脳性麻痺リハビリテーションガイド

訪問の仕事(業務委託)は鍼灸とマッサージが半々というところですが、マッサージについては小児障害、特に脳性マヒの患者さまが増えています。
一方、特に発達障害児へのマッサージを考える際に勉強した「新・感覚統合法の理論と実践」では、そのブログの中で、マッサージのポイントを次のようにまとめました。
1.人は最も大きな刺激源であり、人に対する感情によって、刺激の感じ方もずいぶん違ってくると言われています。従って、子どもとの信頼関係を築くことが第一歩です。  
2.触覚防衛反応などの感覚調整の障害については、「感覚調整機能評価表」を利用し、触覚系と前庭-固有覚系の過反応と低反応の実態を把握します。
3.筋緊張の強い子には、抑制的な触圧の刺激などにより、緊張部位のリラクセーションをはかり、屈筋群と伸筋群の拮抗をバランスよく保ち、筋肉の柔軟性を高めます。
4.筋緊張の低い子には、促通的な触圧の刺激などにより、屈筋群の活性化をはかります。また、関節への抵抗運動により筋緊張を高めるとともに拘縮を予防します。              
5.ボディイメージが弱い子には、関節の抵抗運動により、それぞれの筋肉の動かし方を繰り返し学習します。 

この中で3~5の筋の低緊張、過緊張およびボディイメージの弱さに関する改善は、脳性マヒ患者さまにも当てはまるものと考えています。しかしながら、本当にそうなのか、注意すべきは何なのかを把握するため、図書館から「脳性麻痺リハビリテーションガイド第2版」を借用し、第6章の運動障害と治療(リハビリテーション)を中心に、その内容を確認しました。

 

監修:公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
出版
金原出版

 

 

こちらのサイトをクリック頂くと、「脳性麻痺リハビリテーションガイドライン第2版」の目次が確認できるだけでなく、PDFファイルをダウンロードすることもできます。

以下の表が、確認した内容をまとめたものです。結論としては、脳性マヒ患者さまの筋の緊張状態やボディイメージを改善することは、推奨グレードAおよびBの漸増負荷トレーニング・サーキットトレーニング(筋力トレーニング)、有酸素トレーニング、歩行訓練、それぞれの効果を高めるための土台作り(筋肉、関節などの運動器系の状態を良くすること)として間接的に貢献することができる。ということだと考えています。

また、順序が逆になりましたが、「ガイドライン」がどのようなものかについてご紹介させて頂きます。

目的
本ガイドライン策定の目的は、最新のエビデンスに基づき、わが国で推奨される標準的な脳性麻痺リハビリテーションの診療方針を提示するとともに、将来に向けてあるべき理想の診療方法を明らかにすることである。
本ガイドライン策定に関しては、脳性麻痺の疾患特性を考慮し、医学的観点のみならず、脳性麻痺患者のライフサイクル全般にわたる問題点(家族支援、成人期の問題、就学と社会参加など)も含め、より包括的なリサーチクエスチョンで全体を構成するように努めた。

読者対象
脳性麻痺リハビリテーション診療に関る、すべての医療・福祉従事者はもとより、患者本人とそのご家族、学校教育関係者にも、広く利用されることを想定して作成した。

 

また、ガイドラインには「推奨グレード」の他に「エビデンスレベル」という観点からも考察されています。ブログでは分かりやすさを優先し「推奨グレード」一本に絞りましたが、ご参考として「エビデンスレベル」の内容をご紹介させて頂きます。

今回のブログの中で、私自身は「脳性麻痺」ではなく「脳性マヒ」という言葉を用いています。その理由に関してはブログ(「脳性麻痺 vs 脳性マヒ」)を参照頂ければと思いますが、ポイントは成瀬悟策先生の著書「姿勢のふしぎ」という本に出ていた次の一文に基づいています。

『脳の病変によって肢体が不自由になる現象を、本書ではここまで「脳性麻痺」ではなく一貫して「脳性マヒ」と表記してきたのは、一般に「麻痺」ということばが「神経や筋の機能が停止する状態」(広辞苑)とされているためでした。これまで述べてきたように、この子たちのからだは病理学的に動かないのではなく、生理的には動く自分のからだを、その主体者が自分の思うように動かせないだけですから、「麻痺」ということばはそぐわないため用いません。』