訪問の仕事(業務委託)はマッサージ中心です。首は重要部位なのでほぼすべての患者さまに施術を行っています。
今回の本は探し物をしていて偶然見つけました。松井先生の本は2年程前に『新型「うつ」原因は首にあった!』という本を拝読していたこともあり[ブログ“頚筋症候群(頚筋性うつ)”]、先生のこの本のタイトルが気になりました。もっとも、副題として“首は脳の一部、強くもむと不調を引き起こす”とあるため、十分に想像はついたのですが、どんな内容か確認したいと思い購入することにしました。
著者:松井孝嘉
出版:講談社
発行:2015年7月
目次は次の通りです。
はじめに
第1章 間違いだらけの「首こり」の常識
首の筋肉は、体の中で最もこりやすい
首は体の急所
首の筋肉は疲労しやすいのに、疲労を解消しにくい
首をもんではいけない
首こりは全身に不定愁訴を出す
首の後ろには自律神経のセンターがある
首をストレッチしてはいけない
首の筋肉はいつも重労働を強いられている
伸びている筋肉はゆるめることが大事
首を冷やしてはいけない
筋肉にも神経にも冷えは大敵
筋肉は温めてゆるめるのがポイント
首を固定してはいけない
異常が起きた筋肉だけでなく、正常な筋肉にまで異常が及ぶ
頸椎カラーやサポーターはだめ
首を牽引してはいけない
間違った診断で、牽引している!?
牽引+マッサージは悪化の原因
こんな生活習慣が危ない
パソコンやスマホのうつむき姿勢は危険
首の健康を守るために
首の筋肉の3大鉄則
第2章 9割の人の首に問題あり
首は脳と体の大事な架け橋
長時間のうつむき姿勢が首に負担をかける
首の筋肉の異常が全身の不調を引き起こす
ストレートネックの人は要注意!
首に問題ない人はたったの1割!?
あなたの「首こり度」チェックテスト
「首こり度」セルフ診断
首こりを侮ってはいけない
第3章 「首」があらゆる不調を引き起こす
体のあちこちに不調があったら、首を疑え
交感神経と副交感神経のバランスが大事
自律神経の異常を起こす首の筋肉は、後方と側方。
首こりの治療で治る17の疾患
頭痛
めまい
自律神経失調症
パニック障害
新型うつ(自律神経性うつ)
慢性疲労症候群
更年期障害(難治)
血圧不安定症
むち打ち症
ドライアイ
不眠症
多汗症
機能性胃腸症
過敏性腸症候群
機能性食道嚥下障害
VDT症候群
ドライマウス
第4章 不調スッキリ! 首こりケア実践編
首をいたわる生活習慣が大事
PART1 首こりケア3つのポイント
1 うつむき姿勢や前傾姿勢の時間を減らす
2 「ネックリラクゼーション」で首をリセット
ネックリラクゼーションの行い方
3 「松井式555体操」で首の筋肉をゆるめる
松井式555体操の行い方
「松井式555体操」行い方のポイント
PART2 首が健康になる生活習慣
首を温めて冷えを予防する
ホットタオルで首の緊張をゆるめる
ホットタオルのつくり方
一生、風邪をひかない方法
首元を冷えからガードする
全身浴で体も心もリラックス
首までしっかり湯船につかることが大事
シャンプー中もお風呂上りも油断禁物、首を守るコツ
睡眠中は首をしっかり休ませよう
理想の睡眠時間は8時間
枕は、朝スッキリ目覚められるものを選ぶ
健康と美は「首」でつくられる
首を健康に保てば、肌も美しくなる
全身健康になれば、見た目も若返る
首こりの治療を行っている病院
東京脳神経センター
松井病院(香川県)
ネッククリニック神戸
ネッククリニック名古屋
ネッククリニック福岡
副題の「首は脳の一部」という点はとても重要ですが、目次を見るとそれに加え、「首の後ろには自律神経のセンターがある」ということも同様に重要であり、これらが強い刺激を与えてはいけない理由になっていると思います。
画像出展:「首は絶対にもんではいけない!」
そして、心がけるべきことは第1章の最後にある「首の筋肉の3大鉄則」になりますが、この3大鉄則に含まれていない「首を冷やさない、首を温める」ということもとても重要です。
首の筋肉の3大鉄則
『首こり解消と首こり予防のためには、首の筋肉をいたわることが肝心です。そこで、私は首の筋肉のために3つの鉄則を掲げています。本書の中では具体的なアドバイスもしています。大事なことなので、日常生活の中でも意識してみましょう。』
【鉄則1】首の筋肉は適度な伸び縮みが必要
⇒伸び縮みすると筋肉の疲労が取れる。松井式555体操で首の筋肉をゆるめる。
【鉄則2】首の筋肉はゆるめることが大事
⇒ゆるめることによって筋肉のこりは解消する。ネックリラクゼーションで首をリセット。
【鉄則3】首の筋肉は休ませないとだめになる
⇒休ませて使えば、筋肉は半永久的に使える。うつむき姿勢や前傾姿勢の時間を減らす。
⇒首を15分ごとに休めたり、ネックリラクゼーションを行う。
このイラストは”ネックリラクゼーション”ですが、7項目ある”松井555体操”の3番目でもあります。
画像出展:「首は絶対にもんではいけない!」
一方、強すぎる刺激とはどれ程のものかを明らかにする必要がありますが、私は次のように考えます。
1.患者さまにとって、施術の強度は“痛気持ちいい”を超えない。
2.施術者の手技は基本的には軽擦(さする)と圧迫(押す[指圧])とする。
3.セルフケアで道具を使用される場合は、指とはことなり想像以上に強い刺激が得られやすいので十分に注意して頂く。
また、第4章の最後に「首こりの治療を行っている病院」が5つ紹介されています。関東圏では“東京脳神経センター”だけになりますが、こちらのセンターは2年前のブログの時に確認しており、その時には鍼治療も治療のひとつになっていました。今回、ひさしぶりにアクセスしたところ、求人のところに“鍼灸師”が出ていましたので、現在も引き続き鍼治療は行われています。
診療対象の不定愁訴
頭痛・めまい・自律神経失調症・うつ・パニック障害・ムチウチ・更年期障害(難治)・慢性疲労・血圧不安定・機能性食道嚥下障害・機能性胃腸症・過敏性腸症候群・便秘症・多汗症・不眠症・ドライマウス・ドライアイ・VDT症候群・起立性調節障害
付記1:リンパマッサージ
おそらく5年くらい前になりますが、“サトウ式リンパケア”の講習会に参加したことがあります。この時の目的は「筋肉をゆるめる方法」を勉強することでした。そして学んだことは「もんだり、押したり、ひっぱったりしないで、優しくさする」ということでした。
講習会後、もう少し詳しいメカニズムを知りたいと思い購入したのが『リンパケア革命』という本です。以下の2枚のイラストがポイントです。
画像出展:「リンパケア革命」
そういえば、血管の柔軟性をアップさせる物質、“NO(一酸化窒素)”が健康番組の主役になっていました。
画像出展:「リンパケア革命」
付記2:東工大ニュース
リンパマッサージということではないのですが、弱い力で擦る”マッサージローラ”を使った方法での研究結果が東工大から発表されていました。
●5分間の頬マッサージで、頬の皮膚血流量が10分間以上にわたって増加
●5週間、毎日5分以上の頬マッサージで、血流増加反応が変容
●マッサージを用いた皮膚血流や血管機能の改善手段の開発につながる成果