慢性腎不全が鍼治療で改善!

慢性腎不全の患者さまへの施術で、クレアチニン値3.64から2.38に改善された症例がありましたのでご紹介させて頂きます。なお、体調も良くなり通常のお仕事に復帰されました。
・施術期間:2017年11月-2018年1月
・施術回数:9回
・クレアチン値:3.643.022.502.38

今回、ブログを書くにあたり患者さまにご相談したところ、検査結果もお見せ頂けることになりました。下記がその検査結果ですが右上に日付が出ています。なお、クリックして頂くと拡大されます。



CKD診療ガイド2012を元に、内臓トレーニング協会さまが作成されたグラフです。これを拝見すると、クレアチニン値が3.5以上になると手術が必要になってきます。

画像出展:「内臓トレーニング協会

 

 

 
腎移植手術を行う場合、医療費助成制度適用には、「腎機能障害の身体障害認定」が必要となります。4級の評価基準は右端にある「クレアチニンクリアランス(Ccr)20以上30未満」もしくは「クレアチニン値3.0以上5.0未満」のいずれかを満たすという条件です。つまり、3.0という数値は日常生活活動の制限を覚悟しなければなりません。

 

画像出展:「腎援隊

疾患-慢性腎臓病」でも触れていますが、「鍼治療が慢性腎臓病(CKD:chronic kidney diseas)に有効ではないか」ということを考えるようになったのは、静岡トレーニングクリニック 廣岡院長の著書、「腎臓病を自分でなおす -私たちはクレアチニン値を自分で下げた-」を拝読させて頂いたことによります。仮説ということではありますが、「クレアチニン値の下がる理由(特に青字箇所)」鍼治療の可能性を確信した理由です。

注)静岡トレーニングクリニックさまで行われている「内臓トレーニング療法」は鍼治療ではありません! 「低周波パルス印加装置」を使用されています。

 

発行は、2015年4月です。

出版:アイシーアイ出版

クレアチニン値の下がる理由(仮説) 
a 人体を細胞レベルで見ると
『体を細胞レベルで見ると、約60兆個の細胞からできています。全ての細胞は、酸素を取り入れて二酸化炭素を排出し、アミノ酸やブドウ糖などの栄養を取って老廃物を排出しています。細胞に栄養と酸素を届けるのは血液であり、二酸化炭素と老廃物も血液によって回収されます。ですから、細胞は血液が届けば健康ですが、届かなければ衰弱し、もし酸素が届かなくなれば10分ほどで死んでしまいます。つまり、細胞にとって血液は生命線であり、全身の細胞に血液が行き届いていれば人間の体は元気でいることができます。
b 細胞も生き物、その健康状態はさまざま
細胞は生き物です。生き物は単純に生か死に二分することは出来ません。元気な細胞、疲れた細胞、病気の細胞などがあり、徐々に弱って寝込んだり倒れたりして最後に死を迎えます。一般的にクレアチニン値1.00を超え、腎機能に支障があると診断されたときには、その機能の半分が不全に陥っています。しかし、1.00の時、半分の細胞が死滅し、残りの半分の細胞が元気というわけではありません。細胞は活発に活動しているものから、瀕死の状態のものまでさまざまな健康状態で混在しています。腎臓の機能の回復を図ろうとするなら、弱っている細胞に新鮮な酸素と栄養をたっぷり与えれば、人間と同じように元気になるはずです。それには腎臓の血流を活発化すればよいのです。』
c 血液が届けば細胞は元気になれる
全身の血流を活性化し、臓器に血液を送りこめば、元気な細胞は今まで以上に元気になり、疲れた細胞は疲労を回復し、病気の細胞も治癒し、瀕死の細胞も息を吹き返すはずです。そして、疲労しきった腎臓の機能全体が回復してクレアチニンの数値も下がるはずです。現に、内臓トレーニングでクレアチニンを下げたり、数値の上昇を抑えている人は7割を超えています。内臓トレーニングが、クレアチニンは下がらないという医療界の常識に反して効果を挙げている理由は、ここにあると考えています。ただし、この考え方は科学的に証明されたものではありません。あくまでも細胞生理学的な見地からの仮説です。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

