ると体に悪いのか
●砂糖が引き起こす、肥満よりも怖い「害」
●日本では“野放し”のトランス脂肪酸
●油の質によって、健康は左右される
●粉末状の食品は、食べてはいけない
●野菜・果物の種は、食べてはいけない
●玄米の毒を取る方法
●薬は、酵素の働きを阻害する
第6章 こうすれば簡単!酵素を摂る方法
●病気の時は、食べないほうがよい
●証明された、少食と長寿の関係
●1日2食で健康になる
●酵素を摂る方法① ジュース
●酵素を摂る方法② すりおろす
●酵素を摂る方法③ 発酵食品
●酵素を摂る方法④ よく噛んで、ゆっくり食べる
●酵素を摂る方法⑤ 良質な水を飲む
●睡眠のふたつの役割
終章 初心者のための鶴見式・酵素断食
●ファスティング(鶴見式・半断食)が体に良い理由
●ファスティングとケトン体
●ファスティングの効能
●ファスティングの注意点
●酵素断食について
●鶴見式・半日断食コース
●鶴見式・1日断食コース
●鶴見式・2日半断食コース
おわりに
体内の「酵素力」判定テスト
参考文献
目次
はじめに
・酵素栄養学は量子力学の範疇で、目に見えないクォークの世界であり、最先端科学である。
・酵素の量は健康、寿命に大きく関係している。
序章 栄養学から見た病気の原因
●「何を食べてもいい」というダメ医者
・多くの医師は酵素だけでなく、栄養学の知識に乏しく食と病気の関係に無関心である。
●西洋医療の限界
・西洋医学の問題は根本の原因を追究しないことである。そのため慢性疾患においては対症療法のため、結果的に薬漬けにつながる恐れがある。
●なぜ、キャベツで喘息が治ったのか
・喘息はアレルギーであり、アレルギーは腸内の腐敗から発症する。毎朝の生のキャベツが腸内環境の改善に大きく貢献したものと考えられる。加熱せず生で食べることが重要なのは、貴重な「酵素」が加熱により失われてしまうからである。
第1章 ここまでわかった!酵素の謎
●三大栄養素の役割
・糖質はエネルギーを産生し、タンパク質は骨格、細胞組織、粘膜粘液の原料になる。脂質もエネルギー源だが、細胞膜など生体膜の成分になる。これらにビタミン、ミネラル、食物繊維を加えたものが六大栄養素といわれ、水を加えて七大栄養素、さらに昨今ではポリフェノールやカロテノイドなどのファイトケミカル(植物中に存在する天然の化学物質、抗酸化力が強い)を加えて八大栄養素ともいわれている。
●体は、栄養素だけでは動かない
・代謝とは「エネルギーの生産と消費」、大きく分けると「異化」と「同化」である。前者は物質をバラバラに分解してエネルギーを取り出すことであり、後者はエネルギーを使って器官や組織を組み立てること、体の部品を作り出すことである。
・生命エネルギーとは、炭水化物や脂肪、タンパク質によって生じる化学反応で、ある物質がほかの物質に変わるという化学反応こそが生命の正体である。
・ヒトの体は生命のための一大化学工場である。
●100兆個の体内細胞が必要とする酵素
・化学反応のためには仲立ちする「触媒」の力を借りなければならない。その触媒こそが「酵素」である。
・三大栄養素が車のガソリンとすれば、酵素はバッテリーのような存在である。
・酵素は、まさに「生命の命」(酵素研究の祖エドワード・ハウエル博士の言葉)そのものである。
●酵素の役割
・触媒とは、それ自身は変化せず、接触する周囲の物質の化学反応を早める物質である。
●酵素の中身
・『酵素がほかのタンパク質と違うのは、酸素には活性の中心と呼ばれる「穴」があり、そこにほかの物質をとらえ、分解や合成などの化学反応をすばやく起こさせる不思議な力があることです。この働きが、さきほど説明した触媒作用です。』
・酵素は条件によって活性・不活性が決まるもので単なる触媒ではない。
●酵素の種類
・体内での酵素の働きは2つ、「消化酵素」と「代謝酵素」。更にもう1つあり、それは生の食物の中に含まれる「食物酵素」である。
●ひとつの酵素が行う、ひとつの作業
・酵素の大きさは、その種類によって大きく異なるが、ほぼ5~20ナノメートルである。形状は球状で、形を頻繁に変え絶えず動き回り衝突して変化する。
