“氣”とは何だろう23(臓器ネットワーク編)

著者:丸山優二 NHKスペシャル「人体」取材班

発行:2019年5月

出版:NHK出版

目次は“気とは何だろう22(臓器ネットワーク編)を参照ください。

第4章 骨

若さを保つ!全身に語りかけている骨

・骨が出すメッセージ物質はマイオカイン同様、最先端の研究分野となっている。骨のメッセージ物質の代表的なものが「オステオカルシン」である。

画像出展:「臓器たちは語り合う」

 

 

骨の中で生きている数々の細胞たち

・爪や髪、皮膚などの新陳代謝と同様に、内臓でも硬い組織の骨でも起きている。骨は「破骨細胞」が骨を溶かし、「骨芽細胞」が骨を作る。両者のバランスが崩れ、破骨細胞の働きが優位になると骨はスカスカになって骨粗鬆症になる。

衝撃センサーとしての骨

・骨の中の「破骨細胞」、「骨芽細胞」、「骨細胞」という3種類の細胞は互いにメッセージ物質を出し、ネットワークを作っている。その中心が「骨細胞」で「スクレロスチン」というメッセージ物質により、骨芽細胞が骨を作り過ぎないようにコントロールしている。

・骨芽細胞は骨にかかる衝撃を感じ取るセンサーの働きがあり、スクレロスチンの放出量を変えている。つまり、骨の働きを維持するには骨への刺激量が必要だということである。

筋肉を動かすこと、骨に衝撃を加えること、これは運動することが筋肉と骨を健康に保つことを意味している。

画像出展:「臓器たちは語り合う」

 

 

長生きするにはどうすればいいか?

・『人体は進化の過程で、次世代の役に立つ行動していると長寿になるよう、プログラムされている。これは進化の仕組みから導き出される当然の結論です。そうだとすると、「運動すると長寿になる」ことの根本も、ここにあるではないかと思えてくるのです。』

・『カロリーを抑制するとなぜ長寿になれるのか? 人に分け与える優しさ、そんなものも、なんらかの形で測られている可能性があるのです。』

人体は「ネットワークのネットワーク」である

・ネットワークは臓器同士だけでなく、臓器の中にも細胞たちが語り合う複雑なネットワークが存在する。

ネットワークの真の姿

・腎臓から骨(赤芽球)へ、骨から肝臓へ、肝臓から腸へというように情報が次々にリレーされ広がっていく。

・『複雑で巨大なネットワークである人体においては、ある場所で何かが起きると、その影響は全体に広がっていく。それによって人体が適切な状態に保たれる。これが神秘の巨大ネットワークの真の姿だと言えると思います。』

画像出展:「臓器たちは語り合う」

 

 

第5章  腸

・腸は細菌たちを養い、人体のネットワークに参加させている特別な臓器である。腸内細菌は消化吸収の手助けだけでなく、さまざまな物質を出している。これらの物質は腸から血液中に入り、人体のあちこちで受け取られている。これらもメッセージ物質として働いている。

・腸内細菌全体(「腸内フローラ」と呼ぶ)を一つの「臓器」だと捉える科学者も増えてきている。

現代人を悩ませる病気はすべて「免疫の暴走」から!?

・腸は全身の免疫細胞(白血球)の7割が集まる、「免疫の臓器」でもある。

・腸は免疫細胞にとって特別な場所である。例えば、「パイエル板」では腸内の細菌を捕まえてきて、免疫細胞たちに接触させる。こうして未熟な免疫細胞を教育する。つまり、腸は「免疫の訓練場」、あるいは「教育機関」ともいうべき場所なのである。

画像出展:「免疫反応の起点 パイエル板」乳酸菌生成エキス研究室

『腸で多くの免疫の働きを担っているのが、小腸下部の回腸にある「パイエル板」という組織です。「パイエル板」は小腸の絨毛の間に存在するリンパ小節が集合した腸管特有の免疫組織です。下画像の平らな状態の部分で、そのうえには薄い粘液があり、病原菌をそのまま細胞内に取り込みます。』

免疫はなぜ暴走するのか?

