ガンとホリスティック医学4

著者:帯津良一

出版:角川書店

発行:2009年3月

目次は“ガンとホリスティック医学1”を参照ください。

 

【ガン治療の症例】

再発した骨肉腫を食事療法と瞑想、抗ガン剤で克服

●『西洋医学が臓器を対象とし、代替療法が場に働きかける治療法であることはわかったから、もっと具体的にどんな治療を受ければいいのか教えてほしいという声が聞こえてきそうです。第一章でもお話ししたように、ガンというのはミステリアスな存在で、治療法のマニュアルを作ることができません。Aさんにはとても効果的だった治療法が、Bさんにはまったく効果がないという例はいくらでもあることです。

それを踏まえて、どのような例を挙げれば読者の皆さんがもっとも理解がしやすいか、参考になるか、記憶をたどってみると、ひとりのオーストラリア人に行き当たりました。1998(平成10)年11月、日本ホリスティック医学シンポジウムの翌日、私の病院でも講演をしてくださいました。

彼は、現役の獣医さんです。主に競走馬を診ているようです。もともとは陸上競技の選手でしたから、きっと競走馬の気持ちもわかるのではないでしょうか。

彼の右大腿骨に骨肉腫が発見されたのは、74(昭和49)年の暮れでした。すぐに右下肢の切断手術を受けました。足をなくすというのは、誰でも大変なショックです。とはいっても、命にかかわることですから、彼も悩み抜いた末に手術を受ける決断をしただろうと思います。しかし、10ヵ月後にガンが再発しました。骨盤と肺、胸壁への再発でした。このとき、彼はオーソドックスな治療法と決別し、自然療法を選択したのです。

なぜ、自然療法だったのか、とても興味のあるところです。彼は、再発という窮地に追い込まれたときに、自分が治療してきた馬たちのことを思い出しました。もちろん、馬が病気になったとき、薬を使ったり、手術をしたりするというのは重要な選択ですが、その前に大自然の中で癒すことを考えるのだそうです。飼料を吟味し、運動と休息に配慮し、なでたりさすったり、やさしく声をかけたりします。そうすることで、馬たちは驚くほど元気になっていきました。彼は、自分にも、それが通用すると感じたのです。

まず、食事療法と瞑想から始めました。動物性のものよりも植物性のものをとるようにし、精製しないものを食べるなど、さまざまな情報を集めて自分なりの方法を作り上げました。瞑想は徹底的にやったようです。何しろ1日に7時間も瞑想したというのですから半端ではありません。

ところが、そんな努力の甲斐もなく、再発して5ヵ月後には、医師が「あと二週間くらいの命だろう」と言うほど悪化してしまったのです。普通なら、ここで精神的にも折れてしまいます。こんなに頑張ったのにという空しさに押しつぶされ、ガタガタと体調を崩してしまいます。しかし、彼はあきらめませんでした。まだ、可能性はあるはずだと、次の手を懸命に求めたのです。「あと二週間」と宣告した主治医も、決してあきらめませんでした。「もう一度、抗ガン剤をやってみないか」と、医師はイアンさんにすすめました。宣告して放り投げるのではなくて、最後まであきらめない態度が、この主治医にはありました。

自然療法をやりたいというイアンさんの気持ちを優先し、こうやってとことんイアンさんに付き合おうとするなど、イアンさんは素晴らしい主治医に恵まれたと思います。イアンさんは主治医の提案を受け入れました。抗ガン剤治療を受けることにしたのです。これが功を奏しました。症状はみるみる回復し、体調も良くなっていったのです。

西洋医学の全否定は誤り

●『代替療法を信望する人は、西洋医学を否定しがちです。世の中には代替療法でガンが治ったという人がたくさんいます。そういう人たちは、「西洋医学は駄目だ」「抗ガン剤はやめろ」という言い方をします。しかし、ガンになってからの彼らの経過をよく聞くと、最初のうちは、手術を受けたり、抗ガン剤や放射線の治療を受けたりしているのです。副作用が強くて病院を逃げ出したというエピソードはどの方にも共通することですが、手術や抗ガン剤、放射線が本当にマイナスだったのかは、誰にもわかりません。最初に西洋医学の治療を受けたからこそ、のちの代替療法がより効果的に作用したのかもしれません。

