コレステロール情報

私は、昔から高脂血症というグループの入り口付近をウロウロしています。卵類は良くないということで制限していた時もありました。
一方、数年前くらいからコレステロールに対する別の見方が世間をにぎわすようになり、「一体全体何が正しいの?」という思いを持っていました。
先月、「ケトン体」と「代謝」を調べる目的で、光文社新書の「ケトン体が人類を救う(宗田哲男先生)」、「代謝がわかれば身体がわかる(大平万里先生)」という2冊の本を拝読したのですが、そのいずれの書にも、コレステロールに関する肯定的な内容の記述がありました。


一方、ネット検索では、コレステロールが重要な役割を担っているという情報が多く掲載されていることが分かりました。特に高脂血症の薬として有名なスタチンについても、少し古い記事ですが、衝撃的な内容の記事がありました。
2013年9月6‐7日 日本脂質栄養学会第22回大会「糖尿病者にスタチンは禁忌‐緊急提言

『医療現場では多くの場合、糖尿病者により厳しいコレステロールの管理を求め、多くの場合、スタチン(コレステロール低下剤)の使用を必須なものとしている。しかし糖尿病者に対しても、スタチンには心疾患予防効果は認められず、スタチン類はむしろ糖尿病を新規発症させることが確かとなった。またその生化学的基盤も明らかにされてきた。すなわち糖尿病者にスタチンは禁忌であり、医師の合理的な判断による特別なケースを除き、その使用を制限するよう提言する。』

ブログでは、この2つの書に出てくる内容をそのまま引用させて頂いています。また、厚生労働省による「コレステロールの食事での摂取制限を撤廃」など、コレステロールに関するニュースを付け加えています。

 

「ケトン体が人類を救う(p154~p157、p160~p163)」より 初版:2015年11月
コレステロールも「無実の罪」をきせられていた
『さて、ここまで見てきたような、「カロリー制限すべき」の考え方や「脂肪が糖尿病の原因」説など、間違った主張の根拠となっているのは、コレステロールが巨悪の根源と考える「コレステロール悪玉説」です。これは根強い支持を得ていて、今でもそれを信じている人が国民の大半を占めていると思います。ところが、ここへきて従来のコレステロール悪玉説が崩れつつあります。
コレステロールというのは、体内の主要成分であって、特に脳は、水分を除けば脂肪が40%を占め、さらにその30%がコレステロールでできています。
全身の3分の1のコレステロールが脳に存在しているそうですから、脳にとってどんなに重要な物質かがわかるでしょう(ですから、後述しますが、コレステロールを下げる薬を飲むと、脳の活動が低下して、認知症やうつ病などが引き起こされることもわかってきました)。
さて従来は、脳梗塞や心筋梗塞、動脈硬化などの疾患は「コレステロールが原因」とされていたのですが、最近になって、じつは梗塞の現場にコレステロールが見つかっただけで、コレステロールは犯人ではなく、血管損傷の修復係であることが明らかにされてきました。火事の現場で見つかったコレステロールは、放火犯ではなく消防士だったのです。』

 

食事でコレステロールは上がらない
『アメリカやイギリスなどでも、30年以上にわたって、総脂肪と、バターなど動物性脂肪の多い飽和脂肪酸の摂取量の制限を基本とした食事指導が行われていました。
しかし、イギリスの医学雑誌に今年(2015年)2月、「食事指導を実行してもしなくても心筋梗塞などによる死亡率は変わらない」とする研究結果が発表されたのです。健康な人と脂質異常症の患者らを対象にした複数の研究を分析した質の高い研究で、血中コレステロールを減らすことを目的におこなった従来の食事指導には根拠がないことを示した画期的な内容でした。
近年、日本の脂質栄養学会が明らかにしたデータによっても、コレステロールが低いほど死亡率が上がること、日本人に関しては、コレステロールが高いといっても、基準が欧米と比べて低すぎること、特に女性は99%が、薬でコレステロールを下げる必要のない水準であることがわかってきました。
そして、序章でも述べた通り、2015年4月1日に厚生労働省は、コレステロールの食事での摂取制限を撤廃しました。
体内のコレステロールは、食事で作られる割合が20%で、残り80%は肝臓で合成されていることは従来からわかっていたことでした。コレステロールをあまり摂取しなければ、体内合成分が増えますし、たくさん摂取すれば、合成分が減る、というバランスができているのです。
ですから、これを食事でとらないようにすることに意味がないことは、何年も前から言われてきたことでしたが、これまでの「コレステロール悪玉説」が、まさにさまざまなしがらみの中で、訂正できなくなっていたのでした。
今年2月になって、アメリカ政府の「食生活ガイドライン諮問委員会」が、食事でのコレステロールの摂取制限は必要ないと報告したことにより、なぜか急に日本もこれを踏襲して撤廃したのです。』