免疫細胞は外敵に対し、警告サインの炎症性サイトカインを出して仲間を呼び、その仲間もさらに炎症性サイトカインを出すことで、瞬時に集まった炎症性サイトカインは免疫細胞を活性化させ、増殖させ、攻撃に駆り立てる。いったん火がつくと、一方向に突っ走る。これにより外敵を排除するが、その動きは暴走の危うさを内在している。

アレルギーを防ぐ、なだめ役「制御性T細胞」

・T細胞は免疫細胞(白血球)の中でも中枢を担っている。「ヘルパーT細胞」は攻撃の司令塔、「キラーT細胞」は特攻隊である。一方、攻撃を止めさせるT細胞もいる。それが「制御性T細胞」である。

・「ヘルパーT細胞」と「制御性T細胞」は「ナイーブT細胞」という未成熟なT細胞から分化するので、この2つのT細胞は兄弟のような関係である。

「なだめ役」が生まれる驚きの仕組み

・「ヘルパーT細胞」になるか「制御性T細胞」になるかは、腸内細菌が出す「酪酸」という物質が関係している。なお、制御性T細胞は局所のみならず全身を巡って過剰な炎症反応が起きている場所で、鎮静化のために働く。

画像出展:「臓器たちは語り合う」

 

 

腸の健康が万病を予防する

・免疫に求められることは攻撃力だけではなく、攻撃すべき相手をしっかり攻撃し、不必要な攻撃はしない「調整力」を上げることが必要である。その方法は見つかっていないが、「免疫の臓器」の腸の健康を維持することが重要であり、また、食生活に注意することが大切である。

第6章 ネットワークと病気

・「免疫の暴走」の背景には、食生活の激変と感染症の脅威の激変があると考えられる。

人体のネットワークは「クモの巣」のようなもの

・ネットワークには「引き戻す仕組み」がある。これは上昇した血圧をメッセージ物質のANPが血管を拡げ、ANPを受けた腎臓は尿として水分を排出することにより血圧を下げる。あるいは酸素不足があれば腎臓がエポ(エリスロポエチン)というメッセージ物質を出し、それを受け取った骨髄が赤血球を増やし、全身の酸素の供給を回復させるといった仕組みである。

病気とは人体のネットワークの変化である

・『「引き戻す力」によって構成されている人体のネットワークは、外部から力がかかった場合(たとえば、食べ過ぎ)、しばらくの間はネットワーク全体で受け止めるため、何の変化もありません。しかし、それが続くと、ネットワークの中に「引き戻す力」が効かなくなる部分が現れます(たとえば、レプチンが効かなくなる)。すると、ネットワーク全体の形が少し変わります(肥満になる)が、まだ大きな変化ではありません。ところが、さらに力がかかり続けていくと、加速度的に変化が広がっていき、最後には重要な結節点が壊れて(膵臓がインスリンを出さなくなっていく)、ネットワークが崩壊するのです。』

・『「病気とは何か?」の大きな捉え方として、「病気とは、人体のネットワークの変化である」ということを感じて頂ければと思います。これが病気の本質なのです。』

病気の本質を知ることの意義

・一般的に病気は健康診断の数値や微妙な体調の変化などで知ることができる。ところが多くの場合、病気とはほど遠いもののように思われ、「まだまだ大丈夫」と思ってしまうものである。しかしながら、この状態は「少々のことならネットワークが全体で吸収し、元の状態に引き戻してしまうはずなのに、それができなくなっている」ということを意味し、まさにネットワークの形が変わり始めた証拠である。大事なことは、この段階で対処するということである。

東洋医学の再評価

・『人体をネットワークとして捉える考え方は、東洋医学が、はるか昔から培ってきた人体観に通じるものがあります。東洋医学的には、「未病」という考え方があり、病気になってから治すのではなく、病気になる前に治すことを目指すとされます。また、「病気を診る」のではなく「人を診る」という立場を取ります。病気が時間的、空間的に広がりを持っていることを、しっかりと意識しているのです。