西洋医学は駄目だと断定してしまうと、イアンさんは宣告された二週間後には亡くなっていたでしょう。西洋医学も選択肢に入っていたからこそ、それからのドラマがあったのです。

イアンさんの話に戻りましょう。抗ガン剤治療は二年間続けるプログラムが組まれました。しかし、イアンさんは、どうもこの治療は違うと感じ、二ヵ月半で中止します。主治医ともじっくりと相談したうえでの決断でした抗ガン剤には感謝しつつ、彼は冷静になって、緊急避難としての抗ガン剤は有効だけど、長く続けるものではないという結論を出したのです。

そして、彼は再び、食事療法と瞑想を始めました。しかし、前回の反省を踏まえて、今度はあまりストイックな取り組みはやめて、リラックスしてやることにしました。前回は七時間も瞑想しましたが、今回は一時間を三回と、半分以下の時間に抑えました。食事も、これでなければいけないというのではなくて、会食では一般のものを食べるゆとりをもつようにしました。これが正解だったのでしょう。再発巣の進行は停止したかのような状態が続きました。しかし、依然としてガンはあるわけですから、気をゆるめるわけにはいきません。とにかく、よいと思われることは積極的に取り入れました。』

フィリピンの心霊手術とインドのサイババ

●『この頃、イアンさんが取り組んだことで、振り返ってみてよかったと思われることが二つありました。ひとつが、フィリピンの心霊手術で、もうひとつがインドのサイババです。

両方とも、そんなのインチキだと顔をしかめる人もいるかもしれません。果たして、素手を体内に突っ込んで病巣を取り出すことができるのか。傷跡もまったく残らないのはどういうことなのか。わからないことだらけです。確か、日本のマスコミは二十年以上前に、マジックであるという結論を出したはずです。しかし、今でも心霊治療を信じて、フィリピンまで行く人はたくさんいます。

サイババは有名なインドの聖者です。何もないところからダイヤモンドなどを出すなどたくさんの奇跡を見せてくれるということで話題になりました。世界中に信者がいるようですが、批判的に見ている人もたくさんいるようです。

私は、心霊手術を実際に見たことはありませんし、サイババにも会ったことはありません。ですから、本物なのかどうかは判断できませんが、イアンさんは、心霊手術を受け、サイババに会うことによって、彼の中でさまざまな“気づき”が起こったようです。自分ではコントロールできない大きな力があること、自分が生かされている存在であることを、心で感じ取ったのだろうと思います。

そういう流れがあって、彼の再発巣は消失しました。78(昭和53)年6月、彼は完治を宣言しました。再発してから二年八ヵ月目、あと二週間の命と言われてから二年三ヵ月目のことでした。

彼は、その後、ガン患者をサポートする組織を作り、たくさんのガンの患者さんの支えとなってきました。そんななかで、学識では考えられないような回復を見せた患者さんの多くに共通するものに、①瞑想、②食事の改善、③霊的な目覚めがあったといっています。

本当に感動的な体験ですが、イアンさんの物語は、ガンとどうかかわっていけばいいのか、とても重要なヒントがたくさん含まれています。西洋医学だ、代替療法だ、あるいは○○療法がいちばんだと、覇を競っても仕方ありません。必要なときに必要な治療を選択する。そのセンスが彼にあったのだと思います。

治療法に迷った方は、イアンさんの物語を何度も読み返してみてください。ガンを体験した方なら、彼の苦悩や喜びが、よくおわかりになると思います。私には書ききれなかった部分を、自分の体感と照らし合わせながら読み取ってください。そうすることで、何か重大なヒントが、直観として降りてくるかもしれません。』

画像出展:「Amazon

帯津先生がご紹介されている”イアンさんの物語”とはこの本で間違いないと思います。(帯津先生が監修されています) 

信頼できる外科医とは

●『イアンさんの物語には、西洋医学や代替療法の長所、短所について示唆するものがたくさん含まれています。イアンさんは、まずは手術を受けています。右足を切断するという大変な決断を要する手術です。十ヵ月後に再発することになるわけですから、何のための手術だったのかと悔しい気持ちになったことだと思いますが、それは結果論にすぎません。生命の危機から脱出するため、即効性、確実性のある手術を選択したのは間違ってなかったと、私は思います。ガン治療において、手術は第一の選択肢になっていますが、万能ではありません。外科医の時代に、いい手術ができたのに再発して病院に戻って来られる患者さんをたくさん見てきました。外科医としてこんなに悔しいことはありませんでした。

