錆びない生き方

広岡氏は巨人軍の有名な遊撃手(ショート)でしたが、巨人の熱烈なファンであった私の小学校時代の遊撃手は黒江選手でした。そのため広岡氏は巨人というより、西武ライオンズの厳しい監督という印象です。

この本は、その題名と広岡氏が中村天風先生と藤平光一先生を“師”と仰いでいるということに興味を持ちました。本書の中で中村先生は“人間学の第一人者”として、藤平先生は“心身統一合氣道の創始者”として紹介されています。

著者:広岡達朗

発行:2025年4月

出版:(株)幻冬舎

 

目次

まえがき

1章 93歳、積極的に生きる

●体は衰える。だが、学びの収穫は大きくなる

●人をけなさない。HOW TO DOを必ず添える

●自主性の尊重は、好き勝手を許すことはではない

●天才だからいい、才能がないからダメ、ではない

●女房の死、自然治癒力を無視すれば体は弱る

●人の死で金勘定をされると思うと、おちおち死ねない

●寝小便など氣にするな。誰もが育つから大丈夫

●人生は心が決める。不遇も幸せも自分次第

●人生が変わった! この世になにをしに来たの?

●中村天風の教えは、なぜ生き続けるのか

●病院を頼りすぎない。自然治癒力をもっと信じて

●病氣のときにも、「ありがとう」と感謝する

2章 野球が教えてくれた、大切なこと

●海軍の父の教え。ひとりが手を抜けば艦は沈む

●ひとりで育つわけではない。積み重ねて今がある

●死なない限り生きている。生命は生きようとする

●心の隙を生まない方法。ただひとつ、鍛えるしかない

●運のいい人と悪い人、違いは選ばれた場所でどう取り組んだか

●プロは食うか食われるかの世界。甘ちゃんは追い出される

●川上哲治さんとの確執の噂。本当はどうなのか

●強いチームは懐が深い。蹴落とすのではなく磨き上げる

●今だけ、この場だけ、自分だけ。目先優先では未来は危うい

●「ボールが止まって見えた」という神様・川上名言の真相

●心と体の使い方を知らないと、技術は高まらない

●ライバルは蹴落とすのではなく、切磋琢磨する存在だ

●固執すれば流れは淀み、全体が腐っていく

●人生はなるようになる。だから憂えることなかれ

3章 人間を育てる、広岡の流儀

●野球解説者になろう。ただしやるなら本氣で

●本氣でやると、不運も幸運に転じてくる

●根氣よく教えれば人は必ず育つ。あきらめた時点で終わり

●よい面を見ればよい面が伸びる。悪い面を見れば悪い面が伸びる

●ぬるま湯に浸っている甘ちゃんは冷水に放り込めばいい

●本氣だから鬼になれる。本氣にならなくては伝わらない

●弱小チームにいるからこそ、多くのことを学べる

●ローテーションの分業制は、投手を本氣にさせる制度

●自然食にすると動作は俊敏になり、ケガも減る

●肉を食べないライオンズ。事実はそうではない

●本氣は伝播する。氣はエネルギーなり

●内臓に負担をかけない。体力が必要なプロ選手なら当たり前

●心に迷いがあると体も迷い、能力を発揮できない

●組織を強くするには、味方になる人をふたり置く

●チームに緊張感があると、ごまかしが利かなくなる

●リーダーには「向き・不向き」がある

4章 すべては心が決めている

●死を宣告されてもやれることをやる

●すべては心の持ち方なのだ

●無念無想ほど強いものはない

●あらゆる力は氣から生まれる

●凝り深い私が本物と認めたふたり

●来た球を、ただ打てばいい

●臍下の一点とはどこにあるのか

●正しい心の持ち方と氣の原理を知れば、迷いはなくなる

●王貞治の一本足打法は、心身統一合氣道から生まれた

●二本足でふらつくなら一本足にしたらいい

●心身統一の四大原則と私の「心身統一野球道」

●「やる」と決めると本当にできる

●ふたりの師匠はとても人間味があった。

5章 天風直伝

●天地自然の健康法

●年齢に応じた食事とお酒、果物の効果

●無理して食べたら、逆にパワーが出なくなる