西洋の医学は、分析的手法で発展してきました。人体を解剖し、それぞれの臓器の役割を一つひとつ明らかにしました。薬を作るときも、一つひとつの成分を抽出して効果を確かめ、必要なものだけに絞り込みます。これは合理的で間違いの少ない手法ですから、大きな成果を上げてきました。

一方、東洋医学は、こうした分析的な手法を取りませんでした。臓器ごとに考えるのではなく、人体の中のつながりを重視します。薬草から一つの成分を取り出すのではなく、生薬としてそのまま使い、むしろ、いくつもの生薬を複合することで薬とします。

西洋医学が分析的(アナリティック)なら、東洋医学は全体的(ホリスティック)だと言えるでしょう。これらはどちらも大切なアプローチです。西洋医学が、臓器から細胞へ、細胞から分子へと、より小さな領域へ分析を進めていった終着点で、全体を見ることの大切さに行き着いたことは、非常に興味深いことです。

第7章 ネットワークのさらに奥へ

腎臓が固くなる本当の理由

・慢性腎臓病になると、腎臓の中で「固くなった細胞」がたくさん現われる。これが進行すると次第に腎臓全体が固くなり、機能を大きく低下させる原因になる。これが線維化である。

線維化の役割を研究した結果、固くなった細胞が「レチノイン酸」という物質を出しており、これが近くの傷害を受けた細胞に届くと、修復を速めるメッセージとして働くことが分かった。これにより線維化には意味があり、絶対悪ではなかったことも分かった。

傷害の程度が軽く、修復が順調に進めば固くなった細胞が元に戻ることも明らかになった。しかし、傷害の程度が重いと修復はなかなか進まず、固くなった細胞がどんどん増えて、いつしか腎臓全体の機能低下を招くことになる。つまり、腎臓の中にある、細胞同士のネットワークにおいて、線維化は傷害を「引き戻す力」として働いているものの、治しきれないほどの傷害を受けた時、ネットワークは壊れ、病気へとなる。

画像出展:「腎障害における線維化の正の側面の発見 -線維化が腎臓を修復する-京都大学

慢性腎臓病が進行すると腎臓の「線維化」が認められるため、従来は「線維化」が腎機能を低下させると想像されていました。~中略~ 本研究では、尿細管にはもともと自分自身を修復する「レチノイン酸」の合成能があること、尿細管が障害されるとその合成能が失われる一方で、障害尿細管の周囲の線維芽細胞がレチノイン酸産生能を獲し、障害尿細管の修復を助ける可能性を発見しました。

第8章 脳

全身のメッセージを意図的にブロックする仕組み

脳は支配者ではないが、人体のネットワークの中で非常に特別な存在である。

・脳以外の血管には穴があり、血液は血管外にしみ出していくような構造になっている。そのため、栄養素やメッセージ物質を効率よく組織に届けることができる。

血液脳関門に単なる物理的な壁ではなく、血液中の物質を選択して通す仕組みである(以前は分子の大きさと考えられてきた)。

画像出展:「臓器たちは語り合う」

 

 

血液脳関門はなぜ必要か?

・ほとんどのメッセージ物質は血液脳関門によってブロックされ、脳の神経細胞には届かない。これは他の臓器からのメッセージをブロックしなければならないためである。

神経細胞ネットワーク

・脳のなかは1000億個とも言われる神経細胞が網の目を作っている。その神経細胞のネットワークは電気信号だけはなく、神経細胞同士をつなぐ接続部分(シナプス)には隙間(シナプス間隙)があり、その接続には神経伝達物質と呼ばれるメッセージ物質が関与している。シナプスを行き交う神経伝達物質には様々な種類がある。これにより脳は別次元の複雑さを生み出すことができるのである。ヒトはそれを「思考」と呼び、そこに「意思」を見いだす。

雑音がない静謐な空間

・血液中に含まれている全身の臓器からのメッセージ物質が、もし無制限に脳の神経組織に入ってきたとすれば、脳は混乱し機能は停止してしまう恐れがある。脳は外からの雑音が少ない空間でなければならない。つまり、神経細胞がいる領域から不必要な物質を排除し、脳の思考を守っている仕組みが血液脳関門だと考えられるのである。

