Muse細胞と慢性腎臓病

今回のブログはこちらの専門誌からです。バックナンバーは販売完了となっていましたが、“医学専門ジャーナル・書籍の電子配信サービス”というサイトから論文単位での購入が可能だったため、2つの論文を入手することができました。

ブログは有償の論文に基づくものになるため、簡潔にお伝えする程度となっています。

血液フロンティア Muse細胞 現状と将来展望
血液フロンティア Muse細胞 現状と将来展望

画像出展:「医学専門ジャーナル・書籍の電子配信サービス」

『医学、看護、リハビリテーション、薬学などの分野を中心に、主要医学出版社12社の94誌を同一プラットフォームで利用できます。』

購入した論文は以下になります。

Muse細胞研究の最前線

Muse細胞研究の最前線
Muse細胞研究の最前線

画像出展:「血液フロンティアvol.29 No.2」

腎不全におけるMuse細胞を用いた治療戦略
腎不全におけるMuse細胞を用いた治療戦略

画像出展:「血液フロンティアvol.29 No.2」

1.Muse細胞研究の最前線

こちらは、見ずらいのですが1枚の紙にまとめることにしました。上段2つのイラストは“Muse細胞研究の最前線”内のイラストとほぼいっしょですが、いずれもネット上で見つけたものです。左は“327635_1_En_3_Fig2_HTML”でネット検索して頂くと出てきます。右は“Muse細胞の点滴による慢性腎臓病の新しい治療法の可能性 ‐組織修復と機能回復をもたらす修復治療を目指して‐”の中にあったものを拝借しました。PDFの14枚資料の10ページめにあります。

Msue細胞研究の最前線
Msue細胞研究の最前線

2.腎不全におけるMuse細胞を用いた治療戦略

こちらは、腎臓病に対する幹細胞治療の現状、およびMuse細胞を用いた腎臓病治療の基礎実験と展望が紹介されています。

1)腎臓の構造と発生

・糸球体を形成する足細胞と尿細管の上皮細胞は障害を受けた際の両者の再生能は大きく異なる。尿細管上皮細胞は優れた再生能力があるため、尿細管障害はある程度回復可能である。一方、足細胞は成体ではほぼ再生しないため、足細胞が脱落するような糸球体の障害は回復しがたい。

2)腎臓の働き

・腎臓は、水分・電解質の調整や老廃物の排泄のみならず、ビタミン Dの活性化や造血ホルモンの産生などを行っている。

3)Muse細胞を用いた腎臓病治療

・尿細管は再生可能である。一方、糸球体が再生するためには足細胞の再生が鍵となる。外部からより多くの足細胞の progenitorを供給できれば、腎機能の回復ができる可能性がある。

4)Muse細胞投与による基礎実験

Muse細胞の点滴による慢性腎臓病の新しい治療法の可能性
Muse細胞の点滴による慢性腎臓病の新しい治療法の可能性

画像出展:「東北大学Press Release」

こちらは先にご紹介した“Muse細胞の点滴による慢性腎臓病の新しい治療法の可能性 ‐組織修復と機能回復をもたらす修復治療を目指して‐”になりますが、基礎実験については同じものです。(PDF14枚の資料です)

一方、“腎不全におけるMuse細胞を用いた治療戦略”の中に、再生できないとされている足細胞について、『足細胞が新生されている可能性』という大変興味深い記述を見つけましたので、そちらをご紹介させて頂きます。

・『近年、ヒト成体においても少数の足細胞が新生されている可能性が報告されている。糖尿病性腎症の患者で一部の壁側上皮細胞が足細胞の progenitorとなっている可能性が、また、性別の異なるドナーから腎移植を受けたレシピエントの腎臓に、レシピエント由来の足細胞が認められることから、腎外由来の progenitorが存在する可能性が示唆されている。ただし、いずれも腎機能を回復するには不十分である。

このうち、前者(糖尿病性腎症)に関する論文は下記になります。なお、語学力的にも、腎臓の知識的にも力不足のためご説明することができません。ご紹介のみとなります。ご容赦ください。 

画像出展:「PubMed Central® (PMC)」 

Kidney Int. 2015 Nov; 88(5): 1099–1107.

The phenotypes of podocytes and parietal epithelial cells may overlap in diabetic nephropathy

 

付記1S1P(スフィンゴシン1-リン酸)

再生、修復を担うMuse細胞には、傷害を知らせてくれる仕組みが必要です。その役目を担っているのが“S1P(スフィンゴシン1-リン酸)”になります。つまり、二人三脚、なくてはならないパートナーです。以下にご紹介させて頂いた北海道大学 生化学研究室(LABOLATORY OF BIOCHEMISTRY)さまのサイトにS1Pに関する詳しい説明が出ていました。  

スフィンゴシン1-リン酸の受容体を介したシグナリング
スフィンゴシン1-リン酸の受容体を介したシグナリング

画像出展:「北海道大学 生化学研究室

 

付記2:“再生医療トッピクス”

NPO法人再生医療推進センターさまのサイトです。ここでは、慢性腎臓病に関する情報とMuse細胞による臨床試験および基礎研究に関する情報が出ています。

No.45 再生医療トッピクス 

慢性腎臓病などに対する再生医療等の取組

画像出展:「NPO法人再生医療推進センター」

 

画像出展:「NPO法人再生医療推進センター」

 

付記3:TBS News

TBSさまのニュースサイトにMuse細胞に関する3分33秒の動画がありました。