スペイン風邪と新型コロナ2

著者:速水 融

発行:2006年2月

出版:藤原書店

目次は”スペイン風邪と新型コロナ1”参照ください。

第6章 統計の語るインフルエンザの猖獗

画像出展:「日本を襲ったスペイン・インフルエンザ」

“この恐ろしき死亡率を見よ 流感の恐怖時代襲来す”

全国の状況

-死亡者数の合計

『スペイン・インフルエンザは、大正七(1918)年の「春の先触れ」の後、本格的には、同年10月に始まる「前流行」として、さらに翌大正八(1919)年12月に始まる「後流行」として、二度、日本を襲った。われわれの計算では「前流行」の「インフルエンザ死亡者」は26万647人、「後流行」は18万6673人合計45万3152人で、この数は、従来言われてきたどの死亡者数よりも多い。これは、従来用いられてきた「流行性感冒」の数値から離れ、「日本帝国死因統計」に戻り、「超過死亡[インフルエンザが流行していなかったと想定したときの死亡者数と範囲を統計学的な手法を使って推定し、実際の死亡者数と比較することでインフルエンザによる死亡者数を推定したもの “国立感染症研究所 感染症疫学センター”より]」の考え方に基づいて死亡者数を計算し直した結果である(「流行性感冒」にも超過死亡に近い見方をしている箇所があるが)。』 

-月別の死亡者数

画像出展:「日本を襲ったスペイン・インフルエンザ」

月別インフルエンザ死亡者数(全国)〔1918年―1920年〕

・「前流行」の死亡者数は急速に増大し、大正七(1918)年11月だけで13万人以上を記録し、5月にほぼ終息した。

・このグラフは「前流行」と「後流行」の二つの山があったことを示している。それぞれのピークは大正七(1918)年11月と大正九(1920)年1月で、前者が13万人強、後者が8万弱であった。

-年齢別死亡率

画像出展:「日本を襲ったスペイン・インフルエンザ」

年齢別インフルエンザ死亡者率(全国・男女別)〔1918年―1920年〕

・5歳を過ぎると死亡率は低下するが、15~19歳層から上昇し、男子では30~34歳層、女子では25~29歳層をピークにあとは次第に下降している。このように通常ならば年齢別死亡率の低い層が逆に高いというのが、スペイン・インフルエンザの特徴だった。

地方ごとの状況

-府県別インフルエンザ死亡者数(上)

-府県別インフルエンザ死亡率(下)

画像出展:「日本を襲ったスペイン・インフルエンザ」

府県別インフルエンザ死亡者数(前流行・後流行・合計)

画像出展:「日本を襲ったスペイン・インフルエンザ」

府県別インフルエンザ死亡率(前流行・後流行・合計)

・人的被害は地方差が顕著であったが、この差は、猖獗を極めた時期、都市の存在、軍隊との関係、置かれた自然条件などからもたらされた。

第8章 国内における流行の諸相

神奈川県

-与謝野晶子が感じた「死の恐怖」 

画像出展:「日本を襲ったスペイン・インフルエンザ」

こちらの”死の恐怖”は2度目の投稿。1度目の投稿の題名は”感冒の床から”。

 

『ところで【新報】は、この時期全盛時代で、発行部数15万部、東京発行のどの新聞より県下で広く読まれていた。そして評論家として与謝野晶子からしばしば寄稿を受けていた。流行性感冒に関し、与謝野は二度の論評を掲載している。

第一回は、「前流行」のさなか、大正七(1918)年11月10日で、「感冒の床から」と題し、その伝染性の強さから説き起こし、自分の一人の子どもが小学校で感染したら家族全員に伝染したことを述べ、ついで、日本の対応の遅さに怒りをぶつけている。政府はなぜ早くから、伝染防止のため、「大呉服店、学校、興行物、大工場、大展覧会等、多くの人間の密集する場所の一時的休業を命じなかったのでせうか」。一方では、警視庁の衛生係ではなるべく人ごみに出るなと警告していることを挙げている。このような政府における意志の不統一は多くの国民を危険にさらしているのだ、と気焔(キエン)をあげている。彼女が我慢ならなかったのは、「日本人に共通した目前主義や便宜主義[問題の根本的な部分にはふれないで、何とか済ませてしまおうとする態度]の性癖」であった。あとは折からの大戦終結に向けての意見なのでここでは省略する。

第二回は「後流行」のさなか、大正九(1920)年1月25日で、「死の恐怖」と題し、かなり悲観的、達観的な筆致になっている。死とは何か、から始まり、今回の流行性感冒によって自分が死ぬとしても、最後まで子ども達のために生きたい、それには予防をし、注射を受け、全力を注いで生きるべく努め、「生」への欲を高揚させること、その後なら「人事を尽くした」のだから、運命とあきらめることもできる、としている。「君しにたまふことなかれ」は有名な晶子の詩であるが、ここではそれを自分に向けたかのように感じられる。

終章 総括・対策・教訓

総括

-なぜ忘却されたか?

