IT営業を25年勤め、私にとってのカリスマは“スティーブ・ジョブズ”です。他界されたのはおよそ14年前でした。
そして、第二の情報革命といわれるAIがいよいよ本格化する今、ITのカリスマは誰だろうと思いました。最初に頭に浮かんだのは“イーロン・マスク”です。一時、DOGE(米政府効率化省)のリーダーとなっていましたが、現在は代わっています。また、DOGEは内閣レベルの省庁ではなく、特別な一時的組織(USDOGE Temporary Organization)として設置されており、活動は2026年7月4日までの期限付きということです。
また、イーロン・マスクが目指している世界は、「人類の長期的な存続と進化を実現するためのテクノロジー主導の世界」とのことです。以下の表はマスクが関わっている(関わった)企業ですが、これを見ると本気だなということが分かります。
画像出展:「AI(Perplexity)が作成」
テスラについてはオプティマス(ロボット)が注目されています。
「人類の長期的な存続と進化を実現するためのテクノロジー主導の世界」というものは、あまりに巨大でピンときません。私がイメージする“カリスマ”とは少し違う気がします。
こちらの資料はAI(Perplexity)が作ったものです。これを見るとイーロン・マスクは、やはり“カリスマ”であって“ビジョナリー”ではないことは明らかです。ただ、最後に書かれたイーロン・マスクが“異色・現代型”のカリスマ“ということだとすれば、私にとってはやはり違うという印象です。
イーロン・マスクの次に頭に浮かんだのは、“マーク・ザッカーバーグ”です。個性の強烈さではイーロン・マスクにかないませんが、年齢はイーロン・マスクが51歳(1971年6月28日生)、マーク・ザッカーバーグが41歳(1984年5月14日生)と10歳の差があります。総資産の順位は1位がイーロン・マスク、ザッカーバーグは3位です(2025年9月22日時点)。
そして、ザッカーバーグが目指すものは「すべての人に“パーソナル・スーパーインテリジェンス(超知性)”を提供し、AIの恩恵を社会全体で共有する社会」ということです。私のカリスマ像に照らし合わせれば、カリスマは“マーク・ザッカーバーグ”だなと思います。
なお、NVIDIAのCEOである“ジェンスン・フアン”は、「AIの父」というイメージです。
編者:ジョージ・ビーム
訳者:今村絵里
発行:2022年11月
出版:(株)文響社
序章 マーク・ザッカーバーグの半生
PART1 船出(2002-2009)
マーク・ザッカーバーグの歩み PART1
●人の下で働きたくない
●引き延ばし
●仲違い
●どん底で見つけたアイデア
●些末なこと
●人生の目標
●最終目標は金じゃない
●試行錯誤を楽しむ
●スタートアップ
●Facebookの原型
●持続可能なビジネス
●優先順位をつける
●採用条件
●簡単に逃げない
●謝罪
●長期的な視点
●理想的な働き方
●目の前の仕事に集中する
●雑音に耳をかさない
●CEOの役割
●情報の充実
●個人情報の管理
●ユーザーが主役
PART2 加速(2010-2011)
マーク・ザッカーバーグの歩み PART2
●若気の至り
●成功をつかむ条件
●価値あるものを生む
●機が熟すのを待たない
●経営理念
●情報のカスタマイズ
●Facebookの基本ルール
●オープンな世界
●機能の簡素化
●社風
●目先の大金
●起業家が持つべき資質
●せっかち
●ユーザーへの感謝
●つながりをサポートする
●アイデアを拾い上げる
●職場環境
●「ソーシャル・ネットワーク」
●ハッキング
●欲望を捨てる
●コンピュータは手段にすぎない
●ソーシャルプラットフォーム
●幸運な偶然
●願い
●起業への助言
●成長できる環境
●起業
●最大のリスク
●成長の糧
●人間の欲
●自己表現のためのSNS
●簡単なことから始める
●日常の一部になる
PART3 使命(2012-2014)
マーク・ザッカーバーグの歩み PART3
●初の役員会議
●イノベーションの素
●コーディングの上達
●効率の向上
●リスクを恐れない
●Facebookの真骨頂
●Facebookの役割
●1対1で話す
●社の信条
●等身大であれ
●短所と長所
●Facebookの誇り
●エンジニアの責任
●量より質
●テクノロジーの恩恵
●実名を使うSNS
●価値観
●知恵を共有する
●よいチームとは
●新たな社訓
●土台作り
●インターネットを広める
PART4 明暗(2015-2016)
マーク・ザッカーバーグの歩み PART4
●孤独を打ち消す
●仕事時間
●全人類をつなげる
●広い視野
●会社員が平等
●風とおりのよい職場
●会社の存続は二の次
