『受精卵は、ふかふかで栄養たっぷりのベッドで育つことができる。』
この“ベッド”とは子宮内膜のことです。また、この過程で女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが重要であることは認識していました。
ところが、下図の【妊娠⇒着床】に出てくる“hCG”も、とても重要であるということを知りました。
”hCG”とはヒト絨毛性ゴナドトロピンのことです。”岡山大学さまのサイト(検査部/輸血部インフォメーション)”には、hCGについて次のような説明がされていました。
ヒト絨毛性ゴナドトロピン, HCG (human chorionic gonadotropin)
●ヒト絨毛性ゴナドトロピン(human chorionic gonadotropin ; hCG)は、α、β、2つの相異なるサブユニットの非共有結合により形成される分子量約38,000の糖蛋白ホルモンである。
●hCGは主に絨毛組織において産生される。
●妊娠初期の卵巣黄体を刺激してプロゲステロン産生を高め、妊娠の維持に重要な働きをしている。
●胎児精巣に対する性分化作用や母体甲状腺刺激作用も報告されている。
●絨毛性腫瘍のほか、子宮、卵巣、肺、消化管、膀胱の悪性腫瘍においても異所性発現[本来の場所以外で発現]している例が報告されている。
●臨床的にhCG測定を必要とする場合として、①妊娠の診断と予後の判定、②絨毛性疾患の診断ならびに治療効果判定とそのfollow up、③各種悪性腫瘍に対する腫瘍マーカーとしての応用、などがあげられる。
ブログに残そうと思ったのは、「神秘のネットワーク4 第6集 “生命誕生”見えた!母と子 ミクロの会話」の中に、”まず迎える、着床という妊娠の最難関門”という見出しがあり、そこで主役となっていたhCGが私にとっては大発見の新情報だったためです。
編集:NHKスペシャル「人体」取材班
出版:東京書籍(株)
発行:2018年8月
ブログは目次に続き、hCGについて書かれた箇所を取り上げています。
目次
第6集 “生命誕生”見えた!母と子ミクロの会話
Part1 新たな命が発信する最初のメッセージ
●新たな命が始まる瞬間を追う
●まず迎える、着床という妊娠の最難関門
●子から母への最初のメッセージ
●妊娠検査にも利用されるhCG
Part2 人体をつくる驚異の仕組み
●“ドミノ式全自動プログラム”
●万能細胞が開いた神秘の扉
●最初に生まれる臓器は、心臓
●心臓の次は、肝臓
●さまざまなメッセージが連鎖して作用する
●ぐんぐん成長する赤ちゃん
※万能細胞が切り拓く新しい世界
Part3 胎盤の中で繰り広げられる母と子のやりとり
●10か月で驚きの成長を遂げる赤ちゃん
●母と子をつなぐ命綱
●胎盤の中で繰り広げられる驚異の共同作業
●1つ1つのメッセージを専用装置でやりとり
●そして、誕生
※もう1つの生命誕生物語
Part4 生命誕生の解明が医療の未来を切り拓く
●原因不明の難病に苦しむ女の子
●肝臓移植の代わりになる再生医療
●何になるべきかを知っていた細胞
●生命誕生に学ぶ未来の医療
●“ミクロの会話”がもたらす希望の光
※臓器づくりに欠かせない細胞同士の会話
第7集 “健康長寿” 究極の挑戦
Part1 「がん」が送り出す恐ろしいメッセージ
●日本人の死因第1位のがん
●何度取り除いても発症するがん
●映像が捉えたがん細胞の増殖
●がん細胞が血管を引き寄せる仕組み
●特殊なメッセージ物質、エクソソーム
●それはメッセージの宝箱だった
●宝箱を悪用するがん細胞
●免疫細胞も手なずけるがん細胞
●エクソソームががんの転移のカギを握る
●転移のための環境を整えるがん細胞
●体内のエクソソームは100兆個以上
Part2 「がん」との戦いの最前線
●がん治療の新時代
●13種類のがんの早期診断を目指す
●運動ががん治療につながる
●エクソソームを標的としたがん治療
●光と免疫でがんを攻撃
●牛乳からがんの治療薬も……?
Part3 不可能に挑む! 次世代の心臓再生医療
●いったん傷ついた心臓はもとに戻らない
●心臓の中のメッセージ物質
●エクソソームから心筋細胞を再生
●メッセージ物質を使った治療のメリット
●iPS細胞を使った心臓の再生医療
Part4 神秘の巨大ネットワーク
●人体の解明へさらなる挑戦は続く
●臓器同士をつなぐ情報ネットワーク
●全身の免疫力を司る腸
●骨が若さを生み出す
●幹細胞から骨をつくり「健康寿命」を延ばす
●人体探求の“たすきリレー”は次世代へ
特集:人体ART
Part1 新たな命が発信する最初のメッセージ
●まず迎える、着床という妊娠の最難関門
・受精卵は分割し5日ほどで100個程の細胞に増える。自然の受精の場合、この段階は卵管の中を子宮に向かって移動しながら行われる。なお、この時の受精卵は「胚盤胞」と呼ばれる。
・体外受精の場合、受精卵は胚盤胞の状態までシャーレの中で培養された後に子宮の中に戻される。
・誕生に向けた最初にして最大の難関がここから始まる。受精卵が生き続けるためには、子宮の壁(子宮内膜)にしっかりと根を張って着床する必要がある。
・この関門を乗り越えるために、母親の体はメッセージ物質が働いて大きな変化を促す。受精卵が着床するためのカギはメッセージ物質である。
●子から母への最初のメッセージ
・赤ちゃんからお母さんへの“初めてのメッセージ”は、母親が妊娠に気づくずっと前から受信され始めている。
・『受精後8日目の受精卵の姿は、まだ大きな変化がないように見えた。ところが、2日後、思いがけない現象が起き始める。受精卵のあちらこちらから、ある物質が放出され始め、日を追うごとに、どんどん増えていった。hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)と呼ばれるこの物質こそ、着床のカギを握るメッセージ物質だ。』
・hCGの役割は受精卵が母親に「ここにいるよ!」と伝えるためのメッセージである。このhCGは受精後10日目の受精卵から放出される。
・hCGは母親の血液の流れに乗って全身を巡り、卵巣などに働きかける。すると、母親の体は生理を起こさないように変化し、子宮の壁(子宮内膜)をどんどん厚くしていく。これにより受精卵はしっかりと包む込まれ、着床は促進される。
●妊娠検査にも利用されるhCG
・母親の血中hCGの量は、妊娠を調べる検査にも用いられている(血液中のhCGは尿にも出ていくため尿でも調べられる)。
【受精卵が出す最初のメッセージ物質hCGの働き(CG)】