免疫学講義3

安保徹の免疫学講義
安保徹の免疫学講義

著者:安保徹

出版:三和書籍

初版発行:2010年12月

目次は”免疫学講義1”を参照ください。

第9章 サイトカインの働きと受容体

1.サイトカインの歴史

T細胞を増殖させる因子をTCGF(IL-2)、B細胞の増殖因子をBCGF(IL-4)と呼ばれる、サイトカインである。サイトカインはホルモンより高分子タンパクである。寿命が短くすぐ壊れてしまう。T細胞の特定のものを増やすのではなく、全体を増やし特異性がない。

T細胞の増殖因子として見つかったサイトカインは、NK細胞やB細胞を増やしたり、B細胞の分化を助けるなどいくつかの重なる機能を持っている。そして、このような性質をもつ因子をホルモンと対比させてサイトカインと命名した。

サイトカインはリンパ球やマクロファージが出す。また、脳神経が使っている因子にも共通しているものがあるだけでなく、身体のいたるところで広く使われていることが分かった。

2.サイトカイン

①IL-1

IL-1はマクロファージが出すリンパ球活性因子であり、炎症性サイトカイン(内因性発熱因子)である。インフルエンザに罹ると38℃、39℃の発熱があるが、これはリンパ球が働きやすい至適温度にするためにIL-1が発熱させているのである。

②IL-2(TCGF)

T細胞やNK細胞の最大の増殖因子である。

③IL-3

●骨髄の幹細胞の増殖因子で、分化の最初の引き金をひく。T細胞、肥満細胞、マクロファージという各細胞から出て骨髄の分化を立ち上げ、初期分化を促す。

④IL-4、IL-5、IL-6

●これらのインターロイキンはB細胞の分化にかかわる。

⑤IL-7

●骨髄や胸腺のストローマ細胞(支持細胞)である。リンパ球分化を促す。

⑥IL-8

顆粒球の走化性[微生物や白血球などの細胞が、栄養分や誘引物質のある方向へ移動したり、逆に嫌気物質から遠ざかる性質]を刺激する物質である。ケモカインとも呼ばれるがケモカインの分子量は他のインターロイキンと比べて小さい。

⑦IL-9

●IL-2やIL-4と類似している。T細胞やB細胞を増殖させる。

⑧IL-10

抑制因子、リンパ球の増殖を弱め、過剰な免疫反応を止める。

IL-12、IL-15、IL-18

NK細胞やCTLの活性を刺激する。

⑩IFN(interferon:インターフェロン)

●複数の作用を有する。ウィルス増殖阻止因子、MHCの発現を促す、抗原提示能を上昇させる。

⑪TGFβ(transforming growth factor)、(tumor necrosis factor)

●TGFβは機能が多岐にわたり複雑である。免疫抑制の作用がある。

TNFαはアポトーシスを誘導して、不要になったものやガン細胞を殺している。

⑫Fas ligand

●Fasについてアポトーシスを誘導する。

●NK細胞、extrathymicT細胞、CTLが相手を殺すときに使用される。

第10章 自然免疫

1.外界に接する場所の抵抗性

自然免疫とは獲得免疫ではないものである。

丈夫な皮膚(ケラチン)と汗は重要な抵抗力である。腸上皮の細胞は加水分解酵素やタンパク分解酵素を持っており、補体を作る力も持っている。

皮膚や腸管は常在細菌がおり、常在細菌は病原細菌が入ってきたときに攻撃する。

胃の壁細胞はpH1の塩酸を出しており、ほとんどの細菌はここで死滅する。

消化管の絨毛や繊毛は異物を運動により排出する。

2.細胞の抵抗性

●感染が起こると発熱するが、一つは内因性の発熱因子によるものである。IL-1、IL-6、TNFα、プロスタグランジンなどである。一方、細菌自体が熱を上げる場合があるが、その代表がLPSで、外因性の発熱因子である。

