塩と高血圧4

著者:青木久三

出版:1984年4月(昭和59年)

発行:主婦の友社

注)出版が36年前の本なので最新の知見とは合わない部分があるかもしれません。

また、目次は”塩と高血圧1”を参照ください。

 

第三章 血圧はこの方法で下げなさい あなたのやり方では高血圧は治らない

動物性タンパク質を十分とると狭心症や脳卒中も防げる

・血管壁は筋肉細胞と結合織からなり、伸び縮みするのは筋肉細胞であり、筋肉細胞を形作っているのはタンパク質である。

・筋肉細胞は老化し、再生され、世代交代(新陳代謝)をどんどん繰り返している。筋肉細胞の寿命は約1ヵ月なので、若い細胞を作るためには、質のよいタンパク質を十分に摂らなければならない。筋肉を作る材料が不足すれば、老化したボロボロの細胞だけになり、動脈硬化を進行させてしまう。

・血管だけではなく、心臓もまた心筋と呼ばれる筋肉が伸び縮みして、血液を毎日10万回近く体内に送り出しているため、心筋梗塞や狭心症の予防とその修復にも、動物性タンパク質は欠かせない。

・『事実、青白い顔をしていた患者さんたちが、動物性のタンパク質を十分にとるようになってから、皮膚の色つやが見違えるほどよくなり、狭心症や心筋梗塞も改善していくのを、私は毎日のように経験しています。

みんなが敵視する肉は、実は血圧が高い人にも必要な栄養食

血管をしなやかに、かつ強靭に保つための第一条件は、タンパク質を十分に補充することであるが、一番良いタンパク質は人間の体を構成しているタンパクに近い動物性タンパク質である。タンパク質を摂らないと細胞の新生を障害し、体の老化を促進してボケを早め、やがては心臓と血管を崩壊させてしまう。

・人間の体を作るタンパク質は、人間以外のどの生物のタンパク質とも違う「人間タンパク質」である。この人間タンパク質は、食物からとったタンパク質を分解して取り出したアミノ酸と、体内で合成されたアミノ酸から作られる。

・体内で合成できないアミノ酸は、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニールアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリンの8つで、これらは必須アミノ酸と呼ばれ、1つでも欠けると人間タンパク質はできない。[現在はヒスチジンを加え、計9つとなっています]

必須アミノ酸は植物性タンパク質より動物性タンパク質に多く含まれている。なお、食肉としては赤身肉やヒレ肉など、脂肪を含んでいない肉が対象になる。

水を十分に飲むと脳卒中にも心筋梗塞にもなりにくい

体内には、体重の約12分の1(50kgの人なら約4.2l)の量の血液が流れている。血液成分の45%は赤血球を中心とした血球成分で、残りの55%は血清と呼ばれる液体成分だが、血清1dl中には、タンパク質7g、糖質100mg,脂質500mg、微量のミネラルが含まれており、血液はもともと粘っこい液体である。

血圧の粘度を減らす方法は二つある。一つは血清中の余分の脂肪(主として中性脂肪)を減らすこと。脂肪を減らすには標準体重にすることである。もう一つの方法は、水を飲んで血液中に占める水の割合を増すことである。飲料水や食物として胃の中に入った水は、胃や腸で吸収されて血管腔に入いる。水は胃壁や血管壁というフィルターを通して血液中に入るが、それら壁は血液の水分量を正確に調整しているので、血液が水で薄まりすぎるような心配はない。

寝しなに水を飲めば、明け方に多い心臓発作が防げる

・消防庁の統計によると、心臓発作がいちばん多発するのは冬で、次いで夏の順である。冬は寒さによる血圧の上昇、夏は発汗により血液がドロドロになりがちになるというのが原因である。

・発作の時間帯はいずれも明け方である。明け方に発作が集中するのは睡眠中の状態に危険が潜んでいるからである。

睡眠中、心臓は収縮回数と心拍出量を減らし、送り出す血液の量を低下させる。血管も流れている血液が少ないために血管の幅をせばめて休んでいる。一方、血液は夕食により栄養を仕込んでいるがこれを取り込むべき細胞は休息中であり、さらに睡眠中はコップ一杯分の汗をかくため、血液は一日中で最も濃く、ドロドロした状態になっている。

・寝しなに飲む一杯の水は、濃厚な血液を薄め、さらに血液量を増やして睡眠中の血液の流れをスムーズにしてくれる。さらに、就寝前に10分程度の軽い運動を行えば発作の防止に効果的である。これは運動によって血管が広がり血液が流れやすくなり、新陳代謝により血液から栄養素が細胞に取り込まれるため血液が流れやすくなるからである。

十時と三時のお茶は、高血圧の人に欠かせない大切な健康法

・寝しなの水が、明け方の発作を防ぐが、それと同様に起床後の一杯の水も重要である。夜の間に発汗や尿の生成で血漿中の水分は減少するためである。飲水で血液が増えると血管が広がるため血液の流れがスムーズになる。

・体内に入った水は、尿や汗となって体外に出ていくため、早ければ2時間、遅くても3時間で体外に排泄される。7時に飲んだとすると、10時と昼食後の3時に水分の補給を行うことが大切である。