●クリエイティブな若者
●少年時代
●日常
●ダメ出しはいらない
●インターネットの普及
●コンテンツ共有
●育児休暇
●未来に対する責務
●次世代に伝えたいこと
●所有株の99%を寄付する
●インターネットによる救済
●自由を守る
●運用エネルギー
●ライバルは二の次
●ビジョンを実現する
●表現欲
●日常とサービス
●癖
●無料にこだわる
●コードは議論に勝る
●まずは飛び込む
●チャンスは先にある
●未来は作れる
●未来予測
●ファッション
●一歩目
●選挙への貢献
●インターネットの課題
●人工知能
PART5 原点(2017-2018)
マーク・ザッカーバーグの歩み PART5
●全体の中のポジション
●人間として向き合う
●検閲はしない
●第二子
●多様性を高める
●信頼できるコンテンツ
●ひらめきよりも行動
●結果はすぐ得られる
●歩みを止めない
●人々の暮らし
●決断のポイント
●採用基準
●矜持
●格差
●日々思うこと
●問題を放置しない
●世界の課題に向き合う
●インターネットの無償化
●子どもへの思い
●信じるもの
●子どもの可能性
●VRの可能性
●必要経費
●自己研鑽
●自分の役割
●親
●情熱を持つ
●悲観を活かす
●誇れる仕事
●良質なサービス
●つながりがもたらす効果
●Facebookが果たす責任
●社会的責任
●セレクション
序章 マーク・ザッカーバーグの半生
才能を伸ばし続けた少年時代
・『マークは子どもの頃から既に生半可な知識では太刀打ちできない相手だった。父であるドクター・ザッカーバーグによれば、息子の質問に「イエス」と答えた場合には、それ以上説明する必要はなかったが、「ノー」と答えた場合にはたちまち反論にあい、言葉を尽くして理由を説明しなければならなかったという。両親は、我が子はいずれ弁護士になると思ったかもしれないが、マークの興味は別のところにあった。コンピュータサイエンスという2進数の世界だ。
幼い頃から、マークのコンピュータ好きは明らかだった。12歳の時には、Atari BASICを使ってメッセージをやり取りするソフトウェアのプログラム「Zucknet」を作り、これは自宅や父親の歯科医院でも使われた。我が子がコンピュータサイエンスに並々ならぬ関心を抱いていると気づいた両親は、ソフトウェア開発者を家庭教師として雇うとともに、近隣のマーシー大学でBASICプログラミングのクラスを受講させ、コンピュータサイエンスのカリキュラムが充実していた全寮制の名門私立高校フィリップス・エクセター・アカデミーへと転校するのを手助けした。
こうして、高校時代には、ユーザーの好みに合わせて自動的に選曲が行われる音楽再生ソフト「Synapse」を開発した。このソフトウェアに興味を示したマイクロソフトやAOLに買収を持ちかけられるが、その申し出を断り、ソフトを無料配布するまでになっていた。』
調べたところ、マーシー大学で受講していたのは、地元のアーズリー高校に通っていたときです。年齢は15歳でした。そして、2年ほど在学した時点で中退を考えたようですが、ご両親に説得され、中退ではなく転校することを決意します。転校先は、自宅から300Km離れたフィリップス・エクセター・アカデミーという卒業生の大半がハーバード大学、コロンビア大学、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学といった名だたる名門校へ進学する超名門校でした。
※ご参考:“マーク・ザッカーバーグ”
PART1 船出(2002-2009)
マーク・ザッカーバーグの歩み PART1
●人生の目標
・『クールなものを作るのがとにかく好きだし、人にあれこれ指図されたり、決められた時間内に物事をこなしたりしなくていいというのが、僕の人生の中で手にしたいと思っている贅沢なんです。
・・・利益を生み出すものをいつかこの手で作れると思います。』 2004年
●採用条件
最も重要な条件は、「地頭のよさ」とのことです。英文を見ると「地頭」は、英語では“raw intelligence”となっています。私事ですが、約50年前に通っていた母校(高校)は、「生徒の地頭は良い」との評判でした。そのため、この「地頭」という言葉は何となく気に入っていました。そもそもどういう意味か詳しく調べることはなかったのですが、今回、特に英語の“raw intelligence”の意味を知りたいと思い調べてみました。
●長期的な視点
・『僕の役目は、長期的な視点でものを作ることです。それ以外のことはじゃまでしかありません』 2007年
●CEOの役割