外科医の多くは再発には比較的冷淡で、再発は自分の責任ではないという顔をしています。目の前の手術に全力を尽くすのが外科医の役割という言い分もわかりますが、再発は関係ないという態度は考えものです。再発も含めて、患者さんを丸ごと面倒見るだけの気迫で手術にのぞむべきでしょう。そんな気迫のある執刀医でしたら、すべてをゆだねてもいいと思います。』

抗ガン剤の効果

●『抗ガン剤については、一般的には白血病、悪性リンパ腫、乳ガン、卵巣ガンなどにはよく効くとされています。胃ガンや大腸ガンなどの場合は、抗ガン剤の効果はあまり期待できません。しかし、全く効かないということではないので、そのときの状況によって取捨選択していくべきだと思います。

抗ガン剤については偏見が多く、患者さんは大いに迷ってしまいます。代替療法の立場にいる人は、抗ガン剤を不倶戴天の敵のように罵ります。逆に、抗ガン剤を患者さんが拒否すると、「抗ガン剤をやらないならここで治療する意味はありませんから、他の病院へ行ってください」と平気で言う医師もいます。

病院へ行けば「抗ガン剤をやりましょう」と言われ、代替療法の治療家を訪ねると、「抗ガン剤などやるな」と言われる。どうしていいかわからないと、私の病院へお越しになる患者さんもいます。どちらもどちらです。抗ガン剤の長所、短所をしっかりとわきまえて、用いるべきは用い、捨てるべきは捨てるということをすれば、有益な武器になるのにと思えてなりません。ただ、何も治療手段がないので、とりあえず抗ガン剤をやりましょうというのでは困ります。何らかの勝算があってこその治療です。当たったら儲けものという気持ちでギャンブルをやっても、ほとんど外れてしまいます。当たる確率が一定以上あるという勝算があってこその抗ガン剤治療であるべきです。

イアンさんは、二年間やるべき抗ガン剤を二ヵ月半でやめています。理由は、自分にとって本来の治療法ではないというあいまいなものでした。これは、とても重要な直観でした。私の患者さんにも、イアンさんと同じようなことを言う人がいます。抗ガン剤治療をしていると元気が出ないとか、惨めな気持ちになってくると訴えてくるのです。そういう気持ちになったら、止めたほうがいいと思います。いくらガンとはいえ、人は伸び伸びと生きることが先決です。これをしなければいけないと、萎縮した気持ちで生きていくのは辛いものです。

我慢して抗ガン剤治療を受けても、それで良くなる保証はありません。自分の感覚を大切にして、やるべきときはやり、止めるべきときは止めるというのが、もっとも正しい選択です。

代替療法にはとても難しいことが山積ですが、イアンさんは見事にそれを乗り越えています。一度目もそうですし、二度目はもっと顕著だったと思いますが、西洋医学的治療の選択肢がありながら、代替療法に賭けることをイアンさんは決断します。

一度目のとき、手術が無事にすんだあとで医師は抗ガン剤や放射線の治療をすすめたはずです。しかし、それを受けずに、食事療法と瞑想で対処しようとしました。普通なら大変な迷いが生じるはずです。抗ガン剤や放射線治療の効果には、ある程度の客観性や再現性があります。しかし、食事療法や瞑想には科学的な裏づけはほとんどありません。そこに賭けられるかどうかです。

抗ガン剤や放射線に科学的根拠があるとはいっても、それが治ることにはつながりません。しかし、人は「科学的」という言葉にとても弱いのです。西洋医学の治療を捨てて自然療法でという気持ちになれないものです。本人が「やる」と決めても、家族が反対します。家族ばかりでなく親戚中が反対して、自然療法を断念する人も少なくありません。

さらに二度目は、自然療法でうまくいかず、抗ガン剤で命拾いをしたという経緯があったにもかかわらず、「抗ガン剤をやめて食事療法と瞑想をやる」という決断です。ここにイアンさんの強い意志を感じます。抗ガン剤でこれだけの効果が出たのだから、そのまま続けようと、誰もが思うのではないでしょうか。まして自然療法では、うまくいかなかった前科もあるのです。