画像出展:「内臓トレーニング協会

また、次のご指摘も納得のいくものでした。
血液の流れる仕組み
『血液の大循環を考えてみましょう。心臓から押し出された血液は動脈を伝って全身に届けられ、静脈から心臓に戻ります。血液循環で一番難しいのは下半身に降りた血液を引力に逆らって心臓に戻ることです。心臓から足のつま先まで約1メートルの高さがあります。下半身の血液は、主として第2の心臓と呼ばれるふくらはぎの筋肉が動かします。ふくらはぎの筋肉がしっかり動けば、下半身の血液は尺取虫にように押し上げられて、心臓に戻ります。日常生活の中でふくらはぎを動かすには歩くことです。しかし、現在は車社会で歩くことが極端に少なくなっています。このため、下半身に汚れた血液が溜まり、さまざまな病気になりがちです。
次に毛細血管の血液の流れを説明しましょう。毛細血管は筋肉の中にあり、毛細血管の血液も筋肉の収縮によって体の隅々まで流れます。やはり、運動が必要です。ですから、歪んだ姿勢で生活したり、肩こりや腰痛で筋肉を固めてしまうと、筋肉の収縮頻度が少なくなり、毛細血管の血液の流れまで悪くなってしまいます。血液の流れを円滑に保つことは、健康な人でもなかなか大変なことです。ましてや腎臓を患っている人は、当然血液の流れが滞りがちです。』

 

画像出展:「腎臓病を自分でなおす」

 


警告のための名称
廣岡先生は、2012年5月に発行された「腎臓病をなおす-内臓トレーニングでクレアチニン値は下がる-」の中では、次のようなお話もされています。
腎臓の働きが衰えてくると、一般に慢性腎臓病とか慢性腎不全と診断される。しかし、この名称は「腎臓の機能が衰えてきています」と腎臓の働きの状態を表した病名で、いわゆる「警告のための名称」と考えるとわかりやすい。

 

 

 

 

廣岡先生が実施されている治療は「内臓トレーニング」とよばれ、ホームページにも詳しく紹介されています。

ご参考1

ホームページに紹介されている「田坂定孝教授著[低周波脊髄・頭部通電療法]中外醫學社刊」は、「国立国会図書館デジタルコレクション」の中にありました。資料は「図書館向けデジタル化資料 送信サービス参加館」に登録されていれば、その図書館にある専用端末で閲覧およびコピーが可能です。添付は、「田坂定孝教授著[低周波脊髄通電療法]」です。これは[低周波脊髄・頭部通電療法]の2年前の1958年に発行されたものです。実は、間違ってこちらを閲覧・コピーしてしまいました。なお、『本通電法を一応低周波脊髄通電法(以下低脊通電と略す)と命名して昭和30年8月20日に(日本医事新報,第1634号)に報告したものである。』と記されていました。

右側は「低脊通電の臨床効果」が書かれた最初のページですが、見ずらいため冒頭の一部を書き出しました。

 

『低脊通電は諸種中枢性神経疾患ことに脳卒中後片麻痺にみられる運動障害に有効であるばかりでなく、視覚障害・言語障害・拘攣・自律神経障害および精神障害などにたいしても有効であり、約15%くらいの無効例および15%くらいの微効例はあるが、その他の70%においては効果がはっきり認められ、しかもこのうち約20%においては卓効または劇的な効果がみられた。・・・』


鍼治療の概要
当院の鍼灸治療は経絡治療になりますが、日本伝統医学研修センターにて相澤良先生よりご教授いただいた経絡治療になります。これは、岡部素道先生が昭和20年~39年の第2期に行っていたもので、陰陽論を具体化するものであり、「祖脈診」による脈診は病理を鑑別します。これに問診、腹診などを考慮して総合的に判断します。今回の患者さまは、瘀血が疑われる熱型で、肝経の金穴(中封)・水穴(曲泉)、腎経の金穴(復溜)・水穴(陰谷)を本治としました。なお、腹部の中脘、左右天枢、関元の4穴も本治に加えています。

