まとめ1
まず、脳と腸の連携に焦点をあてて、関連するものを取り上げました。
●セロトニンの95%は腸に貯蔵されている。
●セロトニンは脳腸相関で非常に重要な役割を果たすシグナル分子である。
●セロトニンの消化器内での働きは収縮、睡眠、食欲、痛覚感受性、気分、全般的な健康に関わる。
●セロトニンを含む腸内の特殊細胞は、脳の情動中枢に向けて直接シグナルを送り返す感覚神経と緊密に結びついており、脳腸相関の重要な構成要素をなす。
●セロトニンは腸と脳のシグナル交換に用いられる究極の分子である。
●セロトニンを含む細胞は小さな脳と大きな脳の両方に密接に結びついている。
●セロトニン・シグナルシステムは、消化器系の活動、さらには感情に結びつけるのに重要な役割を果たす。
●セロトニンを含む腸内の神経は蠕動反射の調節に関与する。
●腸では、脳の感情をコントロールする中枢に直に結合する迷走神経の経路の近くに、膨大なセロトニンが蓄えられている。
●代謝物質が脳にシグナルを伝えるもう一つの重要な方法は、腸壁に存在するセロトニンを含む腸クロム親和性細胞を介したものである。
●腸内微生物は消化不能な物質の消化が可能で、その活動を通して数十万種類の代謝物質が産生される。
●微生物が産生した代謝物質の多くは血流に入り、そこで循環するあらゆる分子のほぼ40%を占める。
●腸は脳と神経の太いケーブル(迷走神経)によって両方向に、また、血流による連絡経路を介して結合している。
●腸と脳のコミュニケーションは特定の分子が炎症シグナルとして脳と連絡を取る方式、ホルモンのように血流を伝わる方式、そして神経シグナルの形態で脳に達する方式など、伝送方式が異なるいくつかの並列的な「伝送経路」に沿って生じる。
●腸内微生物はホルモン、神経伝達物質、あるいは代謝物質と呼ばれる無数の小さな化合物からなる種々のシグナルを介して、常時脳と連絡を取り合っている。
●情動は腸や微生物が生成するシグナルに影響を及ぼすとともに、脳に戻って情動を強めたり、長引かせたりする。
●脳で生じるいかなる情動も、胃腸の活動に反映される。
●情動は腸内の各種腸細胞、腸管神経系の細胞、100兆個の微生物に様々な影響を与える。
●消化の管理は概ね腸管神経系が担っている。
●腸管神経系とは食道から直腸に至る消化管壁を取り巻く、5000万個の神経細胞からなるネットワークであり、「第二の脳」と呼ばれている。
●腸管神経系から脳に伝達されるシグナルは10%ほどであり、脳に頼ることなく活動を維持できる。
●24時間365日、消化管と腸管神経系と脳は常に連絡を取り合っている。
●中枢神経系は、元来はもっぱら腸管神経系が処理していた状況に応じて他の動物に近づく、危険な動物を回避するなどといった外界に対する行動の管理を、徐々に受け持つようになっていった。やがて行動管理機能は情動を司る脳領域に移管され、腸管神経系は基本的な消化機能だけを担当するようになった。
●腸管神経系は消化管で集められた感覚情報を注意深く監視している。
●迷走神経を介して伝達されるシグナルの90%は消化管から脳へと流れる。
●脳への内臓刺激の伝達には、迷走神経がとりわけ重要な働きをする。
●消化管を構成する細胞や内臓刺激をコード化するレセプターの大多数は、迷走神経を介して脳と緊密に連絡している。
●内臓刺激はホルモン、免疫系のシグナル分子、そして迷走神経をはじめとする感覚神経の活動を通じて、小さな脳(腸管神経系)と大きな脳に伝えられる。
●消化管のデータ収集システムが送る報告は、消化管の小さな脳(腸管神経系)にも頭部の大きな脳にも、さまざまな必須情報を提供する。大小二つの脳はどちらも、飲食物を摂取するとこの必須情報の入手にいそしむが、おのおのは別々の情報に関心を寄せる。
●消化管は1日中、起きていても眠っていても、身体の奥深くで生じるあらゆる事象に関する情報を、ミリ秒単位で脳に送っている。(もちろん、中枢神経系にフィードバック情報を常時送っているのは、消化管だけではない。脳は、身体のあらゆる細胞や組織から常時感覚情報を受け取っている)
●消化管やその感覚メカニズムが脳に送るメッセージは、その量、多様性、複雑性において抜きん出る。
●消化管の感覚ネットワークは表面全体に分布しており、その総面積は皮膚の200倍、いい換えるとバスケットボールのコートとほぼ同じ大きさになる。
●消化管は真のスーパーコンピューターである。細胞の数という点では脳をはるかにしのぎ、能力という点でも脳のいくつかの機能に匹敵する。
●脳は、全体的な健康に焦点を絞り、消化管から送られてくる種々の徴候を監視して、その情報を身体の他の部位から送られてくるさまざまなシグナルや、環境に関する情報と統合する。腸管神経系で生じている事象も監視する。
●大きな脳が直接関与するのは、本人が意図した場合か、脳の反応を必要とする重大な脅威にさらされたときに限られる。
●脳は消化管から送られてくるあらゆる感覚情報を常時監視しているが、日常業務は地方自治体、すなわち腸管神経系に委任している。
まとめ2
次に、セロトニン、迷走神経、腸内微生物、シグナル分子、炎症シグナル、神経シグナル、代謝物質、腸クロム親和細胞、ホルモン、内臓刺激、内臓反応、大腸、情動について、脳腸相関におけるそれぞれの働きについて、AI(Perplexity Pro)に質問してみました。
1)セロトニン