コレステロールの抑制は危険!

『先ほども書きましたように、脳はほとんどが脂肪であり、コレステロールの集積です。脳に必要なコレステロール値を下げてしまうとどうなるのか?
順天堂大学 奥村康特任教授は、ご本人のブログでこんな怖いことを書いています。
「医者に行くと、コレステロール220以上で異常だといってコレステロール降下薬を飲まされる。すると、まずいことに鬱になるんですね。非常に多弁だった人が無口になったりする。そういう人が電車に飛び込んだという話をしていたら、実際に帝京大学の精神科の先生とJR東日本が協力して、JR中央線で自殺した人を調べたんです。その結果、9割が55~60歳で、ほとんどが男だった。それが見事に全員、コレステロール降下薬を飲んでいたという」
また、こんな気になることも書いています。「コレステロール降下薬の年間売り上げは3,000~4,000億円ともいわれている。その7割は女性が飲まされている。女性は閉経後に必ずコレステロールが上がるからです。』

 

そもそも「コレステロール神話」はどうしてできたのか
『1913年、ロシアの病理学者ニコライ・アニチコワが、ウサギにコレステロールを与える実験をおこなったところ、大動脈にコレステロールが付着して動脈硬化が起こったことから、コレステロールが動脈硬化の原因であるとして発表しました。
しかし、その後の研究で、ウサギは草食動物であり、普段はコレステロールなどはまったく摂取しない動物であるため、コレステロールを投与した場合、それがそのまま血中コレステロールを急上昇させてしまうことがわかりました。
一方、人間はそもそも肉食だったと考えられ、普段から肉などを食べてコレステロールを摂取しており、摂取量に応じて体内で合成する量を調節し、コレステロール値を一定に保つ仕組みができているため、ウサギの実験がそのまま当てはまるわけではないことがわかっています。
100年前の低レベルな動物実験の結果を、検証することなくそのまま信用した最初の「コレステロール悪玉説」が間違いなのですが、じつは、間違いだとわかってからも、薬の販売や普及での利権とつながっていますから、修正が効かない状況に陥っていたのでした。
コレステロールのとりすぎが健康に悪いと言われ始めたのは1960年ごろから、それまで血管に血栓などを作ると考えらえていたコレステロールが、じつは損傷した血管を修復していることがわかり、コレステロールを「善玉」(HDLコレステロール)と「悪玉」(LDLコレステロール)の2種類に分けて評価するようになりました。
しかし、最近では、この「善玉」と「悪玉」の区別もおかしいと言われており、LDL(悪玉)が多くても死亡率に変化はなく、逆にLDLが低すぎると死亡率が上がる、ということもわかっています。
東海大学名誉教授の大櫛陽一先生によれば、細胞にコレステロールを運ぶのがLDLで、古くなった細胞からコレステロールを肝臓に戻す役割をしているのがHDLで、その両方が必要だとしています。
また、前にも述べましたが、コレステロールの8割は体内で合成されており、食事の種類を変えても体内のコレステロール量は変化がないことがわかっており、また、コレステロールが減るとがんや認知症の発病率が跳ね上がる可能性も示唆され、「コレステロールは悪」から「コレステロールは必須なもの」に変わってきているのです。
しかし、コレステロール降下薬の売り上げは3000億円とも言われ、莫大な利益を生む構造があるため、「コレステロール悪玉説」の否定は大きく遅れてしまったのでした。』