●唾液の効用。よく噛むほど健康になり、力も出る

●感情と血液の関係。積極的な心は血液をよくする

●心身統一。健全な精神が健全な肉体をつくる

●消極的な心でいると病氣になる

●医者が治すのではなく、自分で治すのだ

●睡眠中に生命エネルギーを取り入れる

●すべての関節を動かして、体に血液を巡らせる

●病氣は自分がつくる。それに氣づかないと治らない

●自分の体のことは、自分で責任を持つ

●食事は植物性本位にすることが、無病長寿の秘訣

●動物性食品を摂り過ぎると体は衰える

●逃げ道をつくらない。自然は弱氣な人をもっと弱くする

6章 人生が好転するたたひとつの方法

●太陽はどんなときも照らしてくれる。受け入れるか拒むかは自分次第

●丁寧な準備があるから、流れる動作ができる

●自然な動きを考えたら、なにが正しいかわかる

●負けたときには、氣を出すように仕向ける

●いい人と悪い人。付き合ってみなければ真実はわからない

●自分を高めるためにはライバルをつくる

●ライバルは自分でつくる。人のよさを認められる人は強い

●好き嫌いをせず公平に教える。育つかどうかは本人の問題

●どんな選手も育つ。早いか遅いかの違いだけ

●過去の遺産で生きるなかれ、自分で学ぶとぶれなくなる

●自分に固執せず、自分を活かすことを考える

●嫌いな人がいるのは仕方がない。でも嫌いな人にも声をかける

●知らないうちに人の元氣を奪う人。人を元氣にさせる人

●苦しい欲望と楽しい欲望。どうせなら楽しい欲望を持って生きる

あとがき

1章 93歳、積極的に生きる

天才だからいい、才能がないからダメ、ではない

「この選手はこうすれば必ず伸びる」「このチームはこうすれば勝てる」という根拠と信念を持たない人は、指導者になるべきではない。また、「なんとしてでも伸ばしてやる」という気概のない人も、同様に指導者には向いていない。

・負けていたチームが少しずつ勝てるようになると、「監督のことは嫌いだが、言っていること、やっていることは正しい」という声が聞こえるようになる。このような段階にくると、選手もチームもどんどん変わっていく。選手は「俺たちはできる。勝てる」と思いはじめるので、厳しい練習も自ら率先してやるようになる。

人生は心が決める。不遇も幸せも自分次第

・『どんな人生を歩むかは、心が決めています。仮に、「私は不遇だ」と思って生きたら、人生は不遇なものになるでしょう。不遇だと思っている人は、不遇な行為を選んでいるからです。それが積み重なれば、不遇な人生になっていくのは当たり前のことでしょう。ところがこの簡単な“道理”がわからない人が多いのです。』

病院を頼りすぎない。自然治癒力をもっと信じて

・医者は「心の持ち方が人を病氣にもするし、元氣にもする」という天地自然の法則を知る必要がある。医者は人間を診るのが仕事である。ところが、人間を見ずに病氣だけを見ていると患者は不安になり、病氣は悪化する。

●病氣のときにも、「ありがとう」と感謝する

・心の持ち方や考え方、行動に何らかの間違いがあるから病氣になる。病氣はそれを教えてくれるものである。

病氣になったことで間違いに気づき、改めることができる。病氣にならなければ、そのまま間違った考えを行動を続けてしまう。疲れやストレスも同様である。ストレスは「これは危険だ」、「これ以上やるな」と知らせるサインである。

・病氣なっても自分の力で癒せるよう、そして病氣をできるだけ近づけぬよう、心と体を整えておくことが大事である。

2章 野球が教えてくれた、大切なこと

運のいい人と悪い人、違いは選ばれた場所でどう取り組んだか

・『与えられた役割で自分を磨き続ける―。世間の人はよく「運がいい」とか「運が悪い」とか言います。でも、運とは、運ばれてくるものではありません。運ばれた場所で、いかに努力をするかだと思います。やるべきことをひとつひとつ、心を込めてやるから運がよくなるのです。反対にやるべきことをやらないと、運が悪くなります。

