質問力とメタ認知

未読の本が溜まってしまっていて、この本を何で買ったのかよく覚えていないのですが、そのことは気にせず読み始めました。そのようなやや緊張感を欠いた中で、2章の「質問力とはなにか」が気になりました。

私はあまり空気を気にしないタイプなので、質問の時間になり一呼吸おいて誰も手を上げない場合は、毎回のように最初の質問者になっていました。これは真剣に話を聞いていると必ず疑問が出てきてしまうためですが、もう一つは、誰もが質問できるような空気を作りたいという気持ちも少しありました。

著者:茂木健一郎

発行:2016年11月

出版:(株)河出書房新社

目次

はじめに 質問は現状を大きく変える力

1章 質問は人生を変える

●いい質問ができる人はどういう人か

●問題を提起できる人が偉い

●イノベーションを興す時間

●思いついたアイデアをすぐやってみる

●なぜ日本人は質問が下手なのか

●世の中には正解はない

●頭のいい人は自分に質問する

●科学的真実は絶対ではない

●質問力は誰でも鍛えられる

●自分の頭で考える

2章 質問力とはなにか

●質問と疑問は違う

●自分の中の違和感に気づく

●感情と論理の橋渡しをする

●誰の人生にも偏りがある

●自分の感情に気づくレッスン

●質問とは自分との対話

●自分自身をメタ認知する

●いい質問ができれば、答えは半分出たようなもの

●人生の選択肢を広げるツール

●世の中には三つタイプがいる

3章 いい質問、悪い質問

●知識と教養は違う

●質問とはカウンセリング力

●あなたの質問はナイーブかもしれない

●ソクラテスならこう聞く

●悪い質問①正確を直接求める

●悪い質問②おススメを聞く

●悪い質問③相手に同意を求める

●悪い質問④相手を問い詰める

●悪い質問⑤どちらかを選ぶ

●いい質問①空気を変える

●いい質問②相手の経験を聞く

●いい質問③好きなものを聞く

●いい質問④本心に気づかせる

●いい質問⑤自分の生き方を問う

●いい質問をするためのキーワード

●子どもの「なぜ?」にどう答えるべきか

4章 質問は脳の可能性を広げる

●質問するとき脳はどう機能しているのか

●脳は他人の心を読み取れる

●脳は細かいところまでよく見ている

●記憶を蓄えて予測する

●意識に無意識の邪魔をさせない

●しっくりくるまで時間をかける

●脳は新しいことにすぐ慣れる

●脳の強化学習を利用する

●創造性を高める脳のバッチ処理

5章 質問力をさらに高める8つのアクション

●質問力は一日にしてならず

●質問力を高めるアクション①お茶を飲む

●質問力を高めるアクション②思考をアウトプットする

●質問力を高めるアクション③繰り返す

●質問力を高めるアクション④正直になる

●質問力を高めるアクション⑤欠点を指摘する

●質問力を高めるアクション⑥締め切りをつくる

●質問力を高めるアクション⑦むちゃぶりをする

●質問力を高めるアクション⑧芸術を観る

6章 日常生活で活かす質問術

●脳内質問でトレーニングする

●世界で活躍できる人になるために必要な質問

●自分が越えられない壁を乗り越えるための質問

●自分とは違う人と向き合うための質問

●原因を究明するときの質問

●自分の望みがかなわないときの質問

●将来なにをしたらいいのか分からないときの質問

おわりに ブルー・オーシャンの時代を生きるために

現状を変えるための質問

目次

2章 質問力とはなにか

質問と疑問は違う

・質問するとは「これでいいのか?」、「なにか変だ」、「なにか嫌だ」というモヤモヤしているものが何なのかを具体的に知る必要がある。

“疑問”は曖昧な違和感やひっかかりであり、それを感じる「感情力」が必要である。

“質問”は具体的に解決につながるように提案する力、「論理力」が必要である。

良い質問をするためには、感情と論理の橋渡しができるようにならなければならない。その鍵になるのが「メタ認知」である。メタ認知とは、自分の感情を冷静に観察し、「今、自分の状態はこうだ」「自分はこんな感情を持っている」と気づく力のことである。「モヤモヤ」や「イライラ」の原因が何であるかを認識できないと、それを「変えよう」という気持ちにならない。

現状の違和感を持つ感情力、それに気づくメタ認知力、「どうするか」考える論理力。これらが一体となって良い質問が生まれる。

質問とは自分との対話

・自分の問題を見つけることは自立した生き方につながる。

・自分を一生支えてくれるような発見は、自分の感情との対話、つまりメタ認知を通して起こる。

画像出展:「eラーニングで学習者のメタ認知を支援する方法

『「メタ認知」とは、今まさに何かを考えている自分の思考や、何かに取り組んでいる自分の行動について、一歩引いて、今よりも高い視点から把握する能力「客観的に自己評価する力」のことです。』

いい質問ができれば、答えは半分出たようなもの

・『こんな質問がありました。「大学受験に落ちてしまいました。浪人する気がありません。でも科学者になりたいと思っています。大学に行かなくても科学者になる方法はありますか?」

この質問をした人の中核にある気持ちは、次のようなものではないのでしょうか。「大学受験に疲れてしまった。今はもう努力する気になれない」

だから本当は「大学に行かなくても科学者になる方法」が聞きたいのではなく、次のことが聞きたいのではないでしょうか。

「どうしたらもう一度勇気を振り絞って困難に立ち向かっていけますか?」

自分で自分自身の中核にある感情に気がついて、このように質問することができたなら、「ああ、今は疲れているのだな。少し休むことが先決だ」という解が出てくるはずです。自分自身をごまかさず、自分がとらわれている感情に気づくことが重要なのです。

自分の状態を正確に把握することは簡単ではない。多くの場合、人は自分の感情をごまかしたり、曖昧にしてしまったりしてしまう。もし、何が問題なのかが正確に把握できれば、自ずと答えは出てくるものである。

感想

自分を振り返って考えてみると、最初に頭に浮かぶのは“疑問”であり、それは確かに感情から出てくるものだと思います。そこで頭に浮かんだ疑問をそのままぶつけて、感情的満足感を得ることはできると思いますが、それが解決になるかどうかは微妙です。

生きた質問に変えるには、受け手にこちら側の質問を正しく理解して頂く必要があります。また、“疑問”の答えを知ることが問題解決になるのかどうかを事前によく考える必要があると思います。

例えば疑問が3つあったとして、その3つをそのままぶつけるのではなく、その3つの疑問をまず自問自答してみて、精査された1つの質問にまとめ、本当に知りたい答えを得ることを目指すべきだと思います。

まさにこのような質問をすることが、茂木先生の言われる“いい質問”なのではないかと思います。そして、この“疑問”を“いい質問”に変換する作業に関わっているのが“メタ認知”だと思います。

この“メタ認知”に向き合うことは“、いい質問”に限らず自分自身の気持ちを正しく理解することによって、自分自身のストレスを軽減できる素晴らしい行為だと思います。

そして、メタ認知の習慣を身につけることはより良い生活のみならず、より良い人生にも関わる極めて大切な生きる知恵だと思います。