・『CEOの役割は基本的には2つあると思います。すなわち、会社のビジョンを設定すること、チームを作ることです。僕たちはビジョンを定め、今まさに実行しているところなんです。4年前に創業したばかりなので、しなければならないことはまだ山ほどありますね。
中でも、チーム作りは本当に重要です。チーム作りには多くの時間を割いて懸命に取り組んでいます。』 2008年
PART2 加速(2010-2011)
マーク・ザッカーバーグの歩み PART2
●起業家が持つべき資質
・『[よい起業家・CEOに必要な資質の]1つは、自分のやりたいことをしっかりとわきまえていることです。なぜなら仕事をしていると煩わしいことが次々と出てくるので、自分のやりたいことを100%把握していないとあらぬ方向へ行ってしまうからです。自分のやりたいことを把握し、しっかりと胸に刻んでおくこと。これが第一ですね。
第二は、よいチームを作ることです。このことに僕は膨大な時間を費やしています。製品作りに携わっていない時には―僕はチームと一緒に製品作りに取り組んでいるのですが―本当に優れたエンジニアリング部門のトップや、最高のハッカーやエンジニア、もの作りをしたい人々を集めることから、これから取り組むことを正確に伝え、全社員に計画の内容をしっかりと理解させることのできる製品部門のトップ、そして[FacebookのCOO]であるシェリル[・サンドバーグ]のようなビジネスに非常に長けた人材に至るまで、組織の隅々まで目を配ってチーム作りを行なっています。
・・・僕が会社を経営すべきか否か? もし僕がいなくなっても、舵取りは問題ないでしょう。自分の仕事をきちんと分かっていて、優れたスタッフがいれば、その時点で大成功なのです。』 2010年
ハッカーというと犯罪のイメージが強いと思いますが、米国ではハッカーとは、本来はコンピュータやネットワーク、暗号技術、プログラム解析など高度な技術を持つ技術者を指す言葉とのことです。
●ソーシャルプラットフォーム
・『これからの5年間は、ソーシャルプラットフォームを作り上げる時間になると思っています。
柱となる考えは、ほとんどのアプリケーションが今後ソーシャル化し、大多数の産業はソーシャルデザインや友人との共同作業を中心とした仕組みに見直されるということです。』 2010年
PART3 使命(2012-2014)
マーク・ザッカーバーグの歩み PART3
●よいチームとは
・『僕が思うよいチームとは、チームとして集まった時のほうが、個々でいる時よりもよい決断を下せる集団のことです。』 2013年
●新たな社訓
・『我が社の社訓を、「素早く行動し、破壊せよ」から「土台を固めた上で、素早く行動せよ」に変更しました。』 2014年
日本語にすると、強い表現だなと思います。原文は、We’ve changed our internal motto from “Move fast and break things” to “Move fast with stable infrastructure”.です。共通しているのは“Move fast”です。ちなみにモットー(motto)が英語であったことを初めて知りました。調べたところ明治時代に入ってきた言葉だそうです。
感想
「何故、カリスマになれたのだろう?」というのが疑問でした。
12歳の時にメッセージをやり取りするプログラムを作ったというのは明らかに天才少年です。しかし、世界規模で見渡せば、同じような天才はいると思います。
次に思ったことは、ご両親の理解と支援です。「ソフトウェア開発者を家庭教師として雇うとともに、近隣のマーシー大学でBASICプログラミングのクラスを受講させた」とあります。調べたところ、地元のアーズリー高校時代(15歳)の時の話のようです。高校に希望が見出せず中退しようとしたザッカーバーグに対し、ご両親は全寮制の名門私立高校フィリップス・エクセター・アカデミーへと転校を勧めます。
「やはり、裕福だったのが大きな要因だったのかな?」と思い、フィリップス・エクセター・アカデミーを調べてみました。そこには色々な発見と驚きがありました。
画像出展:「フィリップス・エクセター・アカデミー①」 こちらが高校のホームページのトップページです。
画像出展:「フィリップス・エクセター・アカデミー②」 最初の驚きは『入学選考に、ご家庭の経済状況には一切関係ありません』という掲示です。
画像出展:「フィリップス・エクセター・アカデミー③」 「本当かな?」と思って調べると、『年収$125,000(1ドル150円換算で約1875万円)未満の家庭は授業料が無料です。』となっていました。
(下の方に出ています)
画像出展:「フィリップス・エクセター・アカデミー④」 日本の私立の超進学校を想像し、「もっぱら勉強なのかな~?」と思って調べると、運動施設の充実には物凄いものがありました。運動以外の施設も充実しており、「とてもかなわない!」という感じです。
