第1章 自律神経系の概要
2 自律神経系の基本的構成
●自律神経系と体性神経系の比較
・腎臓にも迷走神経があるとする報告もあるようですが、生理機能は明らかにされていない。
3 自律神経節と自律神経遠心路の詳細
●自律神経節の構造と働き
・節前線維は細い有髄のB線維、節後線維は無髄のC線維(無髄の節前線維も少数存在する)になっている。
・交感神経系は交感神経節での発散が多いため、反応は広範かつ全身的である。一方、副交感神経系は副交感神経節での発散が少なく、1本の節後線維は多くの場合1つの効果器にしか行かないので反応は限定的である。ウォルター・B・キャノンはこの特徴を説明する上で、交感神経系はすべての鍵盤の音の大きさを一度に変えるピアノのペダルに似ており、副交感神経系は個々の鍵盤に似ている。と説明している。
5 自律神経遠心路のトーヌス
・自律神経は低頻度ではあるが常時活動しており、その支配を受ける内臓平滑筋は常に緊張状態を保つ。この自律神経活動をトーヌスという。トーヌスは緊張という意味で緊張性活動または自発性活動ともいう。トーヌスの指令は主に脳幹(一部は脊髄)から発せられる。
●交感神経のトーヌス
・大多数の血管は交感神経と副交感神経の二重支配を受けることなく、交感神経のみで支配されている。この交感神経はアドレナリン作動性の血管収縮神経である。
・血管が安静状態で軽度の収縮状態に維持できるのは、交感神経性血管収縮神経による。もし、トーヌス(緊張性活動)が失われると、全身の血管平滑筋が弛緩して血圧が維持できなくなる。一方、トーヌスが増えると血管の収縮が亢進しその部分の血流が悪化する。
・交感神経のトーヌスが変わることにより、副交感神経の支配がなくても、血管は収縮したり拡張したりすることができる。
●副交感神経のトーヌス
・副交感神経もトーヌスを持つ。迷走神経のトーヌスが増えると、心機能は低下し胃腸管の運動および分泌機能は亢進する。トーヌスが減ると心機能は亢進し、胃腸管の運動および分泌機能は低下する。
・多くの効果器は交感および副交感神経の二重支配を受けているので、交感および副交感神経の各々のトーヌスの増減の組み合わせにより、広範囲にしかも微妙な機能調節が行なわれる。
6 自律神経遠心路による拮抗支配
●効果器レベルで拮抗支配
・交感および副交感神経が興奮すると、それぞれの節後ニューロンの軸索末端から神経伝達物質が放出され、効果器細胞の受容体に作用して、その細胞の機能を変化させる。
●節後ニューロンレベルでの拮抗支配
・交感神経から放出されたノルアドレナリン(NA)は、効果器に作用するだけでなく、副交感神経の軸索終末のシナリオ前α受容体に作用して、副交感神経からのアセチルコリン(Ach)の放出を抑制する。一方、副交感神経から放出されたアセチルコリン(Ach)も、効果器のみならず、交感神経の軸索終末のシナプス前M(ムスカリン)受容体に作用して、交感神経からのノルアドレナリン(NA)の放出を抑制する。このように、交感神経と副交感神経の節後ニューロン末端において放出されたそれぞれの神経伝達物質が、相互に他方の伝達物質の放出を抑制することがある。
8 ノルアドレナリンとアセチルコリンの受容体
●アドレナリン受容体
・アドレナリンやノルアドレナリン(NA)が作用するアドレナリン受容体には、α受容体とβ受容体の2種類がある。
●アセチルコリン受容体
・アセチルコリン受容体には、ニコチン受容体とムスカリン受容体の2種類がある。
10 新しいタイプの神経伝達物質
・オットー・レーヴィ(Otto Loewi)は、1921年のカエルの心臓を用いた実験により、神経刺激が化学物質を介して伝達されることを世界で初めて証明した。これは後にアセチルコリン(ACh)であることが判明した。ノルアドレナリン(NA)は1940年代、1950年代にはγ-アミノ酪酸(GABA)が発見された。
・現在では100種類以上の神経伝達物質があるとされているが、特に脳内で重要とされている物質は、アセチルコリン、ノルアドレナリン、GABA、ドパミン、セロトニン、エンケファリン類、サブスタンスP、グリシン、グルタミン酸、ヒスタミンといわれている。
11 プリン作動性神経伝達
●ATP
・プリン作動性神経はNANC神経(非アドレナリン・非コリン作動性神経)のセブセットである。