・『大正中期、日本は、精神的にも、社会的にも、物質的にも大きな曲がり角にあった。海外から入ってくる社会主義思想と、それに対抗する日本の伝統に立つべしとする考え方とかが正面から衝突し、ひとびと、とくにインテリ層は、自分の位相をはっきりさせる必要に迫られていた。「米騒動」に象徴される社会運動は、これに都市の労働運動も加わり、騒々しさを増していった。日本の工業生産額が、農業生産額を上回ったのも、まさにこの時期のことであった。電力生産量が増え、一般家庭に電灯が行きわたり、夜の生活が一変した。夜なべ仕事や読書が従来よりはるかに容易にできるようになった。

日本は、大した犠牲も払わずに第一次世界大戦の戦勝国となり、国際聯(連)盟の理事国にさえなったのである。日本の国際的地位が上がるとともに、日本の大陸侵出が本格的に始まり、内戦中で有効な対抗手段を持たなかった中国へは、要求、借款、資本進出が相ついだ。これに対して、大戦中または大戦直後のヨーロッパ諸国は、自国の再建に忙殺され、ひとりアメリカのみが日本のアジア侵出を警戒し、そのことに対する日本の対応が、結局、その後の太平洋戦争をもたらす素因となるのである。

国内政治では、男子に限られていたとはいえ、制限付きで普通選挙法が治安維持法と抱き合わせのような形で施行され、大学令によって、私立大学も大学の仲間入りをした。識字率の上昇は、大衆に文字文化を伝え、雑誌、書籍の発行点数が非常な勢いで上昇した。

・『関東大震災による死亡者は、最近の調査で約10万人とかなり減ったが、物的被害の大きさはスペイン・インフルエンザの比ではない。この二つの事件を並べると、人的被害と物的被害が対照的であることに気づく。スペイン・インフルエンザによって、日本の景観は少しもかわらなかったが、関東大震災は、東京・横浜を中心に焼野原を作りだした。本書を記すにあたって、スペイン・インフルエンザ流行期の写真を探したが、ほとんど見つからなかったのも、スペイン・インフルエンザが「絵にはならなかった」からであろう。

ともかく関東大震災の一撃によって、スペイン・インフルエンザは記憶の片隅に追いやられてしまった。さらに、昭和期に入ると、日中戦争、太平洋戦争とスペイン・インフルエンザより、もう一桁多い戦死者や一般市民の犠牲者を出す出来事があいつぎ、その思い出は忘却のなかに薄らいでしまった。ようやく、90年近くを経て、いま、再び新型インフルエンザの到来の危険が叫ばれるようになり、スペイン・インフルエンザが人々の話題に登場するようになったのである。』

対策

-人々はインフルエンザにどう対したか?

・『未曽有の大量の死者をもたらしたスペイン・インフルエンザに対し、政府や医学界は何も対策を講じなかったのか。答えはイエスでもあり、ノーでもある。イエスというのは、政府や地方自治体、警察、医学界、病院は、予防ワクチンの注射を勧め、通告を出して、マスクの使用、うがいや手洗いの励行、人ごみをさけることなどを、繰り返し促していた。小学校や中学校では、罹患者が出れば休校となった。こういった注意は、すでに述べてきたように、現在でもわれわれが唯一とり得る対処法であり、呼吸器系の感染症対策の基本である。軍隊が演習を中止したり、鉄道や通信は人手不足で機能を低下させたが、全面ストップにはならなかった。何とかやりくりして、最悪の事態を回避した。何の準備もなかった当時のことを考慮すれば、これには「天晴れ」印を付したいくらいである。スペイン・インフルエンザによる死亡者数が、人口の0.8パーセントでとどまったのも、いく分かはこういった対策が効いたのかもしれない。

しかし、そういった対策は、決して徹底されていたわけではなく、すべてに効果があったわけでもなかった。興業の閉鎖は関東州だけで、他のところではなされなかった。神仏に救いを求めて殺到する満員電車の乗客には、車内での罹患の危険が非常に高かったにもかかわらず、何の規制も加えられなかった。新聞にも、同様の注意が府県、著名な医者の談話として終始掲載され、具体的に、予防ワクチン注射の予定も発表されているが、これはスペイン・インフルエンザ自身に対してなんら効果はなかった。』