画像出展:「フィリップス・エクセター・アカデミー⑤」 日本では東京大学や京都大学を目指すためという印象ですが、エクセターには450以上の学術コースがあります。ハークネス教育アプローチとは楕円形等の「ハークネステーブル」を囲み、教師と生徒が対等な立場で自由に対話を重ねながら学ぶディスカッション型の教育法だそうです。
日本の高校は総じて、大学に“入るため”の勉強を教えるところという感じですが、米国のフィリップス・エクセター・アカデミーをみると、米国を引っ張っていくリーダーを育てること。そして、“大学で更に専門的に学ぶため”に実体験を通して、何を専攻しどこの大学に進学するのが自分にとって1番の選択かを判断できるようにするという感じです。
単純に、“カリスマ(特にビジネスや政治)”が出現するような土壌として両国の教育を比べるならば、圧倒的に米国の方が可能性は高いと思います。
脱線しますが、スポーツの世界に限ってみれば、幼少の頃から学びを求めて世界に出ていくケースもみられます。日本代表で活躍されている久保建英選手がスペインのバルセロナの下部組織(カンテラ)に入団したのは9歳です。そしてスペインに渡って育成を受けていました。国内ではJリーグが発足し最年少出場記録は15歳7ヶ月(高校1年生)です。若くして日本のトップリーグでプレーすることも夢ではなく、さらに、そこから世界への道も見えてきます。
ザッカーバーグが「何故、カリスマと言われるようになったのか」の理由の一つめは、ご両親の理解と米国の自由で深い教育システム(育成の在り方)にあったと思います。
二つめの理由は、ザッカーバーグの目標が“お金“ではなく、“自分の理想の実現”という高いものであり、目標達成のために一切の妥協を許さなかったことだと思います(理想とする物づくりへのこだわりと志の高さ)。これは以前、ブログにアップさせて頂いた“スティーブ・ジョブズ”と“ウォルト・ディズニー”とまったく一緒です。
このように考えた具体的なエピソードは2つです。
1.高校時代に開発した音楽再生ソフト「Synapse Media Player」
ザッカーバーグは、高校時代に開発した音楽再生ソフト「Synapse Media Player」に対し、マイクロソフトやAOLから100万ドル規模の買収・出資提案を受けていました。しかし、彼はこのオファーを一貫して拒否しています。詳細は添付資料をご覧ください。
2.慈善財団「Chan Zuckerberg Initiative」の設立
最初から慈善財団を作るのが目的だったとは思えません。また、30兆円を超える資産の使い道など途方もないものだと思いますが、慈善事業に資産を使うということは、本当に素晴らしい称賛されるべきことです。
画像出展:「Facebook創業者5.5兆円寄付と資産永久防衛策の慈善財団」
『SNSフェースブックの創業者マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)と妻のプリシラ・チャン氏が1日、自身が保有する同社株の99%を、夫婦で設立する慈善財団「Chan Zuckerberg Initiative」を通じて慈善活動に寄付すると発表した。寄付する予定の株式時価は現在450億ドル(約5兆5300億円)と、個人としては過去にほとんど例がないほどの巨額になる。』
三つめの理由は、米国が失敗に寛容で正当なチャレンジであれば評価する社会だからだと思います。スポーツの世界は失敗が当たり前、目標に向かって努力と工夫と強い信念で日々の練習を積み重ねて、課題を超えていくものです。
日本の政治やビジネスの世界は、前例が重要でリスクはなるべく取りたくないという意識が一般的だと思います。少なくとも、チャレンジは評価されるどころか、煙たがれるというのが実態ではないでしょうか。(これは「チャレンジ≠勝ち馬&チャレンジ≠評価」という理由が大きいと思います)
野球の世界では“大谷翔平”という日本人のカリスマ選手が誕生しましたが、特にビジネスにおいて、日本から世界的なカリスマ経営者が生まれる可能性は、起業に対する高くない評価と忖度が根強い日本の組織の力学においてはかなり難しいように思います。
※Meta Platformsの課題
IT、特にAIの進歩はSNSなどを通じての不正利用が拡大、巧妙化する原因にもなります。以下の表は2024年、2025年にニュースになったものの一覧です。Metaに限ったことではありませんが、社会は不正利用に対する企業側の迅速かつ適切な対応を求めおり、その対応を誤ると信頼を失うという大きなリスクも抱えていると思います。






