健診でLDLコレステロールは194、総コレステロールは344、ただしHDLコレステロール(61)と中性脂肪(87)は基準値内でした。そして、父親が40台後半に心筋梗塞で他界し、母親もLDLコレステロールが確か130前後だったと記憶していますので、間違いなく、私は“家族性高コレステロール血症(ヘテロ型)”だろうと思います。
こうなると、「家族性高コレステロール血症とはどんなものか?」と一気に興味が押し寄せるくるのですが、調べたところ本は少なく、あってもなかなかの高額の本ばかりでした。また、期待の地元の図書館も空振りでした。
そこで、今回はネットにある情報を中心に勉強しました。
著者:川尻剛照
発行:2021年3月
出版:メディカ出版
この本を欲しいと思ったのですが、中古本でも4,000円近くしたので、ケチってしまいました。
家族性高コレステロール血症(FH:Familial Hypercholesterolemia)
1.LDL受容体の異常により高LDLコレステロール血症を呈する常染色体性優性遺伝性疾患である。
2.遺伝形式にはホモ型とヘテロ型がある。
●ホモ接合体とヘテロ接合体
画像出展:「病気がみえる vol.3 糖尿病・代謝・内分泌」
・ホモ型
-両方の遺伝子に異常がある場合で、LDLコレステロール値は500~900㎎/dL、総コレステロール(TC)値は600㎎/dL以上になることが多い。
-一般的には、100万人に1人と言われているが、日本では16万人に1人という研究報告もある。
・ヘテロ型
-どちらか一方の遺伝子に異常がある場合で、LDLコレステロール値は150~420㎎/dL、総コレステロール(TC)値は230~500㎎/dL以上になる。
-一般的には、500人に1人と言われているが、日本では200人に1人という研究報告もある。
画像出展:「病気がみえる vol.3 糖尿病・代謝・内分泌」
ヘテロ型はホモ型ほど重篤ではないが、動脈硬化性病変の発症率は非常に高い(約70%が65歳までに死亡)
●主な症状
・黄色腫
-腱や皮膚などに蓄積する黄色い塊である。
-ホモ接合体の10歳までの子ども時代に認められ、成長とともに盛り上がった状態になる。
-黄色腫は、肘やひざの他、手首、おしり、アキレス腱、手の甲などに多く見られる。
-重症のヘテロ接合体では皮膚に黄色腫が見られることがある。その多くは成人以降に現れる。
・結節性黄色腫
-重症のFHに見られる。
-黄色または淡紅色の結節で、肘・膝関節、手背、足部、殿部に好発する。
・角膜輪
-家族性高コレステロール血症(FH)に特異的とはいえない。
-白色輪(白色~灰青色)を呈する。
●原因遺伝子
・19番染色体の19p13.2という位置に存在する“LDLR遺伝子”。この遺伝子は“LDL受容体”というタンパク質の設計図となる遺伝子である。LDLR遺伝子の変異により、細胞表面にあるLDL受容体の数が減ったり、LDL受容体が正しくLDLを取り込めなくなったりする。そのため血中のLDLコレステロール値が高くなる。
・APOB遺伝子、PCSK9遺伝子、LDLRAP1遺伝子も、この病気の原因遺伝子として同定されている。それぞれの位置は順に、2番染色体(2p24.1)、1番染色体(1p32.3)、1番染色体(1p36.11)である。これらの遺伝子から作られるタンパク質は、いずれもLDL受容体が正常に機能するために不可欠であり、変異によって、血中のLDLコレステロール値が高くなる。
・これら4つの原因遺伝子に変異がなく、原因遺伝子がまだ見つかっていない家族性高コレステロール血症の人たちもいる。
●日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」の FH診断基準
(1) 未治療時の LDL-C 値が180 mg /dL以上
(2) 皮膚結節性 黄色腫または腱黄色腫の存在
(3) 二親等以内に家族性高コレステロール血症(FH)または若年性冠動脈疾患患者がいる
の3つのうち2つ以上で FHと診断できる。
●ヘテロ接合体の診断から治療
・角膜輪やアキレス腱黄色腫は10代後半から 30歳までの半数に認めらる。
・冠動脈疾患は、男性は30歳以降、女性は50歳以降に現れるとされているが、より若年で発症する例もある。
・アキレス腱肥厚は LDL−C高値とその曝露期間に影響され、冠動脈疾患発症リスクともよく相関するため、家族性高コレステロール血症(FH) の診断には有用である。定量的にはX線軟線撮影で9mm以上を異常と判定する。
以下の画像は「家族性高コレステロール血症 (FH)」さまより拝借しました。
・ヘテロ接合体の疑いがある場合には、遺伝子検査による診断が望ましい。日本における家族性高コレステロール血症(FH)の診断率は1%未満であり、多くの人は気づいていない。
・家族性高コレステロール血症の基本薬はスタチンである。クレストール(ロスバスタチン)、リピトール(アトルバスタチン)、リバロ(ピタバスタチン)など“スーパーストロング”、“ストロングスタチン”、“スタンダードスタチン”に分類され、特に服用できない理由がない限り積極的に使う。家族性高コレステロール血症では管理目標値に到達するまで、必要があれば上限量まで使うことも可能である。
・スタチンのみでは十分な効果が得られない場合、エゼチミブ、PCSK9、阻害薬、胆汁酸吸着レジン、プロブコール、フィブラート系薬剤、ニコチン酸製剤などの、他の脂質低下薬の併用が検討される。PCSK9阻害薬は注射薬、その他は内服薬である。
・筋肉痛、肝機能障害などの副作用によりスタチンが使用できない場合は、これらの薬を単独または併用で治療する。
・ガイドラインでは、家族性高コレステロール血症(FH)の場合、LDLコレステロールの値は、100mg/dl以下を目標とするとされているが、200を超えるようなLDLを100以下にするのは困難なため、治療前の半分の改善値でも可とされている。
画像出展:「病気がみえる vol.3 糖尿病・代謝・内分泌」
スタチンの働きは、「①酵素を阻害し、②LDL受容体の合成を亢進させ、③血中のLDLを減らす」というものです。
・家族性複合型高脂血症という類似疾患や、シトステロール血症、脳腱黄色腫など皮膚黄色腫を示す別の疾患、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群、糖尿病などの高LDLコレステロール血症を示す別の疾患などとの鑑別診断も必要である。
画像出展:「病気がみえる vol.3 糖尿病・代謝・内分泌」
“家族性高コレステロール血症”と“家族性複合型高脂血症”の違いは、前者がLDLコレステロールが顕著に高値になる一方、後者は中性脂肪も高値になるところが特徴的である。
画像出展:「病気がみえる vol.3 糖尿病・代謝・内分泌」
small dense LDLは家族性複合型高脂血症に見られる特徴ですが、注意が必要です。
small dense LDLはLDLの中でも粒子が小さく、血管内膜に入り込みやすく、酸化・変性しやすいという特徴を有している。
追記
かかりつけ医の先生から処方されたのは、“ピタバスタチン2mg”で期間は50日間でした。
筋肉や肝臓への副作用に注意する必要がありますが、幸い何も問題は出ず、肝心のLDLコレステロールの数値も、194mg/dLが102mg/dLまで下がりました。
やはり、家族性高コレステロール血症なのだと思います。また、良い薬があって本当に良かったなと思う反面、今後、一生服用し続けるのだろうとも思いました。