下図は祖脈診の概要です。右の写真は現場で使うシャーレと寸3-1番の40本の鍼です。殿筋など長い鍼が必要な場合は、寸6-3番や2寸-5番を使っています。 


「内臓トレーニング」では、ふくらはぎ、足裏、背中(脊柱際)を治療ポイントとしています。

今回は足の浮腫みがあったため、腓腹筋ヒラメ筋をターゲットにツボを意識しつつ、触診により刺鍼点を決めました。
また、軟らかい印象があった背中ですが、刺鍼してみると少し深いところに顕著な硬さがあり、曲がってしまう鍼もありました。この硬さは普通ではなく最重要の刺鍼エリアであると判断しました。置鍼時間は20~30分を目安とし、必要に応じて、単刺や抜鍼時の雀啄を行い、硬さをつくっている熱が外に排出されるイメージで鍼を抜きました。

 

夾脊(華佗夾脊)」は、経絡治療、中医学ともに使われる奇穴です。教科書には主治として「胸腹部の慢性疾患」とあります。

画像出展:「新版 経絡経穴概論」

神経リンパ反射療法でご紹介した「チャップマンによる内臓器官反射点」です。この反射点を活性化すると、『自律神経系を通して反射点と連結する内臓に影響を与えることが可能である。反射点の治療を通して交感神経緊張の制御が切り替わり、関係する内臓の血流が良くなり代謝推移が素早く正常化する。』との解説がされています。

Dr. Frank Chapman, DO(Doctor of Osteopathic Medicine)

画像出展:「神経リンパ反射療法」

整理をすると、今回の標治ヒラメ筋腓腹筋T1(第1胸椎)~L2(第2腰椎)の脊際、さらに、脳への血流を意識し、後頚部を加えたものが刺鍼部位になります。

ご参考2

五行説:陰陽と並ぶ古代中国の自然哲学の思想。陰陽五行説という捉え方もされる。万物は「木火土金水」という五つの要素により成り立つとする。

相撲は日本古来の神事とされていますが、ここには「五行」が存在します。
・土(土表)
・金(白ぶさ)
・水(黒ぶさ)
・木(青ぶさ)

・火(赤ぶさ)

画像出展:「ウィキペディア

腎臓の働き
・腎臓の働きは大きく分けると、「尿生成」と「ホルモン産生・調節」の2つですが、臨床的には尿生成を腎機能としています。
。その尿生成に関しては、「よくわかる生理学の基本としくみ」という本の中に、例をあげて分かりやすく説明がされていましたので、こちらをご紹介させて頂きます。(右側の腎機能の図は「病気がみえる vol8 腎・泌尿器」からのものです)

 

出版:秀和システム


 

こちらは、腎動脈に造影剤を注入してX線撮影した腎動脈造影です。「病院の検査の基礎知識」さまより拝借しました。

なお、腎動脈の直径は5~6mmとされています。

『細胞が出す代表的な代謝産物には、酸素の消費の結果出てくる二酸化炭素のほか、タンパク質やアミノ酸を分解することで生じる尿素や硫酸など、それに、DNAやATPなどに使われる核酸を分解して生じる尿酸などがあります。これらの物質は、細胞から血液に出されてきます。したがって、ゴミは、血液によって体中から回収されているわけです。血液は、なんと、ゴミ収集車の役わりをしているのです。

 

