パーキンソン病友の会医療講演会#2

5月28日(日)、「埼玉県パーキンソン病友の会」の定期総会に引き続き、国立精神・神経医療研究センター病院病院長 村田美穂先生による「ここまで良くなるパーキンソン病」を演題とする講演が開催されました。
ブログでは印象に残った4つを取り上げ、自分なりにまとめてみました。

 

なお、村田先生の国立精神・神経医療研究センター病院のホームページにはパーキンソン病に関して詳しく説明されているページがありますのでご覧ください。

 

 

 

『パーキンソン病、進行性核上性まひ、大脳皮質基底核変性症、多系統萎縮症(特に線条体黒質変性症)を対象に運動症状のみならず、抑うつ、不安、睡眠障害や、腰曲がりなどの姿勢障害等にも対応している。』(2012年度 病院年報 第26号より)

1.パーキンソン病とパーキンソン症候群
休憩を挟んで行われた質疑応答は約1時間、患者さま及びご家族からの質問は事前に集められており、18件が1枚の資料にまとめられていました。
その中に、パーキンソン病と診断され、マドパー(「レボドパ」と「ベンセラジド」という2つが配合されている薬)を服用しているが、症状は全く変わらず進行しているという主旨の質問が含まれていました。
村田先生のお話では、パーキンソン病であれば、薬が全く効かないということは考えられないので、他の病気を考えなければならないとのご指摘でした。
少し補足させて頂くと、患者さまが服用されているマドパーには「L-ドパ」という成分が配合されており、この薬は「パーキンソン症候群」にも効果があるとされています。従って、この患者さまの場合、パーキンソン症候群以外の疑わしい疾患にも目を向ける必要があることになります。なお、「パーキンソン症候群」とは、パーキンソン病以外の変性疾患や薬物投与、精神疾患等によりパーキンソン様症状が見られる疾患のことをいいます。
パーキンソン症候群に関する詳細な説明は以下のサイトに書かれています。ご参照ください。

 

 

『MEDLEYは、567名の医師とともに医療事典を作成するプロジェクトです。病気の情報をはじめ、薬の解説、医療機関、学術誌による論文ニュースと、医療情報を網羅的に用意しています』

なお、薬剤性パーキンソン症候群の原因で最も多いとされている抗ドパミン薬のスルピリド(商品名ドグマチール、アビリットなど)が処方される主な疾患を調てみると、うつ病・うつ状態、統合失調症、胃・十二指腸潰瘍となっていました。これらの病気によって、スルピリド(商品名ドグマチール、アビリットなど)を服用されている患者さまは、その副作用に注意頂く必要があると思います。

 

2.薬の効果を100%引き出す!!!
「京都大iPS細胞研究所の高橋淳教授はパーキンソン病を治療する医師主導の臨床試験(治験)を2018年度に始めると明らかにした。」とのニュースが2017年2月3日に出ました。

 

 

 

『髙橋淳教授らの研究グループは、パーキンソン 病に対する iPS 細胞由来神経細胞移植による機能再生治療法の開発を目指した研究を進めております。』

1、2年後から治験が始まる予定の遺伝子治療を含め、将来的にパーキンソン病の治療が大きく前進するのは間違いないのですが、少なくとも5年~10年は、薬の効果を100%引き出すことが最も大切なことである。この事が今回の講演で1番印象に残ったことです。
下記は「やさしいパーキンソン病の自己管理」に掲載されている薬の一覧表です。そしてパーキンソン病の薬は毎年のように新しいものが出てきています。


異なる作用の薬がたくさんあり、処方には回数と量を最適化させる必要があり、また、薬の効果は個人差が大きいという現実もあります。

つまり、パーキンソン病の服薬は100%オーダーメイドです。そのためには、患者さまと主治医が二人三脚で、試行錯誤をしながら最良のパターンを見つけ出すという時間と努力が必要だと感じました。
患者さまの中には、日々の体調を日記などで管理されている方もおり、こうした取り組みは非常に有効な情報源になるだろうと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

画像出展:「やさしいパーキンソン病の自己管理」(医薬ジャーナル社)