3.補体

●抗体が進化する前からの腸上皮の抵抗因子で、複合タンパクからなり細菌などを溶解する。

4.補体の働き

●細菌や異種細胞の溶解である。膜に穴を開けて壊す。

●白血球の貪食能を上げるオプソニン化や、白血球自身を活性化させる働きを持っている。

●免疫複合体(抗原と抗体がくっついたもの)が消えるときに補体は使われる。

6.活性化の経路

●活性化の経路は3つある。古典経路、代替経路、レクチン経路である。

7.古典経路

●抗原抗体反応から始まる経路。古典経路で補体活性化するのは、IgM、IgG1、IgG3に限られている。

古典経路の概略
古典経路の概略

画像出展:「東邦大学 抗体と補体

『古典経路は体内に侵入してきた細菌や細胞の膜抗原に抗体(IgGやIgM)が結合して免疫複合体を形成すると、補体第1成分(C1)がこの抗体と結合して、C1が活性化されます。活性化したC1は補体C4を活性化し、その後、補体(C2~C8)を次々に活性化します。その結果、最終的に膜上に補体第9成分(C9)の複合体を細胞壁(膜)に埋め込み、細菌や細胞に穴をあけます。』

8.代替経路

●抗体を使わない経路。細菌刺激で直接C3という補体を活性化する。

9.レクチン経路

●マメ科の植物タンパク質のレクチンは直接C3を活性化する。

10.補体の産生部位

●腸上皮細胞、肝細胞(腸上皮細胞から進化)で作られる。

●補体の1~9の一部はマクロファージで作られる。

●腸は多細胞生物が進化したもの、マクロファージは単細胞時代の生き残り、身体に危険なものが来たとき、新旧の細胞が共同作業で相手の細胞や細菌を溶解しようとすることが補体の働きである。

11.補体レセプター

●補体のレセプターは、構造の違いで1から4まであり。CR1-CR4といわれている。

●補体レセプターは色々な白血球にあるが、腎臓の糸球体基底膜にもある。免疫複合体(抗原と抗体がくっついたもの)と補体のコンプレックスができ、糸球体基底膜に沈着すると腎障害が起こる。

12.細胞膜上にある補体活性抑制因子

●補体が無秩序に動き出すと、白血球が勝手に活性化したり、腎の基底膜について危険なため、身体には補体を活性化させない補体活性抑制因子も存在している。これは細胞膜上にあり、自己の細胞が溶解されないように守るためのものである。

14.補体遺伝子の欠損

●化膿性感染症を繰り返したり、免疫複合体が血液中で増加するといった独特の異常が出てきたり、白血球の貪食能が低下したりといったことが出てくる。

第11章 膠原病 part1

1.自己の認識について

●『自己免疫疾患は多くの専門家がいうように「原因不明の難病」ではありません。リウマチやSLEなど自己免疫疾患は、数年前まではなぜ起こるか分からなかったのですが、リンパ球の研究などを通じて、自己免疫疾患が起こる理由がはっきり分かりました。』

3.自己免疫疾患の誘因

①MAG

●『それでは、どうしてリウマチやSLE、ベーチェット病、シェーグレン症候群、橋本氏病といった自己免疫疾患になるのでしょう。まず1つには、組織破壊が最初にあって、自己抗原が出てくるからです。その自己抗原とは対応するクローンがnegative selectionをすでに受けたような自己抗原ではなく、めったに身体の中に現れないような自己抗原です。これを隔離抗原といいます。私たちの自己の組織でも、いつもリンパ球の前にさらされている抗原ばかりではありません。普段リンパ球が届かないような場所にいるものもあります。

隔離した抗原とは、例えば、MAG(myelin-associated glycoprotein)です。有髄の神経にはミエリン鞘があります。ミエリン鞘を合成するタンパク質の中に、MAGがあるのですが、これは、普段鞘の中にあって抗原性を出してはいません。ところが神経組織が壊れると、こういうものが隔離された状態から出てくるのです。

こうしてできた自己抗体が引き起こす疾患が、多発性硬化症(multiple sclerosis)で、目が見えなくなったり末梢神経の麻痺が起こるような自己疾患を引き起こします。

こういう病気を引き起こす1番多い原因は、夜更かしです。夜更かししてパソコンを長く見る人は大変ストレスが強く、視神経のMAGに障害が起こったときなどに、壊れるのです。それが自己抗原になってリンパ球が攻撃を始めます。多発性硬化症の患者さんは30歳前後の女性が多いのですが、みんな夜更かししてパソコンの画面を眺めるというような独特のストレスを受けているのです。そして神経の組織が壊れたとき、自己免疫疾患になるのです。 