尿素や尿酸などのゴミを回収したごみ回収車は血液を通って処理センターの腎臓に向かいます。

画像出展:「よくわかる生理学の基本としくみ」

血液は、あくまで収集をしているだけなので、どこかに捨てなければなりません。一つのごみ処理場は、肺です。ここで二酸化炭素が出されることを、第3章(息をすること[呼吸器系])でお話しました。しかし、他の物質は、気体にならないので、肺からは出ません。気体にならないゴミを除去するのが、腎臓の役割です。つまり腎臓は、ゴミを水に溶かした状態で体外に出します。これがおしっこです。
だから、体が少々水不足の状態であっても、ゴミを溶かすために水が必要で、おしっこはやっぱり出てくることになります。こうして見ると、腎臓が壊れることの恐ろしさが分かると思います。腎不全が進んでしまった患者さんは、腎臓移植をするか、人工血液透析を行って、血液から直接ゴミを取り除く方法をとらなければならなくなります。
血液の中に溶けている“ゴミ”を体の外に出すためには、どうしたらよいでしょうか。一番簡単なのは、血液をそのまま捨てることです。しかし、これは出血ですね! 体の中の血液の量は、体重の約8%ですので、体重60kgの人では約5Lです。おしっこの1日量から考えると、3日で空っぽになってしまいます。また、おしっこに血液が混じるのは血尿といって、病気の兆候です。結局、血液の中から、ゴミを選んで出す必要があるのです。
血液の主な成分といえば、赤血球や白血球や血小板が思いつくことでしょう。この3つは、細胞、あるいはその一部で、血球成分と呼ばれます。血球成分は、もちろんゴミではありません。ですから、血球を出さずにゴミを除去しなければなりません。
ゴミは、血液の液性成分である血漿の中に溶けている分子です。そうすると、血液の中から、血漿だけを取り出せばよさそうです。血球は細胞成分ですから、比較的大きいので、理科の実験などでよく使う濾紙(フィルター)であれば、濾しとることができそうです。腎臓には、この濾紙の役わりをするものがあります。それが糸球体です。糸球体は、両側の腎臓に合わせて、200万個以上もあるといわれています。糸球体は、毛細血管が糸くずのように丸まった状態のものです。つまり血管ですから。この中を血液が流れています。
この血液は、大動脈から直接枝分けれしている腎動脈が、さらに数回枝分かれしてきた輸入細動脈から注がれます。そして、糸球体を通過した血液は、輸出細動脈として出ていきます。こうして、糸球体には、血液が絶えず流れています。

糸球体の壁は、内側から、血管内皮細胞、基底膜、上皮細胞の順で層を成しています。血管内皮細胞と上皮細胞は、それぞれ細胞どうし密着しておらず、ちょうどタイルのように並んでいます。そして、細胞どうしの間はすき間になっています。また、基底膜は、膜とはいっても均一なものではなく、網状の構造をしています。網の上に細胞がバラバラに載っているようすは、網の上でお餅を焼いているようすに似ています。内皮細胞の大きさは赤血球より小さいので、内皮細胞や上皮細胞のすき間を、血球成分は通過できません。では、基底膜はどうでしょう。基底膜の網の目はかなり細かいので、血漿の中の巨大分子であるたんぱく質は、ほとんど通過できません。
こうして、血漿成分からタンパク質を除いた比較的小さな分子と水だけ、糸球体の壁を通過することができ、中に入っている比較的小さな分子であるゴミを血管の外に出すことができるのです。このしくみを糸球体ろ過といいます。こうして糸球体から、いわばしみ出てきた液を原尿と呼びます。原尿はボーマン嚢に受け止められて、次のルートである尿細管に流れてゆきます。

 

画像出展:よくわかる生理学の基本としくみ」

糸球体の壁からしみ出た原尿は、血漿からタンパク質を除いたものです。ところで、そもそも血漿には何が含まれていたでしょうか。
第一はタンパク質です。タンパク質にはアルブミンと呼ばれるグループと、グロブリンと呼ばれるそれより大きな分子のグループがあります。それと、血液内で脂質を輸送する役わりがあるリポタンパクがあります。健康を気にしてる人は、LDLとかHDLとかいう名前を聞いたことがあるでしょう。それがリポタンパクです。こうした血漿に含まれているタンパク質は、しみ出しません。
タンパク質は栄養素でもありますが、第2章(食べること[消化器系])で、他の栄養素も、腸で吸収されて、血液に入ってくることをお話しました。そう、グルコースなどの単糖類とアミノ酸です。これらは比較的小さな分子なので、糸球体の壁からしみ出してしまいます。そのほか、ナトリウムやカリウム、カルシウム、塩素などの電解質も、血漿の中にしみ出します。また、もちろん水もしみ出します。こうした栄養素や電解質、水は、ヒトの体に必要なものです。
これらが、糸球体からどんどん失われたとすると、まったくムダなことをしていることになります。ですから、これらのものは、最終的に、おっしことして出してしまう前に回収しなければなりません。尿細管では、原尿中の必要物質を回収し、血液に戻しています。

 