新型コロナ感染対策

画像出展:「AFP●BBNews

特集:新型コロナウイルス感染症「COVID-19」”から拝借しました。

 

問題解決の王道は「早期発見、早期対応」です。そして、対策が自分自身で解決できる範囲(ヒト・モノ・カネ)を超える場合は、速やかに上司に相談し、問題解決できる立場(役職)の人を巻き込むことが肝要です。もし、躊躇すれば問題解決のゴールは遠くなります。

これは、私が営業で学んだことです。

政府の感染対策は1年経った今も有事対応には至らず、失敗を恐れて蓋をしてしまったかのようで、根本解決のための積極的な対策は見えてきません。手綱を握りつつ、多くは地方自治体や保健所に丸投げしているようにみえます。うまくいって当たり前、失敗したら厳しい政権批判につながる難しい舵取りのコロナ感染対策からは距離を置き、失敗が少なく英断も不要、多くの国民から評価を得られやすい施策に税金を優先的に投入しているのではないかと勘ぐってしまいます。ちなみに平成30年版厚生労働白書によると、医療関係従事者数は3,206,055人です。一方、日本の有権者数(令和元年の参院選)は、106,587,860人なので、この数字を使って計算すると医療関係従事者は有権者の約3%にすぎないということが分かります。

また、注力している“Go toキャンペーン”にはブレーキがついていないことが発覚し、あらためて危機意識の低さに愕然としてしまいます。アクセルとブレーキを使い分けられない日本政府が、東京オリンピック・パラリンピックを開催することはとても不安です。 

溜まっていた政府への不満と愚痴を書いてしまい申し訳ありません。ただ、アクセル(経済活性化)が非常に重要であることに疑う余地はなく、「本当のところ、どうすべきなのだろう?」という疑問から、まずはうまく対応している国を中心にデータを取ってみてはと思い、調べたところworldometer”という素晴らしいサイトがあることを知りました。そして何はともあれ、情報収集(集計)を始めることにしました。

なお、”worldometer"と共に、ロイターさまの”COVID-19 Gloval tracker”も興味深いサイトです。 

日本(2.891)以外で注目した国は、東アジアが“韓国(1.964)”、“台湾(0.029)”、東南アジアが“フィリピン(8.497)”、“ベトナム(0.036)”、“タイ(0.093)”、“シンガポール(0.494)”、オセアニアが“オーストラリア(3.561)”、“ニュージーランド(0.500)”、欧州が“ドイツ(36.510)”、“スウェーデ(88.386)”、“フィンランド(10.389)”の計11の国です。国名の後ろの( )の数字は、2021年1月5日時点の“人口10万人当たりの累積死亡者数”です。グラフは死亡者数が2桁のスウェーデン、ドイツ、フィンランドを除く9カ国としました。

集計は昨年8月4日からですが、今年の年末まで集計し、約1年半のデータにGDPや失業率などの経済指標を加えて、感染対策と経済対策の関係性について見てみたいと思っています。

参考:「worldometer」

 

今回のブログでは、第2波(第2の山)が大きくなった、日本、フィリピン、オーストラリアの3国に絞り、2021年1月5日までの155日間を対象に人口10万人当たりの、“新規感染者数”・“累積死亡者数”・“累積検査数”をグラフ化しました。以下の表は3カ国ですが、これは12カ国から抜粋したものです。(こんな感じで集計していますということで貼り付けました) 

参考:「worldometer」

 

参考:「worldometer」

”Go to イート”および”Go to トラベル”東京参加は10月1日です。「人が動けばウィルスも動く」だと思います。やはり、ブレーキは必須です。

 

参考:「worldometer」

日本、フィリピンとも明らかに増加傾向です。日本が増え始めた11月5日~1月5日までの2カ月間で両国を比べてみると、日本2.03フィリピン1.25倍となっています。日本は今が最も大事な時期だと思います。

 

 

参考:「worldometer」

このグラフでは日本とフィリピンの差が分かりずらいのですが、2021年1月5日/2020年8月4日の検査数は、日本3,986/672(5.93倍)フィリピン6,230/1,474(4.22倍)と両国も増えていますが、積極的な検査をしているオーストラリアとの差は大きなものです。

日本と検査実態が似ているフィリピンの第2次対策の予算の概要は以下の通りです。こちらは、JETROさまの”フィリピンで新型コロナ対策法第2弾が可決”から拝借しました。

