不整脈と薬4

病気がみえる vol.2 循環器』を元に各不整脈の一覧表を作りましたが、最初に心臓に関する基本的なことをまとめたいと思います。

心臓の位置
心臓の位置

画像出展:『人体の正常構造と機能』

心臓の位置は中央やや左、高さはおおよそ第1肋骨から第6肋骨である。

心臓の横断面:第7胸椎の高さ
心臓の横断面:第7胸椎の高さ

画像出展:『人体の正常構造と機能』

心臓は心膜と心膜腔に囲まれている。

心膜の構造
心膜の構造

画像出展:『病気がみえる vol.2 循環系』

心臓は横隔膜、胸骨、脊柱に付着し、心臓の過度な移動や拡張を防いでいる。

肺などの周辺臓器に感染がある場合、心膜は感染の拡大を防ぎ、心臓への影響を遅延させる。

※心膜はファシアである。

心膜液の機能
心膜液の機能

画像出展:『病気がみえる vol.2 循環系』

心膜腔には正常で15~50mLの心膜液が貯留している。

心膜液は臓側心膜と壁側心膜の摩擦を防ぎ、心臓のスムーズな拍動を可能にしている。

・心膜液は臓側心膜で産生され、胸管や右リンパ管に排出される。

心膜の解剖(断面)
心膜の解剖(断面)

画像出展:『病気がみえる vol.2 循環系』

 

刺激伝導系
刺激伝導系

画像出展:『病気がみえる vol.2 循環系』

 

動脈系と静脈系
動脈系と静脈系

画像出展:『病気がみえる vol.2 循環系』

 

まとめ

不整脈を考える上で知っておくべきことは以下の3つです。

●心臓の電気生理

●不整脈が生じるメカニズム

●薬物の作用機序

”心臓の電気生理”は次の3つが重要です。

脱分極

●再分極

●不応期

電気生理学について深い知識なしに不整脈の治療はできない」というのはおこがましい。しかし、「イオンチャネルについてささやかな知識がなくては、不明脈の治療はできない」というのは正しい。』とのことです。

不整脈治療について、村川先生は次のようなお話をされています。

『「抗不整脈薬の薬理学はどうもわかりにくくて、嫌になる」というのはまともな感覚。なかなか頭の中が整理できない。』

『これまで蓄積された情報を十分マスターしたとしても、未知の要因がたくさん残されている。不整脈の専門家でも「確信はないがとりあえず使ってみる」というパターンが多い。』

陰性変力作用や催不整脈作用、あるいは薬物代謝の面で使いにくい薬剤を避けるという「消去法の発想」のほうが正直な道だと思う。

『それなりのクスリはあるが、魔法のクスリはない。』

不整脈の治療には、とりあえず、「イオンチャネル」と「それ以外」と単純に考えてよい。

不整脈についての知識と経験が増すほど、意識的に治療しないという道を選ぶ。

『頑張りすぎると募穴を掘る。』

『「慎重さと果敢さのバランス」も大事。』

☆自律神経系の影響を受けやすい

●特に洞結節、房室結節は自律神経系の影響を受けやすい。

☆心房細動に関すること

●発作性心房細動はしばしば肺静脈の反復性興奮による。

●多くの抗不整脈薬は陰性変力作用を有するので、心エコーによる心機能の評価なしの投薬には限界がある。心房細動を見たら心エコーは必須。

☆心機能と腎機能が低下している高齢者

●陰性変力作用が少なく、腎排泄でないという条件に加え、潜在的な徐脈性不整脈や催不整脈作用に注意する。

☆アミオダロンとICD(植込み型除細動器)

アミオダロンは最もパワフルな抗不整脈薬であり、適応を判断することが難しいため、基本的に不整脈薬専門医によって処方される。

アミオダロンは副作用の点で使い方が面倒だが、重篤な心室不整脈にはほぼこれしか選択肢はない。使うべきときには積極的に使う。ハイリスクなら植込み型除細動器(ICD)が併用される。