パーキンソン病の音楽療法と歩行の筋肉

パーキンソン病のマネジメントと最新リハビリテーション」というブログの中で、「パーキンソン病に効くCDブック」という本をご紹介していますが、今回はその件と、歩行における筋肉という2つを取り上げています。

 

左の写真より新しい本が、2012年6月発行の「パーキンソン病に効く音楽療法CDブック」 (ビタミン文庫) になります。

 

1.パーキンソン病の音楽療法
音楽療法の研究が開始されたのは1997年で、その後、国際シンポジウム「Science for music」など国内外で発表が行われ、2000年には英語の論文として報告されています。そして、2002年には「第2回パーキンソン病フォーラム」での講演で大きな反響があり、現在に至っています。

パーキンソン病は歩行障害を伴いますが、視覚や聴覚などの外部からの刺激により、歩数や速度、歩幅が改善されます。ここにはパーキンソン病がもつ脳内の歩行リズムの障害という問題が存在しています。
聴覚、音によるリズム刺激は、脳内の歩行リズムの正常化を狙っており、歩行訓練を行わなくても、音楽を聴くだけで歩行が改善されることを目指しています。
これは、1分間に120回のメトロノームが刻む一定のリズムに、クラシックや童謡の旋律にのせた音楽を聴いてもらうことにより、一定のリズムが脳を刺激し、その結果歩きやすくなり、さらに気分も明るくなるという効果を得ています。

 

格安の中古本でCDは付属していない商品でした。

約してしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

画像出展:「パーキンソン病に効くCDブック」(マキノ出版)

視覚刺激の例としては、例えばすくみ足の起こりやすい患者さまは、目の前に一定の間隔でを引いておけば、スムーズに歩くことが可能です。また、平地を歩くのが難しい患者さまでも階段は問題ない場合もあります。足がすくんでいるときは、会議などで使うレーザーポインターなどで足元に光線を照射し、それを目印にすると足が前に出てきます。
このような、階段光線などの視覚刺激に脳が反応し、それらを指標にすることで、歩行リズムが整ってくるというわけです。そして、リズムが整うと、外部からの刺激がなくてもある程度は歩けるようになります。
また、「1、2、1、2」と号令や手拍子など、一定のによるリズム刺激に合わせて歩くと、すくみ足が起こりにくく、歩行に調子もついて歩きやすくなります。つまり、脳は視覚だけでなく、聴覚の刺激にも反応し歩行リズムを整えることができます

 

次は、音楽療法の実験についてのご紹介です。
対象者は25名(男性10名、女性15名)、平均年齢70歳、ヤール重症度Ⅱ~Ⅲ度、病歴平均7年というパーキンソン病の患者さまに対して行われた調査結果です。

 

 

ヤール重症度を説明した表です。

パーキンソン病は厚生労働省が定める特定疾患の一つであり、ヤール重症度がⅢ以上の場合、医療費の補助が受けられます

 

 

 

画像出展:「パーキンソン病に効くCDブック」(マキノ出版)

歩行速度…音楽療法開始前は平均50.0m/分だったが、終了後は平均58.2mに、改善率は20.7%

      なお、5%以上改善は19人(75%)、10%以上は14人(56%)だった。
歩幅…音楽療法開始前は平均41.7cmだったが、終了後は平均47.2cmに、改善率は20%
1分間の歩数…音楽療法開始前は平均117歩だったが、終了後は平均120.8歩に、改善率は4.2%
また、実験結果の分析により、歩行状態が良くない人ほど、改善率が高いこと。前向きな気持ちになることが実証された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

画像出展:「パーキンソン病に効くCDブック」(マキノ出版)

2.歩行の筋肉
歩行では膝を上げる筋肉と骨盤を安定させる筋肉が重要な働きをしています。前者は股関節屈曲を担当するインナーマッスルとして有名な腸腰筋で、後者は中殿筋というおしりの筋肉(殿筋)の一つで、上層の大殿筋と下層の小殿筋にはさまれています。
また、この両筋は筋肉の酷使などで発生するしこり(トリガーポイント)により、腰部に関連痛を起こす原因筋にもなります。つまり、腰痛の治療においては、腰背部の筋肉だけでなくこの2筋への治療も見逃すことはできません。 そして、同じくとても大切な筋肉が大腿四頭筋と呼ばれる太ももの大きな筋肉です。
以下の表は、歩行を支える下肢の筋肉群について、それぞれの筋肉がどのような働きをしているかをまとめたものです。
大腿四頭筋は、上体を前方に移動させる際に膝折れを防ぎ、そしてまた、膝関節への衝撃を吸収するという非常に重要な働きをしています。大腿四頭筋はその名の通り、4つの筋で構成され、前面に大腿直筋、内側に内側広筋、外側に外側広筋、そして大腿直筋の下で大腿骨に付着している中間広筋となっています。
この4つの筋肉の中で、伸展モーメント(膝を伸展させる力)が最大なのは中間広筋で、40~50%をカバーしていると考えられています

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリックして頂くと拡大されます。上段は「推進力の生成」、下段は「歩行時の衝撃の吸収」で、上から足関節、膝関節、股関節となっています。また、筋肉は表の左端から大腿四頭筋(中間広筋)、前脛骨筋、ヒラメ筋、腓腹筋、股関節外転筋群となっており、最後がアキレス腱です。

表の図は大腿部の断面です。これを見ると表面の皮下脂肪と大腿直筋を合算した厚さはかなりあることが分かります。一般的には、大腿骨までの深さは男性では6cm程度とされており、その深さを参考に適した鍼を選択することが大切です。

パーキンソン病患者さまで、大腿部の硬さが著しく痛みも伴う場合は、この中間広筋への処置が非常に重要と考えており、この場合の置鍼時間は20~30分を目安にしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

画像出展:「アトラスとテキスト 人体の解剖」(南江堂)