古典経路の概略
古典経路の概略

”隔離抗原”を詳しく知りたいと思い、検索したところ出てきたものです。

第21回 独眼竜正宗にステロイド

『私たちの免疫系は、生後まもなく構築されるわけですが、その過程で各器官が「自己」であることを免疫系にアピールすることで、寛容が誘導され、その器官は「異物」ではなく自らの免疫で攻撃しなくなることはご存知のとおりです。ところが、生体のなかには、バリアによって免疫系から認識されにくい器官があり、隔離抗原(sequestered antigen)と呼ばれています。

 

②甲状腺細胞のミクロゾーム

●『私たちの甲状腺は甲状腺ホルモンを作っていますが、それを作りタンパク合成する場所にはミクロゾームを壊されると、甲状腺に対する自己抗体が出てきて、甲状腺が壊されます。これが橋本氏病です。

橋本氏病は甲状腺がやられるので、甲状腺ホルモン(サイロキシン)が低下していきます。甲状腺ホルモンは活力のホルモンなので、元気がなくなり、疲れやすくなってやる気が起こらないという独特の症状を出すのです。それでは、なぜ甲状腺のミクロゾームがやられるかというと、多くは長時間労働が原因です。橋本氏病は女性に多いのですが、橋本氏病になった女性のほとんどは、職場の仕事を家にまで持ち込んで夜更かしを何年も続けるなど、すごく無理をしています。

すると、甲状腺が甲状腺ホルモンを作り続け、疲弊したとき血流障害が起こり細胞が壊れ、普段隔離されていたミクロゾームがリンパ球にさらされて、クローンを刺激するのです。

現在、私の本以外の教科書を読むとみな、自己免疫疾患の原因は不明になっていますが、本当ははっきりしているのです。患者さんに無理しなかったかどうか、すぐ聞き出せます。あまりにも過酷な生き方をすると私たちの組織は壊れて、隔離された抗原が出てくるのです。

③胃壁細胞

●『私たちの胃壁には、造血と関連する因子を出す胃壁細胞があります。胃壁細胞は心配事が多いと、血流障害や顆粒球の働きによって壊れます。私たちは心配事を抱えると、びらん性の胃炎など胃の調子が悪くなりますが、これは胃の粘膜の血流障害で胃壁が壊れるからです。そういうときに、普段上皮の下に隠れている胃壁細胞がリンパ球にさらされて、抗原になります。これがいわゆる悪性貧血(pernicious anemia)の原因になるのです。』

④核、ヒストン

●『隔離された抗原が出るのは細胞を構成する成分からです。なかでも多いのはやはり核やその成分からです。核にはDNAやDNAを折りたたんでいるヒストンタンパクなどがあります。

SLE(systemic lupus erythematosus:全身性エリテマトーデス[全身性紅斑性狼瘡])とは、抗核抗体を中心とした自己抗体ができて起こる疾患です。抗核抗体は、核が抗原となります。核の中でもDNAで、折りたたまれたらせん形が離れたシングルストランド(single strand)のDNAにも抗体ができることもありますし、からまったダブルストランド(double strand)のDNAが抗原になることもあります。

SLEが1番多いのは、色白の人が紫外線を浴びたときです。なぜ狼(lupus)のような紅斑と呼ばれるかというと、まるで口が広がったように、紫外線が1番当たる所がバタフライ様に紅くなるからです。SLEは白人に多いです。色が黒いとメラニン色素で紫外線をブロックできますが、色が白いと直接紫外線の作用で細胞や核が壊れるのです。そして隔離抗原がリンパ球にさらされます。

SLEは紫外線以外でも、風邪をこじらせると起こります。ウィルスも細胞を壊します。あとはやはり夜更かしが原因です。夜遅くまで起きていることは大変なストレスなので、細胞が壊れます。特に徹夜でアルバイトをすると、細胞が壊れて病気になりやすいのです。』