総額1,655億ペソ(約3,641億円、1ペソ=約2.2円)、内訳は予備費(255億ペソ)を除いたものです。

なお、フィリピンの大卒初任給は日本円で約5万円とのことなので、日本の約1/4になります。そのため、投入金額の規模感は4倍の約1兆4500億円程度になります。また、フィリピンのGDPは神奈川県の2824億ドル(”米国個別株とETF【銘柄分析400】”より)を少し上回る規模のようですので、神奈川県が1兆円を超える対策をうったというイメージです。太字は主に医療に関わる予算ですが、合計すると305億ぺソとなり全体の23.3%になります。

日本はこの後、ご紹介するのですが、フィリピンは日本に比べると予算の用途が明確です。日本は、「緊急対応策第2弾」では、“感染拡大防止策と医療提供体制の整備:486億円”、「第1次補正予算の概要」では“新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(仮称)〔1,490億円〕”内訳も付いているものの、具体的にどのような対策をとって問題解決を図ろうとしているのか、予算からは日本政府の根本解決の強い意志は伝わってきません。これは、与謝野晶子先生がスペイン・インフルエンザのパンデミックの時に指摘されていたと同じように、新型コロナ対策も、目前主義・便宜主義な予算化と言わざるを得ません。

●政府系金融機関への資金注入(394億7,000万ペソ)

●農業・漁業従事者向け補助(240億ペソ)

医療従事者の雇用経費および福利厚生費用(135億ペソ)

●失業者などに労働機会を提供して収入を補助する「キャッシュ・フォー・ワーク・プログラム」(130億ペソ)

●公共交通の運転手などへの補助(95億ペソ)

●危機的な状況にある個人向け補助(60億ペソ)

感染者の接触履歴調査員雇用費(50億ペソ)

医療隔離施設の建設や政府系病院の拡張(45億ペソ)

新型コロナウイルス感染者の隔離関連経費(45億ペソ)

●観光産業向け補助(40億ペソ)

●遠隔教育推進費用の補助(40億ペソ)

医療用防護服などの調達費用(30億ペソ)

参考:「フィリピンで新型コロナ対策法第2弾が可決

緑色は”観光産業向け補助”です。”医療従事者の雇用経費および福利厚生費用”の約3割となっています。

 

日本の新型コロナ対策に関しては財務省のサイトにある“令和2年度補正予算(第1号及び第2号)の概要について”が参考になります。

以下に気になる箇所をチェックしながら書き出しました。 

1.緊急対応策第1弾

・政府チャーター機による帰国者の生活支援やワクチン等の研究開発の加速などを盛り込んだ、予備費103億円を含む総額153億円の対応策を2月13日に取りまとめた。(予備費を除く金額は、50億円)

2.緊急対応策第2弾

・新たな助成金など学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応や、雇用調整助成金の特例措置の拡大などを盛り込んだ、予備費2,715億円を含む総額4,308億円の対応策を3月10日に取りまとめた。(予備費を除く金額は、1,293億円)

内訳

1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備(11.28%):486億円―PCR検査強化10億円(0.23%)、治療薬開発加速28億円(0.64%)など

2)学校臨時休業に伴って生じる課題対応(57.14%):2462億円―保護者支援で1750億円、学童クラブ体制強化等470億円など。

3)事業活動継続縮小や雇用への対応(27.66%):1192億円―雇用調整金特例措置の拡大374億円、資金繰り支援782億円。

4)事態の変化に即応した緊急措置など(3.89%):168億円。

特に“PCR検査強化10億円(0.23%)”と“治療薬開発加速28億円(0.64%)”を足しても対策費の1%にも満たないという現実に唖然としてしまいました。

3.第1次補正予算の概要

1)新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関係経費(25兆5,655億円)

(ア)感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発(1兆8,097億円):7.07%

(イ)雇用の維持と事業の継続(19兆4,905億円):76.2%

(ウ)次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復(1兆8,482億円):7.22%

(エ)強靭な経済構造の構築(9,172億円):3.58%

(オ)新型コロナウイルス感染症対策予備費(1兆5,000億円) 

まず、“Go toキャンペーン”ですが、上記の(ウ)に含まれています。予算規模は16,794億円です。“新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関係経費”に占める割合は6.56%になります。

次に、“感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発(1兆8,097億円)”の内訳ですが、以下のようになります。

新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(仮称) 〔1,490億円〕

PCR検査機器整備病床・軽症者等受入れ施設の確保人工呼吸器等の医療設備整備応援医師の派遣への支援等

・ 医療機関等へのマスク等の優先配布 〔953億円〕人工呼吸器・マスク等の生産支援〔117億円〕

・ 幼稚園、小学校、介護施設等におけるマスク配布など感染拡大防止策〔792億円〕、全世帯への布製マスクの配布〔233億円〕(合計:2,095億円)

