手のひらツボ秘法1

先日、患者さまから東京都練馬区石神井で開業されている、“こまつ鍼灸院”さまのことを教えて頂きました。

1997年~2022年3月現在、腎臓病患者様1.100人到達

※こまつ鍼灸院調べ

 

当院も定期的に来院頂いているのは、慢性腎臓病などの腎疾患の患者さまが多いのですが、患者さまの数は決して多いとはいえません。そのため、改善される患者さまの傾向をつかめているとはいえないのですが、強いていえば、過去に腎臓に関する既往歴のあった患者さまの方が、改善の可能性が高いように思われます。しかしながら、全体的には「やってみないと分からない」というのが実態です。

今回は患者さまからのお話ということもあり、また、こまつ鍼灸院さまがどのような施術をされているのか知りたいという、私自身の気持ちもあり、小松先生が書かれた本を通じて勉強させて頂くことにしました。 

腎臓との闘い方、お教えします
腎臓との闘い方、お教えします

著者:小松隆央

出版:現代書林

発行:2018年9月

小松先生にとっての大きな出来事は、高麗手指鍼の第一人者であった金成萬先生について1年間、この高麗手指鍼をみっちり勉強されたことでした。

高麗手指鍼は1971年、柳泰佑先生によって創始された鍼法であり、以下のように日本人の谷津三雄先生も深く関わっていることを知りました。

高麗手指鍼の効果については、その作用の一部が科学的にも明らかになっています。例えば手のツボに刺激を与えると、関連部位の血流が良くなって温度が上がることが確認されているのです。

この研究を行ったのは日本の谷津三雄医学博士で、手のツボと臓器の関連を確認するためにサーモグラフィーを使ってお灸の効果を調べたものです。このサーモグラフィーを見れば、手と患部が関連していることがはっきりとわかります。

調べてみると、柳泰佑先生だけでなく谷津三雄先生も高麗手指鍼の著書をお持ちでした。幸いにも興味深い題名の本を地元の図書館が保有していたため、2冊の本を借りました。

1冊は谷津三雄先生の『即効手のひらツボ秘法 -最新医学が解明した高麗手指針新法の驚くべき効果』であり、もう1冊は柳泰佑先生の『てのひらツボ療法 -高麗手指鍼の原理と応用』です。前者は1990年9月の発行、後者は1986年11月の発行でした。

ブログは谷津先生の著書を先とし、創始者である柳泰佑先生の著書を後に拝読させて頂くことにしました。 

即効 手のひらツボ秘法
即効 手のひらツボ秘法

著者:谷津三雄

発行:1990年9月

出版:マキノ出版

谷津先生の主な経歴は以下の通りです。

・1949年 日本大学歯科卒業(歯科医師)

・1953年 日本大学医学部卒業(医師)

・1972年 日本大学松戸歯学部教授(麻酔学・歯学史)