⑤目の水晶体、ブドウ膜

●『目の組織というのは、普段リンパ球にさらされていません。水晶体には血管が入っていかないからです。ブドウ膜もリンパ球にさらされないような形で抗原を保っています。どういう形で隔離抗原が出てくるかというと、ほとんどが外傷です。ボールがぶつかったりけがをしたりして目が大出血し、組織が損傷を起こすときに抗原がさらされます。やられた目が治っても、片方の目も見えなくなってくるというような炎症を起こすのです。片方の目をやられて両方の目がやられるということで、「交感性眼炎」といいます。』

⑥精子

●『そのほかで普段血流にさらされない場所というのは精子です。精子が壊れて血中に出ると隔離抗原が出ます。1番有名なのはおたふくかぜです。子供のときおたふくかぜにかかると、外分泌腺が腫れるだけで治りますが、大人がかかってこじらせると精巣炎が起こります。すると隔離抗原が精子から出て、無精子症になるのです。それからたまに外傷でも起こります。硬式野球をやっていて球を精巣に当てて何日も腫れ上がるような外傷を受けたとき、隔離抗原が精子から解放されて、残った精子に対して攻撃するので、無精子症になるのです。

このように、普段私たちの免疫系が働けないような自己認識がリンパ球に出合うようなことが起こると、自己免疫疾患になるのです。このときかかわるリンパ球はみな、胸腺外分化T細胞かB-1細胞です。

隔離抗原
隔離抗原

画像出展:「免疫学講義」

⑦modified self

●『隔離された抗原で自己免疫疾患が発症すること以外で、もう1つ覚えておかなければならないものがmodified selfです。いわゆる自分の自己抗原が少し変性して抗原性を獲得するという形です。紫外線によってタンパク変性したり、薬物がキャリアタンパクに付着して変性します。いろいろな風邪薬で一気に自己免疫疾患が発症することがあります。

特にスティーブンス・ジョンソン症候群といって、風邪薬を飲んで全身の粘膜が腫れて失明したり、SLE様の症状を出したり、タンパク尿を出したりするという症状を発症します。

例えば私たちのタンパクでもっとも多いアルブミンの場合です。普段アルブミンはnegative selectionで反応するクローンはなくなっていますが、薬物が付いてmodifyされると修飾自己抗原になるのです。

薬物の中でもっとも多いのは風邪薬・消炎鎮痛剤(アスピリン)ですが、ペニシリンなどの抗生物質もタンパク質を変性させます。これはいろいろな血球の膜に付くこともあるので、血球が抗原になる疾患です。血球はもちろんnegative selectionされているのですが、薬物が付くために、血球が自己抗原になることもあります。

血球の中で修飾自己抗体がもっとも多く付着しやすいのが血小板です。そもそも血小板というのは、血管が出血した所に付着するための物質なので、いろいろなものに吸着する力をもっています。そうして発症する病気が、血小板減少性紫斑病です。血小板に対する自己抗体ができて、どんどん血小板が減っていきます。するとちょっとした打撲でも止血できなくなって腫れ上がり、そのあとが紫色になるのです。これは薬を飲んでもなりますが、長時間労働などでもなります。

私は将棋が好きなのでプロの棋士の名前を知っていますが、今から30年くらい前に山田道美九段は、大山名人に負けても負けても何度も挑戦権を獲得してがんばっていました。山田九段は打倒大山のために睡眠時間を削って将棋の勉強をして、1日何十局も過去の棋譜を調べたりして並べて、血小板減少性紫斑病にかかり34歳で死んでしまいました。ですから、あまり無理をするといけません。

自己免疫疾患は原因不明といわれていますが、このような考え方をすると謎が解けます。原因が分かれば原因を取り除けば治ります。原因不明としているため、対症療法の薬を飲んでもっと身体を痛めつけて、治らないということになっているのです。

それから、顆粒球が抗原になるのは顆粒球減少症です。細菌処理に大切な細胞である顆粒球がどんどん減ってしまいます。赤血球が抗原になる溶血性貧血は、薬物が原因であることが多いです。風邪をひいて風邪薬を飲んで、自己免疫性の溶血性貧血になることもあります。このように血球成分のうち血小板が変性して自己抗原になり、顆粒球の膜成分が変性して自己抗原になります。これらは過労か薬物が原因です。』

modified self
modified self

画像出展:「免疫学講義」

4.自己免疫疾患の分類

●SLEは全身性の自己免疫疾患であり、全身の血管炎である。

●血管内皮細胞はマクロファージが血球に分化して、その分化した血球を流すために自ら管になった。従って、血管内皮細胞はマクロファージと同じように貪食能があり、白血球の炎症とともに血管炎が起こる。