さらに、私がすごいと思うのは家族の方です。ガンを患って不安になるのは患者さんばかりではありません。家族の方は、患者さんと同じくらい、あるいはそれ以上に不安と心配で胸がいっぱいのはずです。本人の意思を尊重したいと頭で思っていても、抗ガン剤でここまで良くなったのにどうしてと思わないはずはありません。

主治医もすごい。自分ですすめた抗ガン剤で劇的に回復したわけです。にもかかわらず、抗ガン剤を途中で止めて自然療法にすると言われて、気持ちがいいはずがありません。「もう勝手にしろ!」とさじを投げても不思議ではない状況です。

私は、イアンさんと家族、主治医の間に、半端ではない信頼関係ができていたのだと、うらやましく感じます。最高の“場”の中に身を置きながら、闘病をすることができたのです。それが、奇跡ともいえる好結果を生んだのだと思います。

代替療法を受けるコツ

●『イアンさんは、一度目の自然療法ではうまくいかなかったけれども、二度目は大成功でした。その理由を探っていきましょう。

最初は、どうしても自然療法で治してやるという力みがあったのだと思います。ですから、厳格な食事療法を実行し、瞑想も一日に七時間もやったのでしょう。これでは、逆にストレスになってしまいます。食事療法や瞑想で得たプラス部分よりも、絶対に挫折してはいけないというプレッシャー、ストレスが生むマイナスのほうが大きくなってしまいます。

私の病院にも、さまざまな自然療法に取り組んでいる人がいます。厳格な玄米菜食をしている患者さんがいました。玄米菜食にもいろいろあります。特に、ガンを治療するための玄米菜食は、とても厳しいものになります。肉は一切れも口にしてはいけません。味噌汁のだし汁に煮干しを使うことも禁じています。玄米は一口食べるのに二百回嚙みます。いいことはわかりますが、ここまで徹底した食事療法では、なかなか続けることはできません。

毎朝、回診をしながら表情を観察します。この患者さんの表情は、すっかり暗くなっていました。もう、玄米を見るだけで吐き気がするような状態になっていたのです。命には代えられないと、我慢に我慢を重ねてきたのでしょう。玄米が体にいいことは間違いないと思います。しかし、こうなると逆効果です。

私は、患者さんに言いました。「今度の日曜日、川越に行ってうなぎかステーキでも食べてきたら」彼は、本当に嬉しそうな顔をしました。

日曜日、いそいそと出かけて行きました。何を食べたかは聞きませんでしたが、晴れやかな顔で病院に帰ってきました。厳しい玄米菜食では、うなぎやステーキは食べてはいけない最上位ランクにあります。しかし、一食だけうなぎやステーキにしたからといって駄目になってしまうような体では困るわけです。いくら体にいいものでも、見るだけで吐き気をもよおすようなものを食べているよりは、体に悪いものでも喜んで食べられるもののほうがはるかにいいと、私は思います。

その患者さんは、気分転換ができたのでしょう。翌日からまた、玄米菜食に一生懸命に取り組み始めました。とことんやれる人はいいと思います。でも、ちょっと無理があるなと思ったら、少しは息抜きをした方が長続きします。イアンさんも、息抜きを入れることで、食事療法や瞑想をより効果的なものにすることができました。

太極拳でも、なかなか上達しなくても、楽しみながら、気楽に長くやっている人のほうがいい結果が出るように感じます。真剣にやるときはやり、ときには息抜きもする。代替療法とは、そんなかかわり方がいいのではないでしょうか。』

霊的な目覚め

●『イアンさんの治癒の扉を最後に開けたのは、心霊治療とサイババでした。まわりの人も驚いたでしょう。どうしてそんないかがわしいものに手を出すのかと、眉をひそめる人もいたはずです。

フィリピンの心霊治療は、患者さんの腹部に手を当てて、何かを祈りながら撫でているうちに、おなかの中から汚い血液のかたまりのようなものを取り出して病気を治すというものです。外科医である私には、メスなしにどうして腹腔内から何かを取り出せるのか、とても信じがたいことです。マスコミも大騒ぎをして、それをマジックだと断定しました。

私の患者さんの中にも、この治療を受けた方がいます。マジックかもしれないという疑いをもちつつ、フィリピンまで行き心霊治療を受けたのですが、帰ってきたときには体調が良くなっていました。心霊手術だけに頼って、他の治療を受けないというのは困りますが、たくさんある戦術のひとつとして受けるなら、それはその人にとっての癒しとなります。