・1990年 日本大学松戸歯学部付属歯科病院院長

ブログで取り上げているのは、目次の黒字の項目です。

目次

はじめに

第1章 手のツボの効果が医学的に証明された

※サーモグラフなどの医療検査器で手にあるツボの効果は医学的に証明できる。

※手のひらの三点ツボを指圧するだけでもすぐれた効果が得られる

●高血圧が手のひらへの三点刺激で下がる

●冷え症は手の指を組んで圧迫するだけで解消できる

※手のひらのツボへの間接灸ですぐれた効果が得られる

●更年期障害の不快症状が手のひらへの間接灸で解消する

●生理痛は手のひらに間接灸をすえると消える

●高血圧も手のひらのツボへの間接灸で下がる

※手のひらへの健康器具やクルミを握っていると解消する

●肩こりは健康器具やクルミを握っていると解消する

●ボケ防止にも手のひらのツボ刺激は効果がある

※50年玉と5円玉を指の間にはさむ硬貨療法で驚くべき効果が得られる

●夜のトイレ通いが指に50円玉と5円玉をはさむと大幅にへる

●女性の敵“冷え症”は硬貨療法で撃退できる

※指輪2個の指輪療法には多くの効果が認められた

●親指と小指に指輪をはめると便秘が解消する

●生理痛・生理不順も指輪療法で解消できる

第2章 手のツボで病気は治る

※手は全身の異常を写す鏡で病気別の反応が現れそこを刺激すれば病気は治る

※隠れた病気や体の不調がピタリとわかる手のツボを利用した振り子発見法

※腰痛に大変よく効くと評判の手の甲のツボを人さし指で押す刺激

●手記……立っているのもつらかった腰痛が手の甲を指先で押していたらその場で消えた

※ひざの痛みは小指の第2関節をゴムひもで引っぱりパッと離せばすぐ取れる

●手記……ひざの痛みと肩こり解消の手のツボ刺激をやってみたら確かに効果が現れた

※肩こりならその場でスーッと解消する中指そらしと中指のもみほぐし

●手記……ひどい肩こりが中指をそらしたりもんだりしただけでス―ッと解消した

※しつこい不眠症でも知らぬまに眠りだす中指の先のツボへのつま楊枝刺激

●手記……深夜2時まで眠れず手のツボを刺激したら本当に眠ることができて驚いた

●手記……悩みの不眠症が寝床の中で手のツボ刺激を5~6分くり返したらぐっすり眠れた

※高血圧の人は中指と手のひらの6つのツボを刺激すれば血圧が適度に下がる

●手記……上が220ミリ、下が120ミリの高血圧が手のツボ刺激で下がりそのまま安定している

※寝違えや首のこりの反応点は中指の背中にありそこに丸いボールペンの軸をころがせば治る

●手記……寝違いによる首の痛みが中指の背に色鉛筆をころがしただけで見事に取れた

※クルミを握って手のひらを刺激するとボケが妨げて仕事の能率も上がる

●手記……手のひら刺激はボケの予防に確かに有効で患者さんに教えてあげて喜ばれている

※がんこな便秘ばかりか下痢も治ると評判の手のひらの“下腹部”への刺激

※頭痛の大半は中指の先にある手のツボを爪で押せば治り偏頭痛には特に効く

※あぶら汗が出るほどの腹痛でも手のひらに現れる圧痛点を押せばらくになる

※動悸や息切れは小指を強く噛み手の中指の先をこするだけで止まる

※耳鳴りや難聴は中指の先を指ではさんでひねればしだいによくなる

※更年期障害の不快症状は手のひら中央に必ず現れる圧痛点を押せばらくに消える

※歯痛にすぐ効くツボが手の中指の腹にあり親指の爪でそこを強く押せば止まる

第3章 硬貨・指輪療法の鋭い効果

※冷え症の人は指の間が冷えているが50年玉と5円玉をはさめば冷えは消えてらくになる

※50年玉と5円玉を指にはさむ硬貨療法がとくによく効く病気はどんなもの?

※生理痛や生理不順は銀色の指輪を小指と親指にはめるだけで解消する

※指輪療法は生理痛や生理不順以外にどんな症状に効くのですか?

※指輪療法に対する疑問に答えます

●指輪で病気を治す治療に使えるのはどんな指輪?その入法法は?

●指輪をはめてやる生理痛の治療で症状のない日でもはめていて大丈夫?

はじめに

『私たち人間は、二本の後ろ足で立つことができたために重い頭脳を支え、前の二本足が今日の手として自由に使え、高度な文明や文化を築きあげたのである。このことは四つ足の動物が二本の後ろ足で立つことができたために人間になれたといっても過言ではない。

現在、この地球上で人間ほど前足、すなわち手を巧妙、精密に使える動物は現われていない。そればかりでなく、人間の身体の中で、すべての内臓を支配し、コントロールするのは脳であり、哲学者カントが「手は外に伸びた脳である」と喝破しているが、手は脳と密接に結びついており、手からのさまざまな刺激によって、さらに頭脳の活発な動きを誘い、頭脳の急速な発達をもたらし、人間になったといわれている。

この脳と手の働きを最初に解明したカナダの脳外科医ペンフィールド博士の研究によると、手や指の占める大脳の運動野の割合は、身体の他のいかなる部位よりもはるかに大きく、したがって、手や脳を動かすことは大脳の広い部分を刺激し、脳全体の働きを活性化することが知られている。 