高齢者は老化現象によって、誰もがある程度の動脈硬化が起きている。そこを流れる血液も若い人に比べ、赤血球や白血球などの固形成分の占める割合が高くなっている。さらに尿素や尿酸など栄養素を使ったあとの残りカスの排泄も悪くなるため、どうしても血液が濃くなってしまう。

・飲水はイライラした神経を沈める。また、胃液を薄めるため胃を守る働きも持っている。

起き抜けのラジオ体操を実行すれば、一日じゅう血圧を低く保てる

画像出展:「減塩なしで血圧は下がる」

・「目が覚める」、つまり脳神経細胞が活動を始めると、私たちは体全体が眠りから覚めたような気になる。しかし、各自器官には少しずつ眠りから覚める時間のズレがあり、これが心筋梗塞や脳卒中の引き金になっている。

・心臓発作が最も起こりやすい時間帯は明け方だが、これに次いで多いのが朝、家を出て駅の階段を駆け上がったときやラッシュアワーの混雑の中で心臓発作を起こすことが多い。この原因は、血管と心臓の目覚める時間の違いからきている。起床後、心臓は即座に活発な活動しはじめるが、血管は目覚めが遅いため心臓から押し出されてくる血液量に適応して血管を広げることができない。その結果、血圧が上昇して血管の破裂や心臓の酸欠状態が起こるのである。

・若い頃は血管も弾力に富み、体の順応力も旺盛なので目覚めの違いもそれほど大きなものではないが、40歳を越えると体内の反射神経が鈍くなるため、目覚めのズレが大きくなり発作のリスクが高まる。

・起床後の10分程のラジオ体操は心臓の動きをなめらかにし、かつ血管を目覚めさせ、体全体の発進準備をとなる。

血圧が高めの人は、昼休みに碁や将棋をしてはいけない

・ゆっくり落ち着いて食べれば正常圧を保てる人でも、慌しい食事は簡単に血圧を20ミリから30ミリ上げ、高血圧にしてしまう。

・食後の休みもとらないでジョギングなどの運動を行えば、食べたものの消化吸収のために胃に送る血液が増加することに加え、運動を行うために手足に大量の血液を供給する必要があり、心臓は猛烈な勢いで酷使されることになる。

・囲碁や将棋、あるいはゲームなど勝負にこだわってくると、その気分は高揚し交感神経を刺激して、血圧を上げる物質(ノルアドレナリン)を分泌させる。その結果、収縮期血圧が150ミリの人なら、勝負どころで200ミリ、また拡張期血圧が100ミリなら130ミリまで上昇する。

・血圧がより高い場合、血圧の上がり方はより大きくなり、脳出血や狭心症を起こすリスクは高まる。横になったり、のんびり散歩することは血圧を下げるには良い方法だが、大きなあくびをしたりため息をつくだけでも血圧対策にはなる。

体重を5キロ減らすだけで高血圧が治ることがある

・『自らの体験から話しますと、私は体重を7kg減らしたおかげで、上昇傾向にあった血圧を正常値にまで下げることができました。以後その体重を維持しているため、一度も血圧は上がったことがありません。体重を減らすことは、私に限らず太った人すべてに共通する強力な血圧降下策です。

・40歳を過ぎた人の心臓と血管は中古のエンジンとゴムホースのようなものである。このような車を長く乗り続けるためには、積荷を減らすのが良い方法である。積荷とは自分の体重のことだが、この荷物は重い上に大量のガソリン、すなわち血液が必要になる。一方、脂肪濃度が高くなった血液はドロドロになり血圧を上昇させる。

高血圧の人でも眠っている間の血圧は低いことを知ってほしい

・問題ないとされている「正常血圧」とはどのような血圧値なのか。病院で計測する血圧は判断する血圧としては不適当である。

・脳卒中や心臓発作などの病変とよく比例する血圧は、基礎血圧といわれるものである

基礎血圧は早朝目覚めた直後に蒲団の中で測定される血圧のことである。あるいは、やや空腹時に暗く静かで快適な室温の部屋の中で、約1時間横になった後に測定した血圧はこの基礎血圧に近い値を示す。

・正常血圧の人より高血圧の人の方が睡眠中に血圧が大きく下がる。これは高血圧の人にとって睡眠と休養が血圧を下げる最も効果の高い治療法ということを意味している。

【メモ】慢性腎臓病では、なぜタンパク制限が必要なのか ?

タンパク質が中高年の健康維持にとても重要なのは良く理解できたのですが、例えば、慢性腎臓病の場合はタンパク制限が求められます。その意味では、高血圧の予防に腎臓はとても重要な臓器といえます。

なお、慢性腎臓病においてタンパク制限が必要な理由は以下の通りでした。

これは”東京女子医科大学病院 腎臓内科”さまのホームページに書かれていたものです。

食事蛋白は老廃物の一種である窒素代謝物を作ります。正常の腎機能であれば、それを処理するのに十分な糸球体があります。しかし腎機能が低下していると、残った糸球体1つ1つがその能力を超えて処理をしようとします(糸球体過剰濾過)。この状態糸球体過剰濾過]は長くは続かず、徐々にそれぞれの糸球体の濾過機能も落ちてきてしまうと考えられています。その負担を軽減するために行われるのが食事蛋白の摂取制限です。