サイババも同じです。さまざまな奇跡を起こしていると聞いていますが、それを盲信するのではなく、ひとつの可能性として聖者に会ってくることに、私は反対しません。イアンさんの場合、心霊治療を体験し、サイババに会いに行くことで霊的な目覚めがあったといっています。私は、心霊手術でもサイババでも、手段は何でもいいですから、イアンさんの言う霊的な目覚めが起こることはとても重要だと思います。

ガンを患って奇跡的に回復した人が、「ガンになってよかった」「ガンに感謝している」とよく言います。こうした気持ちの変化も、大きな霊的目覚めだと思います。世の中で起こっていることに偶然はないといいます。ガンになったのも偶然ではありません。なるべくしてなっているのです。なる意味があると思います。その意味を見いだせたとき、そして、その意味をかみしめることで人生が大きく変化し、充実した毎日を送れるようになったとき、人はガンに感謝できるようになります。多分、そういう心境になったときに、自然治癒力は爆発的に高まるのではないでしょうか

ガンというのは、ミステリアスなものです。それを理屈がわかっていることだけでなんとかしようと思っても無理があります。不思議なこと、非科学的なことも使い方次第です。霊的な部分は、WHO(世界保健機関)でも健康の定義として取り入れようとしているほどで、これからの重要なテーマになってくると思います。』

クリック頂くと、日本WHO協会のサイトに移動します。

”霊的”に関しては「健康の定義」の箇所に以下のような説明があります(一部です)。

『1998年の第101回WHO執行理事会において、「spiritual(霊的)とdynamic(動的)」を加えた新しい健康の定義が検討されました。賛否両論があったのですが、第52回世界保健総会(WHO総会)の議案とすることが決定されました。そして、WHO総会で審議した結果、採択が見送られました。』 

気になったので、さらに調べてみると、「WHOの健康定義制定過程と健康概念の変遷について」という資料(PDF6枚)を見つけました。この3ページめの”Ⅲ 戦後の物質文明に対する反動から生じた健康定義改正議論”の中に経緯や判断などが書かれています。なお、この資料は「第51巻 日本公衛誌 第10号 平成16年10月15日」が発行元となっています。

なお、否決された改正案は次の通りです。"Health is dynamic state of complete physical,mental,spiritual and social well-being and not merely the absence of disease of infirmity"

付記1:日本ホリスティック医学協会

今回、会員となった私に日本ホリスティック医学協会から冊子等が送付されてきたのですが、その中に新鮮な発見がありましたので、ブログにアップさせて頂きます。

その冊子は“HOLISTIC MAGAZINE 2017 30周年記念号”です。彦根市立病院緩和ケア科部長で、日本ホリスティック医学協会副会長でもある、黒丸尊治先生が寄稿された「私のホリスティック医学観 その出会いと変遷」の中にありました。それは「心の治癒力」です。

『代替療法に対する患者さんの期待感や希望といった心の状態こそが、代替療法の直接的効果よりも自然治癒力に大きな影響を及ぼす。』というお考えです。

私の臨床における全体性の視点

『とにかくホリスティック医学をたくさんの人に知ってもらいたい、それを実践する医者が一人でも多く出てきて欲しい、そんな思いを持ちながら今日までやってきました。ただ私のホリスティック医学に対する理解は、当初から比べるとずいぶんと変わってきたように思います。最初の頃は全体的な視点を持ちながら代替療法で自然治癒力を高めるといった程度の理解でしたが、心療内科としての人とのつながりやコミュニケーションの重要性を実感するようになってからは、主に心の視点からホリスティック医学を見るようになりました。

例えば「自然治癒力」という言葉ですが、これは免疫系や自律神経系、内分泌系といった体の持っている治癒力や回復力のことを表現しており、あくまでも身体性に重きがおかれた言葉です。しかし実際には安心感や喜び、ときめきといった心の状態も自然治癒力に大きな影響を及ぼし、それが病気や症状の改善につながるという側面も持っています。つまり体と同様、心にも治癒力が存在しているということです。このポジティブな心の状態が持つ力を私は「心の治癒力」と呼ぶようにしました。