ホムンクルス
ホムンクルス

画像は『脳の世界』さまから拝借しました。こちらのサイトには写真だけでなく、詳しい解説が書かれています。

ロンドン自然史博物館にあったホムンクルスの模型。体性感覚野運動野

ペンフィールドは脳組織の同じ帯状領域を調べて、大勢の患者から同様の反応を得た。こうして粘り強く収集したすべてのデータをもとに、ペンフィールドが作成したのが身体表面の完全な脳マップである。彼は遊び心でこのマップに中世哲学の用語で“小人”を意味するラテン語の“ホムンクルス”というニックネームを付けた。

たとえば、右手の親指と人差し指をゆっくり四、五秒間動かし続けると、運動野に相当する脳の場所の血液量が30%もアップする。このことは手や指を動かして刺激することにより脳の老化、すなわち、ボケを予防できることを物語っている。よく、「手は第二の脳」といわれているが、大脳の感覚中枢は外部からの刺激を感じる働きがあり、そのレーダーとなっているのが手のひらで、そこには17,000本の神経が通っていて、その神経1本1本が脳にシグナルを送り、それが反射的に身体全体をコントロールして、精神(心)と身体(体)の健康が保たれているわけである。このことは、日曜日のNHKテレビの夜の7時20分からの番組「クイズ100点満点」の途中で、必ず手のひらと指とを使った満点体操の行われることでも、手と脳とが密接な関係にあることを、ブラウン管を通して教えている。

このように手は、足より多くの神経が通っている。そのことは手と足の両方をつねってみるとわかる。たとえ同じ力でつねっても、手のほうがはるかに大きな痛みを感じる。また、同じ指でも足で鉛筆や箸を自由に使えないのは、足は脳との連結が手ほど緊密にないからであり、また、私たちの文字を書いたり、絵を描いたりできるのも手と脳が密接に結びついていることの証拠である。

健康を維持し、長寿を全うするには、いつでも、どこでも、すぐにできる健康法が絶対的条件である。この点、足の裏を刺激するにしても、手ほど簡単にしかも自分自身で容易に行うことができない。ここに“手のひら”のツボ刺激療法の秘法がある。

もし、内臓に何かしらの異常が起こった場合、その情報は脳と手に同じスピードで送られてくる。すなわち、手の内臓と関係の深い所にいろいろの変化が現われてくる。この手の変化をみれば、どの臓器が変調を来しているのかがわかる。これを「高麗手指鍼法」では相応点と名づけ、手のひらにおける診断点とし、また、その相応点を刺激することにより、その全身の異常を治す治療点として使用されるゆえんである。すなわち“手のひらは全身の縮図なり”である。

身体の異常はどんな場合でも早期発見、早期治療の必要なことはいうまでもない。まして内臓は自覚症状も微妙で、なかなか早期発見しにくい部位でもある。しかし、手はその張り巡らした情報網を駆使して、内臓のどんな異常でも知らせてくれる。こうした内臓の変調を直ちに反応する部位は身体広しといえども手をおいてほかにはない。「手は健康の見える窓」といってもよく、まさに手は言葉とともに人間を動物から区別する大きな特徴であるとともに、人間だけが持つ優れた器官なのである。

「旧約聖書」の箴言第三章に「その右の手には長寿があり、左の手には富と誉がある」と書かれているが「これは手には私たちが健康で長生きするための重要なツボが、全身の縮図として集まっていることを意味している。このように身体のある部位―相応部位に対して、“手のひら”に現われるツボ―相応点に刺激を与えると、その手のツボの圧痛が取れるばかりか、身体のツボの圧痛も消失し、体の異常が改善されるという治療システムを研究したのが、韓国の柳泰佑博士の「高麗手指鍼法」の原理である。

私がこの「高麗手指鍼法」を健康雑誌「安心」でご紹介したところ、実に驚いたことには、これらの記事が報道されると一週間はその問い合わせの電話が終日殺到し、その内1人で約1時間も話し続けるなど、その対応に本来の仕事ができず困惑した。