創造性、自主意志、ひらめき

・神経細胞間のシナプス間隙を行き交う様々な神経伝達物質の量は毎回異なるものである。そのため、細胞同士の会話には「まったく同じこと」は二度と起きない。これが脳の思考の柔軟性につながっている。

ヒトの脳は集中しているときよりも、ぼーっとしている時の方が、脳内の広い領域をつないでいるネットワークは活性化している。ヒトが意識して何かを考えている場合、それは一部だけでなく、神経細胞同士の会話は意識の外でも常に行われている。そして、無意識に行われる細胞の会話にこそ、「ひらめき」の素が潜んでいる。「ある日突然ひらめいた」と思ったことも、実は、脳の神経細胞は密かに会話していたことかもしれない。

「脳の細胞は一度死ぬと、復活しない」は本当か?

・脳の神経細胞は大人になっても、日々新たに生まれている。特に記憶を司る「海馬」では1日700個ほどのペースで神経細胞が生まれ続けていると推定されている。なお、この数は決して少ない数ではない。

第9章 生命誕生

細胞のネットワークが人体を作る

・生命誕生は正確無比な細胞分裂によって進んでいくが、これは人体の究極の謎といえる。しかしながら、明らかなことがある。それは、どこかに人体を作り上げる司令塔がいるわけではなく、細胞たちが当たり合うネットワークによって、人体は作られるということである。

第10章 健康長寿

人体は神秘の巨大ネットワークである。

・『人体のネットワークのつながりは、いま全体の何パーセントぐらいが解明されているのでしょうか?

つい最近まで「ゴミ箱」だと思われていたエクソソームが、別次元の情報伝達手段だったことがわかりました。実は、エクソソームと似ているけれど少し違う、細胞が出すカプセル状のものはいくつも存在しています。「マイクロベシクル」や「アポトーシス小体」と呼ばれるものです。これらも、情報伝達に使われていることがわかってきましたが、詳細が明らかになるのは、まだまだこれからです。

また、本書ではあまり触れられませんでしたが、「自律神経」のネットワークも、古典的な研究をはるかに超える、複雑な情報伝達の経路になっていることがわかってきています。こちらも研究が進められている真っ最中です。

そして、これから先に、もっと別次元の情報伝達手段が発見される可能性もまったく否定できません。なにしろ人体の中には、「ゴミ」と片付けられているものが、いまでも山ほどあるからです。

人体のネットワークの全容は、まったく見えていません。全体の70パーセントぐらいまでわかったのかもしれませんし、もしかすると、ほんの数パーセントなのかもしれません。いったい、どこまで広がり、どれほど複雑なネットワークなのか?それすらも、謎に包まれています。

人体は、神秘の巨大ネットワークである。これはまぎれもない真実です。そして、その探求の歩みは、人類を根源的な問いの答えへ導くとともに、私たちに病を克服する手段を与え、健康長寿をもたらしてくれる』

感想

何が強く印象に残っているのかを思い返してみると4つのことが頭に浮かびました。

1.メッセージ物質とは

・メッセージ物質は、臓器・細胞同士がコミュニケーションに使う物質を総称しています。科学用語で言うと、ホルモン、サイトカイン(細胞間情報伝達物質)、神経伝達物質など、さまざまな呼び方をすべて含むものです。取材途中の段階では、「細胞間のシグナル伝達を担う物質」を略して「シグナル物質」だったそうですが、最終的に「メッセージ物質」という番組固有の名称に変更したとのことでした。そのメッセージは“指令”ではなく“つぶやき”に近いものです。

2.臓器ネットワークの中の脳の存在感

・臓器同士、さらには細胞同士の間を様々なメッセージ物質が行き交う命の現場において、脳はメッセージ物質を取捨選択し不要なメッセージ物質を排除しています。これを担っているのが血液脳関門です。この働きにより脳が情報の渦に巻き込まれることなく、雑音がない静謐な空間を作り出すことにより、脳の思考を守っています。「臓器ネットワーク」や「第二の脳」ということを考えると、脳は生命を司るすべての司令塔とはいえませんが特別な存在です。本書にあった次の文章が印象的でした。『さすがは脳、やたらに他の臓器の言うことを聞いたりしない「孤高の存在」という感じがしてきます。』