※デュオドーパ
デュオドーパは2016年7月に保険適用になりました。ウェアリング・オフ現象やジスキネジア(頚、手足や肩などがくねるよう不随意運動)の問題を改善したいという患者さまが期待されている治療です。大前提としてL-ドパが効く患者さまでないと価値はありません。
仕組はデュオドーパという装置にL-ドパのゲル剤が入っており、チューブを十二指腸の先にある空腸(小腸の一部)に留置して持続的に薬を注入します。L-ドパの血中濃度が安定するのでジスキネジアにも効果が高いといわれています。    

こちらは順天堂大学医学部付属順天堂医院 脳神経内科のホームページに掲載されている「デュオドーパ」です。詳細な説明がされています。

※ウェアリング・オフ現象(長期治療中の問題点)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

画像出展:「やさしいパーキンソン病の自己管理」(医薬ジャーナル社)

 

『薬の血中濃度の変動に伴い、パーキンソン症状が変化する現象をウェアリング・オフ現象と呼んでいます。薬の濃度が上昇すれば症状が改善し、濃度が下がれば症状が悪くなる現象です。L-ドパは、ドパミン受容体作動薬に比べて効果が高く、半減期(血液中で薬の濃度が上がってから半分の濃度になるまでの時間)が短いためにこのような現象が出現しやすいのです。ドパミン神経終末は一度使ったドパミンを取り込んで保存し、再利用することができますが、病気になって4~5年するとドパミン神経終末の数が減るために十分保存できなくなります。それに伴いL-ドパの血中濃度と症状の変動が一致し、1回服薬後の効果の持続時間が短くなり、ウェアリング・オフ現象が現われるようになります。
40歳以下でパーキンソン病になった方は、この現象がとても出現しやすいのですが、70歳以上でパーキンソン病になった方は出現しにくく、出現しても軽度ですので、あまり心配する必要はありません。
若い方でL-ドパ量が多すぎたり、食前服薬などでL-ドパ濃度のピークが高くなりすぎると出現しやすいので、L-ドパはなるべく食後に飲むようにしましょう。また、L-ドパとともに、ドパミン受容体作動薬やMAO-B阻害薬、COMT阻害薬、ゾニサミドなどを服薬することで、ウェリング・オフ現象を予防したり改善したりすることができます。また、患者さんによってはアポモルヒネの注射も使えます。』    

3.便秘対策
村田先生のお話の中で、パーキンソン病の患者さまは概して飲水量が少ないということを指摘されていました。そして、「1日2リットルの飲水および運動」を心がけることで、便秘が改善される方は少なくないとのことでした。

やはり運動は大切だろうと思い、ネット検索したところ、運動療法の事例を見つけましたので添付させて頂きました。

ダウンロード
šパーキンソン病患者へのパーキンソン体操の指導を試みて.pdf
PDFファイル 406.3 KB

4.腰が曲がる
18件の質問の中に腰や背中に関するものが3件ありました。下記は質問の抜粋です。
椅子に座ると前かがみと上半身が左側に曲がってしまう。
歩き出すと腹直筋の上部がこわばり、腰が曲がり歩けなくなります。
腰痛があり上半身が前傾、左側に曲がっています。

村田先生からは姿勢障害に対するリドカイン療法(特許取得済み)についてのご説明がありました。これは体幹の外腹斜筋などの拘縮を取り除くことなどにより、姿勢を改善していくという療法です。即効性という意味では画期的な治療法ですが、初期であったり、症状が軽い場合は、まずは筋力維持の運動療法にトライされるのが良いのではないかと思います。
下記は村田先生の「やさしいパーキンソン病の自己管理」に掲載されている「背筋・臀筋の運動」に関するものです。

“前傾姿勢”は“前進運動”の源!
これは吉岡紀夫先生が「変形/痛みの治療革命! 筋膜療法 Fa・ther」に書いているものです。「脚を上げれば前進できる」という原理ですが、ここには非常に重要な体の構造があります。

それが体の背部から前傾する体を手綱のように支持し、姿勢を保持している「抗重力筋」の存在です。緊張を作っている「抗重力筋」の筋力が落ちてしまうと姿勢は崩れ、歩行にも影響が出ると思います。また、腰痛にも関係してくると思います。
上半身であれば背筋(脊柱起立筋)を可能な範囲で毎日筋トレすることが、すぐできる有効な対策になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

画像出展:「変形/痛みの治療革命! 膜療法 Fa・ther」(たにぐち書店)