「骨格筋の形と触察法」という本があります。これは筋肉を深く知り、施術力を向上させるために有効な本です。特にこの中の「筋連結」という考え方は重要であると思うのですが、私が知る限り解剖学系の本などでも見かけたことがことがないため、ここに焦点を当てたいと思います。
下記はこの本の筋連結について説明されたものです。そしてその下方の図は、特に頻度が高いと思う筋肉を中心に私が再構成して作ったものです。
『筋の起始や停止を詳しく観察すると、筋線維の初まりや終わりが骨(骨膜)のみではなく、隣接する筋の筋膜や腱にもあることが多い、例えば、前腕筋膜や下腿筋膜を近位方へたどると、筋腹中央付近の筋膜に比べて丈夫で厚い膜に移行する。この厚い膜の内面を観察すると、その膜から始まる筋束が確認できる。すなわち、筋膜は徐々に筋束が始まる起始腱膜に移行しており、この腱膜が集まって骨膜と融合し骨につながっている。この起始腱膜は隣接する筋と筋との間にも、筋間中隔のように存在し、その両面から異なる筋の筋束が始まる。
このように、隣接する2つの骨格筋において、それぞれの筋線維の先端同士が、腱、各種の筋膜、筋間中隔、骨間膜、関節包、靭帯を介して接続することを、我々は筋連結と呼んでいる。
筋連結は、このようにほぼ並列に隣り合う筋間以外に、ほぼ直列に位置する筋間にも存在する。例えば大殿筋の停止は腸脛靭帯や殿筋粗面以外に大腿四頭筋の外面を覆う起始腱膜にも終わる。我々は、大殿筋の収縮がこの筋連結を介して大腿四頭筋を牽引することを報告した。
この中で大殿筋が膝伸展の作用に多少なりとも関与していること。またこの連結部に付く大殿筋の筋束を伸張させるためには、大腿四頭筋の伸張も同時に加える必要があることを示した。よって、筋連結は我々にとって重要な解剖学的情報となる。
このように筋連結は、ごく一般的に全身の筋の至る所で観察できる。そこで本書は、現在までに我々が確認した全ての筋連結を本文中に列挙し、可能な限りその写真も掲載する。』
これは大変興味深い内容であり、実際の治療の中で注目していきたいと考えますが、やはり「筋連結」という考え方がこの著者を含めた一部のものなのか、一般的に使われている用語なのかを確認する必要があるだろうと思い調べてみました。
その結果、最も多く使っているのは理学療法士(PT)であることが分かりました。J-Stageには筋連結で検索するといくつかの論文が検索できます。