「代謝がわかれば身体がわかる(p218~p222、p228~p231)」より 初版:2017年8月
第2の脂質、コレステロール
『同じ人物でも、いる場所によって立ち位置が変わることがある。別に内弁慶とかそういうことでなく、当人は変わっているつもりがなくても、周囲の環境によって、その人の他者との相対的な関係が変わるのである。
たとえば、会社では非常に几帳面な仕事ぶりで通っているある人が、彼(彼女)の配偶者が超絶に潔癖症であるために、家庭では「相当にだらしない人」という烙印を押されてしまっているようなことはありえる。
コレステロールという誘導脂質(疎水性化合物。他に「脂肪酸」「ステロイド」など)もまた、「いる場所によって存在価値の変わる」存在である。いきなり「コレステロールの存在意義」とあるから、何をいっているのかと思ったかもしなない。ほとんどの人は、コレステロールといえば、健康診断で悪者扱いされているイメージかもしれない。
しかしハッキリいって、それは誤解である。相当に見当違いといってもよい。では、コレステロールとは何なのか。何のために身体にあるのか。』

 

コレステロールは細胞膜のコーディネーター
『ずばり、コレステロールは、「細胞膜の流動性を調節する脂質」である。他にも、脂質の消化吸収の補助やホルモンの合成材料となるなど、コレステロールには様々な役割があるが、量的に見ても、メインの機能はここにある。
細胞膜の流動性は、リン脂質を構成する脂肪酸の種類によって調節されている。つまり、合成する脂肪酸の組成を微調整しながら、細胞膜の安定性をある程度まで維持しているのである。
しかしながら、細胞は常に変化し続ける。大きさが変化して、急遽、細胞膜が大量に必要になる場合もあるだろうし、細胞が分裂して、新たな環境に置かれる場合だってあるだろう。
そのような変化の中で、リン脂質の構成だけで、細胞膜の安定性を維持するのは至難の技である。脂肪酸合成のあの手間を思い出してほしい。臨機応変に対応するのは大変そうだ。
そこで、コレステロールである。まず、コレステロールは、親水基が1つしかなく、水に溶けない。脂肪酸とは分子の構造がかなり違っている。脂肪酸がうどんのような「線」の構造なら、コレステロールは「みみ」で数枚つながったような南部せんべいのような「面」の構造なのだ

 

 

画像出展:「代謝がわかれば身体がわかる」

そして大きさも重要である。細胞膜を作る脂質二重層の厚み、つまりは細胞膜の疎水性の片側に、ほぼすっぽり隠れる程度の大きさである。小さすぎても、大きすぎても、細胞膜の疎水性の構造を不安定にし、下手をすると細胞膜の機能を大幅に変質させてしまう危険性がある。コレステロールは、その化学性的性質も、分子の構造も、細胞膜の流動性を制御するのによくできた化合物なのである。
では、実際にどのように流動性に関与するのか。たとえば、流動性があまりない細胞膜の場合、その状況を変えるには、きっちりと密に詰まった細胞膜に「くさび」を打ち込むように、コレステロールがハマってゆくことが有効である。

コレステロールは脂肪酸とは形が違うから、コレステロールがハマった部位は、細胞膜を形成するリポ脂質の配置が多少攪乱される。攪乱されるということは、流動性が増すということである。
逆に、流動性の高い細胞膜を構成する脂肪酸は、一般的にまとまりにくいから、リン脂質それぞれは、好き勝手にふらふらしている。それを引きとめる安定した存在が必要だ。
コレステロール、今度は、リン脂質のまとめ役となる。コレステロール自身は「面」の構造をしていて、かつ疎水性だから、お互いに自然と集まる特性を持っている。ふらふらしたリン脂質は、ぴちっと整列しないために余った空間があるので、コレステロールが集まって、安定した島のような構造を作ることになる。ふらふら移動していたリン脂質に、いわば「まとめ役」が登場し、細胞膜の流動性は低くなり、膜は安定する。