それまでは代替療法が自然治癒力を高めるという考え方でしたが、今は直接的な効果よりも、代替療法に対する患者さんの期待感や希望といった心の状態の方がはるかに大きいと考えています。ただし患者さんの心の状態に影響を及ぼすものは、期待感や希望だけではありません。治療者の雰囲気や態度、説明の仕方など治療者要因や、治療者に対する安心感や信頼感といった治療関係要因も深く関係しており、これらも自然治癒力に大きな影響を及ぼします。さらに付け加えるならば、帯津先生がよく言う「場のエネルギー」も深く関与しています。今いる自分の環境や周囲とのつながりにより、患者さんの「心の治癒力」は大きく左右されるからです。

そう考えるようになってからは、代替療法そのものも大切ですが、それに勝とも劣らず、それを行う治療者やセラピストの態度やコミュニケーションの良し悪し、患者さんを取り囲む環境といったものも健康や病気、治療や癒しを考える上ではとても重要であると思うようになりました。これが私の臨床における全体性の視点であり、以前のような患者さんの全体を診るといった、狭い意味での全体性の視点とは大きく変わってきました。医療においては、このような要因がすべて関わっており、その中核をなすものが患者とのコミュニケーションです。今後は、医療現場での多大な影響を与えるコミュニケーションの重要性についてもっと理解を深め、来るべき大ホリスティック時代に向かって、さらに邁進していきたいと思っています。』

付記2サティア・サイババ

“サイババ”と聞いて「懐かしい~」と思う反面、「胡散臭いなぁ」という印象が根強くあります。しかし、イアンさんの体験を知ってその見方は間違っているのかもしれないと思うようになりました。少なくともサイババとはどのようなヒトなのか、その真実を知りたいところです。

そこで、まずはネット検索してみました。以下はその時見つけたサイトです。 

サティヤ・サイババの社会貢献・偉業:『2000年以降、サティヤは無料の学校や病院を建てたり、水道設備を整えるなど積極的に社会奉仕活動を行いました。』 また、サイババの葬儀は国葬として執り行われたそうです。

画像出展:「文藝・学術出版 鳥影社

ウィキペディアには次のようなことも書かれていました。

サイ・ババの逝去に際し、インド首相(当時)マンモハン・シンが以下のとおり声明を発表している。

『「サティヤ・サイ・ババ氏ご逝去の知らせを聞き、深い心からの悲しみにある。サティヤ・サイ・ババ氏は霊的指導者として、人類を、それぞれの信じる宗教を守ったまま、正しく、また意義のある生き方へと導いてきた。氏の教えは真実、正しい行い、平和、愛、非暴力という、普遍の理念に基づくものだった。

サティヤ・サイ・ババ氏は50数年の間、人間の最高の価値(ヒューマン・バリューズ)を説いてきた。また(サイ・ババ氏が生まれ、また生涯を過ごしたプタパルティの)プラシャンティ・ニラヤムを本拠に、世界中に散らばる幾多の機関を通じ、平和主義的価値観、教育、そして公衆衛生を振興することで、人々の崇拝を受けてきた。

氏が信じてきたこと、それは、生活の維持のための基本的要件を誰もが享受できる社会を確保することは、人としての義務であるということだった。信奉する人々にとって、サイ・ババ氏は光となった。

サティヤ・サイ・ババ氏の逝去は、何にも代え難い喪失を意味し、インド国民全員が深い嘆きに包まれている。全ての信者、門弟、支持者に、心からのお悔やみを申し上げる。」』

こちらの本は、先にお伝えした鳥影社さまのサイトに紹介されていた“理性の衝撃”という本です。大変迷ったのですが思い切って購入しました。

著者:ビジェイ弘詩

出版:鳥影社

発行:2015年3月

今まで宗教に興味を持ったことがない私にとって、この本の内容の多くは受け入れ難いものでした。その中で「この指摘は鋭い!」というものがありました。サイババの奇跡とは何か”、これがそのタイトルです。 

なお、念のためですが、これはサイババ自身の言葉ではなく、著者であるヒジェイ弘詩氏のお話です。 

ヤハウェであり、天之御中主神であり、アッラーでもあるサイババは、インチキと言われている物質化現象でも有名ですが、ここではサイババの奇跡の本質を述べます。

サイババの心は太陽のごとく、どこまでも清く正しく美しい。しかしサイババの奇跡は、サイババの奇跡の本がウソであると思えるほど少ないのです。確かに病気でも仕事面でも事故の面でも奇跡はあるのですが、仮に病気を例に取ると、サイババに奇跡を求める信者の百人に一人も奇跡は起きていないのです。