画像出展:「消化・吸収だけじゃない!腸の意外な働き」(からだカルテ)
『ストレスを感じるとおなかが痛くなったり、下痢や便秘などの腸の異常を感じるのは、脳→腸へのシグナル伝達ですし、一方で、腸内環境が悪化することによって、不安を感じたり、腸内環境が改善することで、抗うつ効果など脳への影響があることは、腸→脳へのシグナル伝達です。』
2)迷走神経

画像出展:「脳腸相関②:脳と対話する腸」(ヤクルト中央研究所)
『脳と腸の情報交換は、免疫系、内分泌系、神経系という腸に備わる機能を介して行われています。特に、腸から脳への情報伝達のルートとして注目されているのが、「迷走神経」です。』
3)腸内微生物

画像出展:「AI(Perplexity Pro)が作成」
『腸内微生物は、神経系、内分泌系、免疫系を介して脳と双方向的にコミュニケーションを取っており、その影響は精神状態から認知機能まで多岐にわたります。特に、腸内微生物の代謝産物や神経伝達物質の産生が脳機能に大きな影響を与えていることが注目されています。』

画像出展:「脳腸相関③:脳腸相関は腸内細菌なしには語れない?!」(ヤクルト中央研究所)
『脳腸相関に関わる腸内細菌ですが、一体どのように脳に情報を送っているのでしょうか。腸内細菌の脳への影響のメカニズムについてさまざまな角度から研究が進められていますが、最近の研究で、腸内細菌が「迷走神経」を刺激し、脳に影響を及ぼしていることが分かってきました。』
4)シグナル分子

画像出展:「AI(Perplexity Pro)が作成」
『この表は、脳腸相関におけるさまざまなシグナル分子の役割を示しています。これらの分子は、腸内細菌、腸管細胞、免疫細胞、神経細胞など、様々な源から産生され、脳と腸の双方向のコミュニケーションに重要な役割を果たしています。神経伝達物質、ホルモン、サイトカイン、短鎖脂肪酸などが、神経系、内分泌系、免疫系を介して脳と腸の機能に影響を与え、複雑な相互作用を形成します。』

YouTube:「細胞間伝達の種類」(KEM BIOLOGY)4分56秒
5)炎症シグナル

画像出展:「AI(Perplexity Pro)が作成」
『腸内環境の変化が脳機能に影響を与え、逆に脳の状態が腸内環境を変化させることで、炎症反応が双方向に伝播することがわかります。この相互作用は、様々な疾患の発症や進行に関与している可能性があります。』
6)神経シグナル

画像出展:「AI(Perplexity Pro)が作成」
『脳からのストレスシグナルが腸の機能に影響を与え、逆に腸からの情報が脳に伝達されることで、双方向のコミュニケーションが行われています。また、腸管神経系(ENS)が重要な役割を果たし、腸内細菌も神経シグナルの伝達に関与していることがわかります。』
7)代謝物質

画像出展:「AI(Perplexity Pro)が作成」
『この表は、脳腸相関における主要な代謝物質とその働きを示しています。これらの代謝物質は、腸内細菌叢や食事、消化過程から生成され、脳と腸の双方向のコミュニケーションに重要な役割を果たしています。特に、短鎖脂肪酸や乳酸などの有益な代謝物質は脳機能の改善や認知症リスクの低下に関連している一方、アンモニアやLPSなどは脳機能に悪影響を及ぼす可能性があります。』
8)腸クロム親和性細胞

画像出展:「AI(Perplexity Pro)が作成」
『この表は、腸クロム親和細胞が脳腸相関において重要な役割を果たしていることを示しています。特にEC細胞が産生するセロトニンは、腸の機能調節だけでなく、骨代謝や炎症反応にも影響を与え、脳腸相関の重要な媒介物質として機能しています。』
9)ホルモン

画像出展:「AI(Perplexity Pro)が作成」
『この表は、脳腸相関において重要な役割を果たすホルモンの主な働きを示しています。これらのホルモンは、腸管内分泌細胞から分泌され、脳と腸の双方向のコミュニケーションに関与しています。例えば、グレリンは食欲を増進させる唯一の末梢由来ホルモンであり、脳内の様々な部位に発現するグレリン受容体を介して作用します。一方、CCKやPYY、GLP-1は食欲を抑制する働きがあります。』
10)内臓刺激