 

 

画像出展:「代謝がわかれば身体がわかる」

このように、コレステロールは、細胞膜のコーディネータのような存在であり、すべての細胞で必須の誘導脂質である。
また、コレステロールは、後述するが、脂質の消化吸収の補助をする胆汁酸の材料でもある。また、量的にはわずかだが、腎臓・副腎や生殖細胞においてはステロイドホルモン、皮膚ではビタミンDの合成の材料としてそれぞれ必要である。そして、脂肪酸と同じように、コレステロールは体内で合成することができる。』

 

悪玉コレステロールとは何者か?
『通常、成人病向けの医療情報などでは、「LDLは悪玉コレステロール、HDLは善玉コレステロール」という表現になっており、ここまで読んで「いったい何が本当の悪者なのか」と疑問を持った人もいることだろう。
LDLもHDLも、コレステロールや中性脂肪を輸送する媒体の名称であって、コレステロールそのものではない。そもそも、略称にどこにもコレステロール(Choresterol)のCがないではないか。
LDLやHDLなどをまとめてコレステロールと呼ぶのは、「帰省客を乗せた新幹線」や「観光客を乗せた寝台列車」などをすべてまとめて「人間」と呼んでいるような奇妙な言い回しだ。新幹線や寝台列車は人間ではない。それにさらに「悪玉」とか「善玉」とかの形容をつければ、あたかも「悪いコレステロール」「良いコレステロール」があるかのように錯覚してしまうだろう。というか、そう思っている人が大半だろうと想像する。
では何をもって、「悪玉」「善玉」と呼んでいるのか。それは、変性または変形して血管の内皮に付着して動脈硬化などを起こす可能性をもったLDLを「悪玉」、そうなる可能性が低く、むしろそういったLDLを回収する働きもあるHDLを「善玉」といっているにすぎない。
といっても、LDLが絶対的に悪い存在かといえばそんなことはない。あえていえば、場合によってはLDLが事故を起こす可能性があるということである。それは、「それは新幹線も事故を起こすかもしれない」と言っているようなものである。
安全運行が前提の新幹線に事故が起きるためには、相応の原因を想定しないといけない。たとえば、経済性のみを優先して少人数スタッフで超過密な運行スケジュールを強行したり、テロリストによる破壊工作がなされたりする場合などである。LDLも、その血中濃度や様々なきっかけによって、小型化して血管内皮に侵入してしまうことがある(脱線)。あるいは、血中に存在する活性酸素や余剰の糖と反応し、変質したLDLになり、その結果コレステロールを配達すべき細胞がわからなくなってしまって、血管内皮の常駐組になってしまう場合もある。いわば行先不明の暴走列車が線路脇で脱線しまっくている状況である。
そういった、血管内皮に定着してしまった変質LDLは、やがてマクロファージなどの免疫系の細胞にまとめて捕食され、輸送媒体そのものも崩壊する。その状況が慢性的に進行すれば、血管内皮が膨潤・糊化して、いわゆる動脈硬化となる。

 

 

画像出展:「代謝がわかれば身体がわかる」

動脈硬化の現場に行けば、乗客であったコレステロールが、本来の機能を果たせずに死屍累々である。
しかし、乗客に罪はない。たまたまその列車に乗っていたにすぎないのである。まだまだ研究途中の部分も多いので、一概にいえないが、LDLを暴走させるに至ったのは、余剰の糖質や活性酸素などの、LDL以外の外部要因の可能性が濃厚であり、本来の姿のLDL自体に大きな欠陥があるわけではないと考えられている。テロリストの工作によって、新幹線が暴走し大事故を起こしたからといって、新幹線そのもの、ましてや乗客を非難する人はいない。悪いのは新幹線に破壊工作を行ったテロリストに決まっている。
つまり、真の悪玉は、余剰の糖質や活性酸素である可能性が極めて高い。しかしながら、「悪玉コレステロール」という表現だと「テロ被害にあった乗客(新幹線)が悪い」と言っているようなことになってしまうのである。繰り返しになるが、コレステロールそのものは別に悪くない。』