3.腎臓も修復しようと努力している

・一般的に腎臓は不可逆性の臓器とされています。

腎臓の不可逆性

-腎臓の機能低下は、一般的に不可逆的なプロセスとして認識されています。つまり、一度損傷を受けた腎臓の機能は、完全には元に戻らないということです。

腎機能は、健常者でも加齢に伴い経年的に低下していきます。CKDによる腎機能の障害は不可逆性のため、治療の主な目的は、現在の腎機能をできるだけ維持し、その後の腎機能低下のスロープを緩やかにすることです。

画像出展:「AI(Perplexity Pro)が作成」

 

 

 

 

 

<レチノイン酸>

-本書の中で紹介されている“レチノイン酸”が腎臓の機能回復のためのメッセージ物質です。ただし、腎機能が完全に戻るということではなく、AIの指摘通り、「進行を遅らせることが可能である」というものです。

そのメカニズムは線維化により固くなった細胞が「レチノイン酸」という物質を出し、これが近くの傷害を受けた細胞に届くと、修復を速めるメッセージとして働きます。傷害の程度が軽く、修復が順調に進めば固くなった細胞は完全とはいえないまでも戻ります。しかし、傷害の程度が重いと修復はなかなか進まず、固くなった細胞がどんどん増えて、いつしか腎臓全体の機能低下を招くことになります。

元に戻るわけではないが、改善させることは可能であり、それは線維化されてしまった細胞から発するメッセージ物質の“レチノイン酸”による働きであるということが分かったことは、大きな収穫でした。

画像出展:「AI(Perplexity Pro)が作成」

 

 

 

 

 

4.血管は人体の「情報回線」だった

この4番目が今回の1番の発見でした。

・『臓器たちが語り合う体内ネットワークで「情報回線」にあたるのは何なのかということです。インターネットならば、世界中をつなぐ光ファイバーケーブルがあり、その中を情報が駆け巡っています。では、体内ネットワークでメッセージ物質を運んでいるのは何か?それは「血管」であり、中を流れる「血液」です。

・「情報回線」と言われて、最初に思い浮かぶのは“神経系”です。しかしながら、「神経はすべての細胞につながっているわけではありません」。一方、血管もすべての細胞に直接つながっているわけではないのですが、血液を通して運ばれる物質は、ほぼすべての細胞に行き渡るようになっており、人体に張り巡らされた血管網は、総延長およそ10万キロメートル、地球を2周半するほどの長さがあります。酸素と栄養素が血液によって運ばれるのは周知の事実ですが、さらに今回、様々なメッセージ物質が血管という臓器ネットワークを介して行き交っていることを知りました。

酸素、栄養素、各種メッセージ物質を体内に行き渡らせ、しかも網羅性に関しては神経系を凌駕している“血管”は体内の「情報回線」に相応しい生命のインフラだと思います。神経系と血管の違いについて、本書では次のような説明がされています。『たとえるならば、神経系は固定電話のようなもの、家や職場につながっていますが、個人にはつながりません。一方の血管は、インターネットです。スマホやパソコンを通して、一人ひとりにつながります。』

“神経系”は中枢神経(脳・脊髄)と末梢神経(運動神経・感覚神経・自律神経)のネットワークで、脳が大きく関与しています。一方、“血管”は脳も関与していますが、それ以上に各臓器・各組織を結びつける臓器ネットワークです。表裏一体、この2つのネットワークはいずれもなくてはならない存在です。

画像出展:「命を支える神秘の巨大ネットワーク “メッセージ物質”が医療を変える!NHK

『まず何より目を見張るのは、格段の進歩を遂げたさまざまな映像技術です。これは、「光超音波3Dイメージング」という最先端の手法によって撮影された、手の血管網です。太さわずか0.3ミリの微細な血管まで、ありありと映し出されています。』