画像出展:「よくわかる生理学の基本としくみ」

では、どうして、糸球体からいったんだしてしまったものを、また回収するというような、一見ムダに見えることを行っているのでしょうか?それは、“ゴミ”を出すために必要な作業だからなのです。血液中のゴミは小さな分子で、栄養素などと大きさがさほど変わりません。だから、ろ過では、栄養素とゴミの区別をつけることはほぼ不可能です。
ならば、ろ過という方式をとらず、ゴミだけ、血液の中から選択的に取り出す方法も考えられます。これなら、尿素や尿酸といったゴミだけ捨てて、栄養素を捨てなくてすみます。
でも、この方法は、自然界では危険な方法です。なぜなら、体の中には、栄養素とゴミ以外の物質が、いつも入り込んでくる可能性があるからです。典型的なものは毒物です。毒物は、ヒトが持っている物質ではありませんので、ヒトとしては、どんな物質なのか予想がつきません。ですから、血液中から毒物だけを選んでうまく捨てることができるかどうかは、不確実です。おまけに、これを失敗すると、生命の危険にさらされるわけです。具体的な例として、新薬の話があります。新薬は、人工的に合成された化学物質ですから、それまで地球上に存在するはずのない物質です。しかし、新薬がヒトに投与されると、みごとに体の中から除去され、おしっこに出てゆきます。

 

捨てる&回収は、最も安全です。

画像出展:「よくわかる生理学の基本としくみ」

もし、腎臓が、ゴミだけ選んで捨てていたら、新薬はいつまでたっても体の中にとどまって、深刻な副作用を引き起こすでしょう。毒物も新薬もゴミも確実に排出するには、考え方を変えなければなりません。タンパク質より小さな分子は、とりあえず、いったん血管の外に出してしまうのです。そうすれば、どんな毒物も開発したての新薬も、出て行ってしまいます。ゴミももちろんそうです。これが糸球体のろ過のやり方です。
同時に出て行った栄養素や電解質ですが、これは生体がよく知っているもので、その数も限られているので、こちらを選んで回収するほうが、結局、効率がよいわけです。たとえば、ゴミ箱に誤って必要なものを捨ててしまって、ゴミ箱からそれを探し出すときのようなものです。ゴミ箱の中身を、新聞紙か何かにいったん拡げて、必要なものを見つけ出し、残りをまたゴミ箱に捨てる方が、ゴミ箱の中に手をつっ込んで探すより、簡単ですよね!

ご参考3

こちらは糸球体の写真です。

まさに毛細血管の糸くずですが、1つのパーツではありません。ミクロの細胞を1つの部品とすれば、物凄い部品点数の巨大「ろ過装置」です。

もし、この「ろ過装置」が1個のスイッチで操作されるのであれば、その働きは、1(稼働)0(停止)というデジタル的といえます。

しかしながら、実際は常にスイッチはオンです。ただし、その稼働状況は一定とは限りません。取るべき睡眠をとっていなかったり、食べるべき食事を抜いていたり、あるい、暴飲暴食などの不摂生を繰り返していると、生み出されるストレスは「ろ過装置」が必要とする燃料(血液が運ぶ酸素と栄養素)の安定的供給に影響を及ぼし、稼働環境を悪化させます。

このように、細胞という無数の部品で組み立てられた巨大な「ろ過装置」を不十分な燃料で長期に渡って稼働させなければならないとすれば、その「ろ過装置」の稼働状況は、絶好調瀕死状態にある細胞群に支えられることになります。そして時間の経過とともに各細胞の健康状態は徐々に悪化してゆき、不良部品が増えていく「ろ過装置」の性能は低下していきます。

つまり、「低酸素や虚血という環境は腎臓のろ過機能を低下させるが、その変化はアナログ的であり、酸素と栄養素などが血液によって安定供給されれば、細胞の健康状態も改善され、そして、ろ過機能も改善される。」と考えることは不自然ではないと思います。

画像出展:「人体の正常構造と機能」

再登場の絵です。

上記の「絶好調~~瀕死状態」はこの絵をイメージしたものです。

ご参考4

臓器は血液が運ぶ酸素と栄養素などで健康を維持していますが、特に腎臓にとって低酸素状態は重大な問題です。ネット上にあった第113回日本内科学会講演会の資料によると、糸球体の硬化の問題以上に、尿細管間質の慢性低酸素状態が特に重要と考えられること、腎臓は生体が必要とする酸素の30を消費する非常に酸素需要の高い臓器となっており、低酸素や虚血が病態に影響を及ぼすことなどが論じられています。なお、本資料はダウンロードできるようにさせて頂きました。

ダウンロード
腎臓病の新たな視点-低酸素とepigenetics.pdf
PDFファイル 239.6 KB