●SLEは核が抗原になるため、対象は全身の細胞になる。線維芽細胞や血管内皮細胞が攻撃されて戦い、炎症を起こす。

●ネフローゼは血管内皮細胞に負担がかかるような生き方をして、血管に隙間ができて、漏れることが原因である。

●関節リウマチ、橋本氏病、、無精子症は臓器特異的自己免疫疾患だが、それぞれ関節、甲状腺、精巣がやられる。

●複合型自己免疫疾患であるGoodpasture syndromeは腎臓と肺の基底膜が障害される。腎臓はエラから進化したため腎臓と肺の細胞はよく似ており、場所は離れているが腎臓と肺で自己免疫疾患になる。

自己免疫疾患の分類
自己免疫疾患の分類

画像出展:「免疫学講義」

5.自己障害のメカニズム

①自己抗体

●自己組織の障害のメカニズム

-B-1細胞が出す自己抗体が攻撃するパターンは、抗DNA抗体・抗ミトコンドリア抗体が直接組織や分子を攻撃して組織を破壊したり、機能をブロックする。

②補体の活性化

●抗原抗体反応ができて、順にFc部分が活性化すると、補体のC1から順に活性化が始まる。

※Fc領域:(fragment crystallizable region:フラグメント結晶化可能領域)は抗体の尾部にあたる領域で、Fc受容体と呼ばれる細胞表面の受容体や補体系のタンパク質と相互作用する。

抗体の基本構造
抗体の基本構造

画像出展:「抗体:ニュートリー(株)

抗体の基本構造は、2本の長いH鎖と2本の短いL鎖からなるY字型の構造である.そのなかで抗原の結合部位となるFabと、免疫細胞などと結合するFcに分けられる。抗体の実体は免疫グロブリンという糖タンパク質であり、Fab部位のアミノ酸配列の違いによって5つのクラス(IgM、IgD、IgG、IgE、IgA)がある。各クラスの抗体は、体内の異なった部位で多様な機能を発揮している。一方でFc部位は免疫細胞に発現するFc受容体と結合する。

③マクロファージの活性化

●白血球の基本はマクロファージである。そして、マクロファージが活性化すると炎症を起こす。まず、炎症性サイトカインで発熱・腫れ・痛みが出てくる。IL-1・IL-6・TNFα・IFNγには、発熱作用・血管拡張作用・痛み作用がある。

●マクロファージが活性化しすぎると自分の血球を飲み込んでしまう(血球貪食症)。

④リンパ球の直接攻撃

●リンパ球(NK、CTL、胸腺外分化T細胞など)は、色々な細胞を直接攻撃して、肉芽腫形成することもある。

⑤免疫複合体(immune complex)

腎臓の糸球体の基底膜に免疫複合体が沈着するのが糸球体腎炎である。また、RA(関節リウマチ)は腫れ、発熱、痛みがあり動かないでいると免疫複合体が沈着して関節が動かなくなる。このように免疫複合体は様々な病気に関与している。

血管内皮細胞の炎症

血管内皮細胞の炎症でも主体になるのはマクロファージである。

自己傷害
自己傷害

画像出展:「免疫学講義」

6.SLE

●SLEは20歳代の女性に多く、最初は風邪のような症状が出る。女性に多い理由の一つに過敏であることがあげられる。過敏かどうかはその人のリンパ球の数で決まる。特に妊娠適齢期の女性は1番リンパ球が多いため過敏になりやすい。

ケースも多く特に注意が必要な刺激が紫外線である。次に多いのがウィルス感染である。これはリンパ球が多いとEBウィルスやパラミクソウィルス、風邪ウィルスなどに感染によって血管炎をおこす。それ以外では夜更かしなどのストレス危険である。以上のように、SLEは過敏な人(リンパ球が多い人)が、紫外線、ウィルス、夜更かしなどのストレスを受けて発症するのである。SLEは全身にある抗原と反応するので、関節が腫れるRAや、唾液が出ないシェーグレン、糸球体腎炎などの自己免疫疾患が全身に出てくることが多いのである。