アビガンの確保〔139億円〕産学官連携による治療薬等の研究開発〔200億円〕国内におけるワクチン開発の支援〔100億円〕国際的なワクチンの研究開発等〔216億円〕

新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(仮称)〔10,000億円〕

新型コロナウイルス感染症への対応として必要な、以下を目的とした事業であれば、原則として使途に制限はありません。Ⅰ.感染拡大の防止 Ⅱ.雇用の維持と事業の継続 Ⅲ.経済活動の回復 Ⅳ.強靭な経済構造の構築"

最も気になる“新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(仮称)”は1,490億円なので、「感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発(1兆8,097億円)」の8.23%です。また、“産学官連携による治療薬等の研究開発”200億円は、1.10%、“国内におけるワクチン開発の支援”100億円は0.55%となり、気になる3つの分野への支援は、1兆8,097億円の約10%でした。“新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(仮称)”に1兆円〔10,000億円〕が予定されていますが、主な用途が「感染拡大の防止・雇用の維持と事業の継続・経済活動の回復・強靭な経済構造の構築」となっているので、予算の約55%を占める“地方創生臨時交付金”のうち、どれ程が医療系に回るのか分かりません。もし、1兆円の多くが経済活動に注がれるならば、「感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発(1兆8,097億円)」は名ばかりの予算になってしまいます。

4.第2次補正予算の概要

1)新型コロナウイルス感染症対策関係経費(31兆8,171億円)

(ア)雇用調整助成金の拡充等(4,519億円):1.42%

(イ)資金繰り対応の強化(11兆6,390億円):36.5%

(ウ)家賃支援給付金の創設(2兆242億円):6.36%

(エ)医療提供体制等の強化(2兆9,892億円):9.39%

新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金として2兆2,370億円(7.03%)

・医療用マスク等の医療機関等への配布のための経費として4,379億円(1.37%)

・ワクチン・治療薬の開発等の経費として2,055億円(0.64%)

・等々

(オ)その他の支援(4兆7,127億円):14.8%

・新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の拡充のための経費2兆円(6.28%)

・低所得のひとり親世帯への追加的な給付のための経費1,365億円(0.42%)

・持続化給付金の対応強化のための経費1兆9,400億円(6.09%)

・等々

(カ)新型コロナウイルス感染症対策予備費(10兆円):31.4%

・新型コロナウイルス感染症の第2、3波の可能性が排除できない中、今後の長期戦を見据え、事態の急変に対して臨機応変に対応するための万全の備えとして、新型コロナウイルス感染症対策予備費に追加的に10兆円を計上している。

第1次補正予算の時に7.07%だった“感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発”は、第2次補正予算では”医療提供体制等の強化”9.39%と増額されていましたが、フィリピンの23.3%の半分以下です。もっともっと増額されても良いと思いますが、大事なことは目標と計画です。

このためには、新型コロナ感染対策を“有事”と位置づけ、高い危機意識と危機管理、目標・役割・責任を全うする”七人の侍”のような精鋭(感染対策、経済対策、都道府県連系等)を首相直下に配置、そして鬼気迫るリーダーシップの元、感染拡大阻止のための”ロードマップ”を作り、”覚悟ある決断力””状況に応じた柔軟な修正力”をもって、”国民の先頭”に立って新型コロナに立ち向かっていくような、肝の据わった推進力が必要です。なお、これは脱目前主義・脱便宜主義と言えると思います。

最後に、新型コロナ感染対策は有事であり、”ヒト・モノ・カネ”をダイナミックに動かす必要があるため、この問題のオーナーは各知事(地方自治体)ではなく、”日本政府”であると考えます。

付記1:2021年1月3日朝刊の新聞記事

こちらは、ちょっとマニアックな「埼玉新聞」です。

”勝負の3週間”が空振りに終わり、大晦日に東京、神奈川、千葉、埼玉で新規感染者数の最多を更新、”緊急事態宣言”が要請されました。

「進むも地獄、進まぬも地獄だ」。自民党関係者は首相の心境をこう推し量った。再発例すれば感染防止の遅れを認めることになる。一方、発令に慎重姿勢を貫けば医療逼迫の政治責任を一身に背負いかねないためだ。

⇒国民不在!!!

付記2:新型コロナに関するニュース

昨年6月より、気になったニュースの見出しをリストアップしています。ご興味あればクリックしてください。”衛生管理”のページの下のほうにあります。