もちろん、嫌な環境に運ばれてしまうこともあります。しかし、そこで不貞腐れたり、文句ばかり言って手抜きをしていたら、運の悪いままです。そこで「なにくそ」と奮起したり、目の前の課題と必死に向き合っていれば、なぜかおもしろくなってきます。自然と力もつくし、人から認めてもらえたりします。運がよくなってくるのです。不思議ですけれど、これは天地自然の法則なのだと思います。』

固執すれば流れは淀み、全体が腐っていく

・考えて、実践して、失敗する。また考えて、実践して失敗する。そうやって、何度も何度もくり返して掴んだものでなければ、自分のものにはならない。

先達が自分の利益だけを考え、ポジションに固執すれば、後進の歩みは止まる。それどころか全体が滞り、腐っていく。それは未来を危うくすることでもある。

3章 人間を育てる、広岡の流儀

心に迷いがあると体も迷い、能力を発揮できない

迷いがあるうちは力を出せない。しかし「これは正しい」と思うと心が決まる。こうなると本来の能力を発揮することができるようになる。

指導者は自分の進むべき道は正しいと信念を持つことが必要である。指導者に迷いがあれば選手も迷ってしまう。

リーダーには「向き・不向き」がある

・リーダーになるために1番大切なことは「動機」である。「人を自分の思い通りに動かしたい」などと考える人はリーダーには向いていない。

「ひとりひとりの持っている力を引き出したい」と思う人はリーダーに向いている。

「人のため」にリーダーになる人は、個人の能力や性質をよく見抜き、どう伸ばすか、組織にどう活かしていくかを考えられる。

リーダーは「誰になんと言われようと、やるべきことはやる」という揺るぎない“実行力”が求められる。つまり、リーダーの覚悟が問われる。

・自分本位だと“我が身可愛さ”のあまり心が揺らぎ、迷いが生じる。一方、世のため人のためという他社本位だと、心がきまる。自分を捨てて、他者のために働けるリーダーは本物である。

5章 天風直伝

感情と血液の関係。積極的な心は血液をよくする

・「感情と血液の関係」はとても興味あるものですが、内容を拝見したところ少し疑問があったので、ここはネットにあった情報とAI(Perplexity)の回答をご紹介させて頂きます。

画像出展:「Frontiers

『ここでレビューした研究の結果は、心血管の健康における心理的幸福の重要性について多くの証拠を提供しています。健康な個人とCVD患者の両方において、肯定的な心理的構成と健康指標の改善との間に関連が認められています。』

 

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6章 人生が好転するたたひとつの方法

●ライバルは自分でつくる。人のよさを認められる人は強い

素直な人間は、人を認めることができる。人の良いところを素直に認めて学び、自分の悪いところは素直に認めて直す。そのような人は確実に伸びる。

感想

ブログでは、主に「人の成長」に必要な要件と、リーダーにとって必要な資質に焦点をあてました。一方、非常に興味をもったのは、“中村天風先生”という偉大な人物です。

中村先生が自ら書いた本『真人生の探求』の第四版を“日本の古本屋”で見つけ購入しました。

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画像出展:「中村天風とその足跡

明治9(1876)年生まれ。

日露戦争の軍事探偵として満蒙で活躍。帰国後、当時不治の病であった肺結核を発病し、心身ともに弱くなったことから人生を深く考え、人生の真理を求めて欧米を遍歴する。

一流の哲学者、宗教家を訪ねるが望む答えを得られず、失意のなか帰国を決意。その帰路、奇遇にもヨガの聖者と出会いヒマラヤの麓で指導を受け、「自分は大宇宙の力と結びついている強い存在だ」という真理を悟ることで、病を克服し運命を切り拓く。帰国後は実業界で活躍するが、大正8年、病や煩悶や貧乏などに悩まされている人々を救おうと、自らの体験から“人間の命”の本来の在り方を研究、「心身統一法」を創見し講演活動を始める。 

画像出展:「心身統一法とは

人間は誰でも、大した経験や学問をしなくても、完全な人間生活、いわゆる心身を統一できる人間であれば、男でも、女でも、だれでも、ひとかどの成功ができるようになっているのである』

(中村天風『運命を拓く』より)