実は、サイババ信者が大変に困っているのは、本当はこのことなのです。

人間は過去においても現在においても、「救世主が出現した。神が出現した」というニュースを聞くと、もう世界中からたくさんの人間がウァーッと集まります。しかし、サイババを見てブスが美人になったり、抜けた歯が生えたり、顔などのシミやシワが消えたり、三億円の宝くじが当たるとか、出世や事業が群を抜いて良くなるとか、その他にいろんな良いことが起こったという話を私は聞いたことがありません。

また、ガンなどの難病も、私の目には、サイババはほとんど治すことを考えないように見えます。確かに、サイババの本を読むと難病の人が治った話がたくさんありますが、現実は需要の半分も奇跡は起きていません。私は思うのですが、この現実が、サイババへの不信感を抱かせる最大のものだと考えます。

サイババが創造主であり救世主であるとするならば、何故に、イエス・キリストも驚くほどの奇跡を起こさないのでしょうか。

遺伝病や原爆症などを除くと、病気の大半の原因はストレスにあるのではないでしょうか。病は気からと言うように、数多くの慢性疾患は不摂生とストレスが原因と思います。自分より他人の肉体が良く見えたり、自分のものよりも他人のものが良く見えたり、自分の命よりも仕事の方が上に見えたり、自分のエゴや会社のエゴや社会や国家のエゴによって人間関係や社会の秩序が壊れるとき、個人ばかりでなく、社会も病魔に侵されてしまうのです。

では、もしも慢性疾患にかかったときにはどうすれば良いのでしょうか。人間の病気を治す唯一の道は、この苦難とトラブルの多い人生では、何よりも、自分の肉体と精神に価値を置くことです。つまり仕事より肉体が大切である。仕事より精神が大切である。人間の肉体価値は百億円以上である。大企業の社長になることよりも、東大に合格することよりも、天下の美女を愛人にすることよりも、自分が美人やハンサムに生まれることよりも、もっともっと大切なことは、自分の肉体や精神を非常に大切にすることです。自分の胃や、肺、肝臓、脳や心臓などの内臓を、世界一大切にする決意を持つことです。どんなにボロボロな肉体であっても、どんなにズタズタな精神であっても、本人にとっては唯一のかけがえのないものです。全力で大切にする決意を持つべきです。肉体は神であると思い、大切に労わりましょう。自分の精神を大切にして労り、ストレスから解放してあげましょう。そして、自分の魂を燃やして悪因縁を断ち切るために、ガヤトリー・マントラ[ヒンドゥー教における最高峰のマントラ。マントラは宗教的には讃歌、祭詞、呪文などのこと]を唱えましょう。そして、漢方薬や栄養のあるものを飲みながら、医者の治療を受けましょう。

以上のことで理解いただけると思いますが、人間は自分の意志力で、頭の中に充満しているストレスを追い出す決意を持ったとき、自分のことや他人のことをどんどん許さなくてはいけないことに気づくと思います。嫌いな自分や情けない自分を許したとき、嫌いな他人や憎むでき他人を許したとき、人は自分の精神と肉体を世界一大切にするべきものであったと気づくのです。そしてこのとき、病気はその人間を許すと思うのです。病気は消滅するのです。

人間はこのような正しい精神で病気に対応すべきだと思います。あとは、太陽のエネルギーを大量に注入するために、ガヤトリー・マントラを数多く唱えて悪因縁を燃やしましょう。

ストレスは細胞膜を収縮させ、血管を収縮させます。すると細胞内の代謝が悪くなり、また体内での血行が悪くなり慢性病やガンになるのです。ストレスを取る目的で、毎日笑う習慣を持ちましょう。』

付記1で黒丸先生は、ポジティブな心の状態がもつ力を『心の治癒力』と表現されましたが、これを前(改善)に進めるもの(ドライバー)とすれば、ビジェイ弘詩氏の『正しい精神』というご指摘は、前に進める原動力(エンジン)のようなものであり、『心の治癒力』を最大化するための基礎になるようなものだと感じました。