超回復(筋肉の治療間隔について)

鍼灸治療の間隔は治療効果を “筋肉” だけに絞って考えれば、個人差はありますが中2、3日が理想的とされています。この2、3日とは、「筋肉が回復するのにかかる時間」ということは認識していたのですが、それ以上のことは把握できていませんでした。
先日、ネットで調べものをしていた際、偶然 “超回復” ということを知り、「これだ」と思いました。トレーニングと鍼治療は全く別のもののように思われますが、いずれも筋肉に細胞レベルの損傷を発生させるという点では共通性があり、”超回復” の考え方を当てはめることは問題ないと考えます。
もっと、詳しく知りたいと思い見つけたものが、「Tarzan 2014 No.657」の ”超回復” に関する特集でした。今回のブログはその記事の中から、特に気になった4つの事柄を書き出しています。

なお、Tarzanに掲載されている記事は、立命館大学スポーツ健康科学部 後藤一成先生によって監修されています。

「Tarzan」超回復
「Tarzan」超回復

 「Tarzan 2014No.657」(マガジンハウス)

1.超回復とは 
『超回復とは、カラダの機能が低下し、それが回復したときに、これまで以上の機能を発揮できるようになる状態を示す。筋肉が大きくなるというのは、そのなかのひとつにすぎない。トレーニングを行い、筋肉を疲弊させて機能を低下させる。そして、十分な休息と栄養を与えることで、肥大させる。
これが筋肉の超回復のひとつだ。他にもある。たとえば、持久系のトレーニングをすると少しずつ、速く、長く走れるようになることを我々は経験上知っている。これも超回復にほかならない。さらには、運動を行うと、一時的にカラダの免疫力が落ちることがわかっている。だが、こちらも休むことでこれまでより高い免疫力を得られる。これはヒト、いや動物が生きていくうえで獲得しないといけない能力だったのだろう。あるストレスに晒されたとき、今度はそのストレスにも耐えうるように肉体が変化していく。これらのことを総称して、超回復と呼ぶのである。』

 

2.筋力トレーニング後に筋肉で何が起こっているか 
『筋力トレーニングを行った後に、筋肉では何が起こっているのだろう。実は、アミノ酸を取り込んでタンパク質の再合成を始めるのである。

と、その前に。タンパク質はカラダの中に入ると、その最小単位であるアミノ酸へと分解される。そして、必要に応じて各組織に送られ、再び合成されるのだ。髪、爪、筋肉など多くの組織の材料となる。筋肉で取り込まれたアミノ酸はもちろん、筋肉組織の設計図に沿った合成がなされる。そして、合成が終わる。

つまり超回復が終了するまでには24~48時間かかる。この間はずっとアミノ酸の取り込みが続くのだ。時間に幅があるのは、運動強度が大きければ修復に時間がかかるし、同じトレーニングを行っても、個人によって筋疲労の度合いが違うので、その差もある。とにかく、24~48時間で修復が完了するから、2日~3日の休養を取ってトレーニングを再開すれば、筋肉は途切れることなく、アミノ酸を取り込み続けて大きくなる。

 

3.グリコーゲン・ローディング 
『グリコーゲン・ローディングをご存じだろうか。トライアスロンやマラソンでは普通に行われているエネルギー獲得の方法である。

大会の1週間前あたりから炭水化物の摂取量を減らし、一度、体内の糖質を枯渇させる。そして、3日前ぐらいから多めの炭水化物を取ることで、肝臓や筋肉でのグリコーゲンの貯蔵量を増やすのである。つまり、エネルギーの貯蔵量の超回復を狙った方法である。これで貯蔵量が2倍になったケースもあるというから驚きである。ただ、これは短い期間でエネルギーの貯蔵量を変化させる方法。長期的にエネルギーの貯蔵量を超回復させていく方法はないのであろうか。

実はある。たとえば、ランニングの上級者になると、毎日走っている人もいるだろう。そんな人に試してみてほしいのが、毎日走ることをやめて、1日おきにするのである。といっても、練習量は落とすわけではない。これまで2日でやっていたことを1日で行うのである。1時間走っているなら、まず走って、その後2~3時間休養を入れた後に再び1時間走るのだ。この間に炭水化物は補給しない。その代わり翌日のトレーニングはなし。休養日とする。すると毎日トレーニングするよりも体内に蓄えられるグリコーゲンの量がグッと増えるのだ。エネルギーが増えれば、それだけ長く走り続けることができるようになるのである。
実験では、糖質の貯蔵量が増えるほかに、ミトコンドリアの量が増えることもわかっている。ミトコンドリアは酸素を使ってエネルギーを作り出す、いわば化学工場である。これが増えるということは、体内に無尽蔵ともいえるほどにある脂肪を上手に使い、エネルギーに変換しやすくなるということ。つまり、持久性の向上にほかならないのである。
こちらも、エネルギー獲得の超回復と呼べそうだ。痩身したい人にも、この方法はオススメできるかもしれない。ただし、低血糖になりすぎると倒れる可能性もあるので、自分のカラダの具合と相談してやりすぎないことが重要だ。

筋グリコーゲンとトレーニング頻度
筋グリコーゲンとトレーニング頻度

グリコーゲン貯蔵量は増やせる 毎日トレーニングを行った群と、1日2回行って1日を休養に充てた群を比較。トレーニング回数では2群に差はない。結果は1日2回の群で筋グリコーゲン量の有意な増加が確認された。 

画像:「Hansen et at.,2005より作図

4.マッスルメモリー 
『筋力トレーニングを行って、超回復が起こり、逞しいカラダになった。ところが、とある事情があってトレーニングを中断しなくてはならなくなってしまう。
こんなとき、筋肉は正直というか、1年も経てばトレーニング前の状態に戻ってしまう。あら悲しや! ところが、である。これまで行ってきたトレーニングが無駄になってしまうかというと、そうではないのである。たとえば、筋力トレーニングをまったくやったことのない人が、カラダの変化を感じるまでには約3か月かかる。
だが、継続してトレーニングを続けてきた経験があれば、1か月ほどで、カラダは変化するし、数か月も経てば筋肉の量や筋力が戻ってくるのである。この現象をマッスルメモリーと呼ぶ。これも、筋肉の超回復のひとつであろう。ただ、どうしてこんなことが起こるのかはわかっていない。しかし、筋肉が大きくなるのは、神経系やホルモンなどの内分泌系などさまざまな要因が影響を及ぼす。それらが以前のトレーニング時と同じ働きをするのかもしれない。』