・酵素の反応速度は非常に速く、1マイクロ(1/100万)秒ごとに衝突を繰り返している。ひとつの酵素が1分間に合成もしくは分解する分子の平均数は3600万回。なかには、1分間の化学反応が4億回にのぼる酵素もある。
・様々な代謝活動を行っている肝臓の場合、各細胞には数百種類もの酵素があり、それぞれが1秒間に100万回、その作業を行っている。
・酵素は何種類もの化学反応をかけもちできず、ひとつの酵素が触媒として働ける化学反応は、通常1種類だけである。
●酵素の寿命
・体内では毎日、多種多様な酵素が生産されている。
・酵素は細胞の中で作られる。細胞核にあるDNAがどの酵素を作るかを計画し遺伝子が作る。
・ひとりの人間の細胞を作るために約13,000種類の酵素が使われている。そのなかで、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ酵素)だけで9000種類以上ある。なお、体内の酵素の量は膨大である。

画像出展:「AI(Perplexity Pro)が作成」
現在の種類の数ですが活性エントリーは6,885でした。なお、この表には、「暫定的な件数」、「現在は非活性とされている件数」、また、「再分類や統合によって変更された件数」とあり、時間とともに数字は変化しています。
・酵素の寿命(耐用期間)は鋳型の穴が潰れ、仕事ができなくなった時である。短いもので数時間、長くても数十日で消滅すると考えられている。
・酵素はアミノ酸に分解されてから再び吸収され、新しい酵素やタンパク質を作る原料になる。一部分を入れ替えながら絶えず新しい酵素を作り続けている。ただし、酵素製造能力にも限界がある。20歳をピークに、年齢を重ねるごとに少しずつ減っていき、40歳を越えると急激に減少する。
・若い時に比べ、睡眠を十分にとっても疲れがなかなか取れないのは、体内の酵素の製造能力が落ちていることと、日々の生活のなかで体内酵素の使い過ぎで代謝酵素の働きが落ちていることも関係している。
●酵素は、一定量しか作れない
・酵素は毎日作られているが、酵素の生産量は個体差が大きい。これはDNAと深い関りがあるからだと考えられる。
・『生まれたばかりの新生児には、高齢者の数百倍の酵素が存在するといわれています。生まれた時に与えられた、一生で一定量しか作られない酵素の生産能力を、毎日の生活のなかで使って老化し、ついには病気になり、そして死んでいくのが私たち人間です。だからこそ、その生産能力の無駄遣いをしないことがとても重要になってきます。』
・酵素は年齢によって、その活性は低下する。
●人間の酵素貯蔵量は何年あるか?
・鶴見先生は人間の「酵素貯蔵量」は150歳分くらいあると考えられている。ただし、これはあくまで無駄遣いをしなければというのが前提である。
●酵素の補佐役、ビタミンとミネラル
・ビタミン、ミネラルは三大栄養素に次ぐ重要な栄養素であるが、複合酵素(タンパク質と非タンパク質の補酵素と補助因子が結合した酵素)は酵素がなければ体内で働くことはできない。補酵素はコエンザイムと呼ばれている。
・水溶性ビタミン(特にビタミンB群)は体内の代謝にかかわる補酵素の材料として重要な生理機能を持っている。ビタミンB1は糖代謝の補酵素、ビタミンB6はアミノ酸やタンパク質の補酵素、ナイアシンは酸化や還元などの脱水素酵素として働いている。
・ミネラルは補助因子で金属酵素(メタロエンザイム)と呼ばれ、生命現象の重要な役割を担っている。
・ビタミンもミネラルも補因子だが、六大栄養素とされている。一方、主役である立場の酵素は9番目の栄養素とされていることを考えると、いかに酵素の研究が遅れていたのかを物語っている。
●ノーベル賞受賞で誤解された酵素栄養学
・最初の酵素の発見は、1833年、デンプン分解物質のジアスターゼと名付けられた。これが消化酵素のアミラーゼである。タンパク質分解酵素のプロテアーゼに属するペプシンは1836年に発見された。
●酵素研究が50年遅れた理由
・一つは、酵素の結晶がタンパク質だったためタンパク質と規定され、タンパク質を摂取すれば酵素も摂れると考えられてしまった。さらに、タンパク質は無限に作り出されるという誤解もあって研究の遅れにつながった。
・酵素は体内で行われる消化作業と代謝作業の主役である。