画像出展:「AI(Perplexity Pro)が作成」
『内臓刺激は単に腹痛や不快感を引き起こすだけでなく、神経系や免疫系を介して脳機能にも大きな影響を与えています。特に慢性的な内臓刺激は、末梢および中枢の感作を引き起こし、内臓過敏性の原因となることが示唆されています。』
11)内臓反応

画像出展:「AI(Perplexity Pro)が作成」
『内臓知覚、腸管運動、腸管透過性、内分泌反応、免疫応答などの内臓反応が、脳と腸の双方向のコミュニケーションに重要な役割を果たしていることがわかります。これらの反応は、ストレスや情動変化、消化器症状、さらには精神・神経疾患にも関与している可能性があります。』
12)大腸

画像出展:「AI(Perplexity Pro)が作成」
『大腸は腸内細菌叢の維持、免疫機能、神経伝達物質の産生など、多様な機能を持ち、脳と密接に相互作用しています。特に、ストレスや感情の変化が大腸の機能に影響を与え、逆に大腸の状態が脳機能や精神状態に影響を及ぼすという双方向的な関係が注目されています。』
13)情動

画像出展:「AI(Perplexity Pro)が作成」
『ストレスや不安、抑うつなどのネガティブな情動は、脳と腸の両方に悪影響を及ぼし、様々な症状を引き起こす可能性があります。一方、喜びや幸福感などのポジティブな情動は、脳と腸の機能を改善し、健康的な状態を維持するのに役立つことがわかります。』
感想
印象的だったのは、「大きな脳」と「小さな脳」という言葉です。前者は大脳などの脳です。後者は腸管神経系を指しています。その「小さな脳」の細胞の数は「大きな脳」を凌駕し、そこ生息する100兆個の腸内微生物は膨大な量の情報を常時脳に送っています。筆者は小腸を含む消化管を真の「スーパーコンピューターである」と言っています。
『複雑な動物が進化すると、原始的な神経系は、消化器系外の精巧なネットワークとして発達しはじめる。このネットワークは腸管神経系と密接な関係にあるとはいえ分離しており、シグナル交換のメカニズムのほとんどを備えていた。新たに進化した精巧な神経ネットワークは、やがて中枢神経系へと発展し、頭蓋骨の内部に司令部を置くようになる。
中枢神経系は、元来はもっぱら腸管神経系が処理していた、状況に応じて他の動物に近づく、危険な動物を回避するなどといった外界に対する行動の管理を、徐々に受け持つようになっていった。やがて行動管理機能は情動を司る脳領域に移管され、腸管神経系は、基本的な消化機能だけを担当するようになる。この分業は、私たちの脳腸相関でも維持されている。』
腸管神経系の「小さな脳」は「第二の脳」といわれていますが、進化の歴史においては、「第二」ではなく「第一」でした。そして、ヒトにおける消化管の感覚ネットワークは表面全体に分布しており、その総面積は皮膚の200倍、バスケットボールのコートとほぼ同じ大きさになるそうです。
生き物は、酸素と水と栄養素を摂り続けないと生きてはゆけません。しかしながら、体内に取り込むということは、細菌やウィルスなど健康に害を及ぼす微生物が確実に体内に入ってくるということです。腸と腸内微生物はバスケットボールコートほどの面積でそれを受け、そして適切に処理することで健康を守ります。「小さな脳」は「大きな脳」と協力しながら粛々と役割を果たしますが、「小さい脳」だけでも多くの仕事をすることができます。腸と脳、安全に水と栄養素を取り込む働き、まさに命を守る砦だと思います。
東洋医学の脳(奇恒の腑)は骨、髄と共に腎が主っています。腎は先天の精、そして後天の精を受け入れ、発育・成熟および生殖という基本的な生命活動を担っています。そして、腎に納まる精が気に変化すると原気となり、丹田に集まり人体の基礎活力として働きます。

画像出展:「カイロが効果的な部位、ベスト3は?」(ウェザーニューズ)
『東洋医学や日本の武術などでエネルギーが集まる場所として重要視される丹田ですが、ここが弱ると免疫力も低下し、病気にもなりやすくなるとされています。もし丹田を触ってみて、冷えた感じがするとか、くぼんだ感じがする場合は要注意。自分の身を削って生命力を消耗しています』
今回のブログで「氣」について思ったことは、「腎に納まる精が変化した原気は丹田に集まっており、その丹田には小腸の募穴である“関元”がある」ということです。また、丹田の下には腸があり、その腸は「第二の脳」とされ、西洋医学においては、脳腸相関というという生命維持に関わる重要なメカニズムを持っているということです。
「脳(奇恒の腑)や髄を主る腎、腎に納まる精が変化した原気、その原気が集まっている丹田は東西医学の要所である」ということは、『氣は何だろう』を考えるうえで、外してはいけないポイントではないかと思いました。