しかし、これらの悩む人々のあまりの熱心さにつれなくすることもできずに悲鳴の連続であった。また、治ったという手記を寄せる人や、私が思いもつかなかったことを質問してくれる人などの多数の手紙が寄せられ、身近な手のツボの刺激に頼る人々の大変に多いことを知った。

私と「高麗手指鍼法」との出会いは、1978年7月にソウル特別市歯科医師協会の地憲澤会長から特別講演の招聘を受け訪韓した折り、地博士を通して柳先生とお目にかかったのが最初である。そのときの柳先生の「高麗手指鍼法」に対する情熱と、その神秘的な効果に魅せられた最初の出会いの一瞬が、つい最近の出来事のように思い出されてくる。それ以来同学の士として、1979年7月にソウルの世宗文化会館で開催された第二回韓日高麗手指鍼学術大会から毎年「高齢手指鍼法」の科学的研究を基礎とした特別講演を行い今日に至っている。

本書は「安心」を読者より寄せられた強い要望に答えての出版であるために「高麗手指鍼法」の原理を基礎に一般向きにわかり易く、しかも私が行った研究の一端を加え、さらに読者から寄せられた二、三の手記を合わせ、「高麗手指針新法」と名づけ発行することにした。人間はだれもが“老い”と“死”から逃れることはできないが、本書を熟読し、“死ぬまで生きる”人間の権利を全うするための保健の向上に努められんことを願うものである。』

第1章 手のツボの効果が医学的に証明された

※サーモグラフなどの医療検査器で手にあるツボの効果は医学的に証明できる。

・温度が絶対零度(マイナス273.16℃)以上であれば、すべての物質は赤外線を放射している。この赤外線の量を検出し、表面温度の分布を画像に表すのがサーモグラフィーである。

・サーモグラフィーにより痛みの個所、薬の効果、自律神経の活動がわかる。

・手のツボを刺激による、体の表面の温度、血圧、心拍数、脳波の変化

※手のひらの三点ツボを指圧するだけでもすぐれた効果が得られる

●高血圧が手のひらへの三点刺激で下がる

サーモグラフィによる検査
サーモグラフィによる検査

画像出展:「即効 手のひらツボ秘法」

人物は左から柳泰佑先生(高麗手指鍼法創案者)、洪珪植先生(高麗手指鍼学会理事)、谷津三雄先生(著者)

画像出展:「即効 手のひらツボ秘法」

①指圧前の顔の熱画像

 

画像出展:「即効 手のひらツボ秘法」

②指圧後の顔の熱画像

 

画像出展:「即効 手のひらツボ秘法」

③指圧前の腹部の熱画像

 

画像出展:「即効 手のひらツボ秘法」

④指圧後の顔の熱画像

 

交感神経の緊張が抑制され、副交感神経は優位になり血管が拡張して皮膚温が上がっている。心身はリラックスしてストレスが低下し血圧は下がる。  

画像出展:「即効 手のひらツボ秘法」

指圧の場所と圧迫方法

心点(中指の先端中央:爪をたてて圧迫)

労宮点(手のひら中央:親指を立てて圧迫)

列欠点(親指のつけ根ふくらみの下:体幹方向へ圧迫しながらこする)

 

冷え症は手の指を組んで圧迫するだけで解消できる 

画像出展:「即効 手のひらツボ秘法」

①刺激前の熱画像

 

画像出展:「即効 手のひらツボ秘法」

②指のつけ根をはさんだ際の熱画像

 

画像出展:「即効 手のひらツボ秘法」

③親指で手のひらを押す際の熱画像

 

画像出展:「即効 手のひらツボ秘法」

④手の甲を指先で刺激した際の熱画像

 

画像出展:「即効 手のひらツボ秘法」

⑤一連の動作終了後の熱画像

 

画像出展:「即効 手のひらツボ秘法」

方法

①手の指を組んでつけ根をはさみ痛いほど強く左右に圧迫する。

②親指の先で他方の手のひらの中央を強く垂直に圧迫する。

③指の先で他方の手の甲を強く押して刺激する。

動作を数回くり返すと、手だけなく足や腹部の血行もよくなる。