めまい

概要
めまいは平衡感覚の機能が障害され、姿勢を正しくコントロールできなくなった状態です。考えられる原因は内耳に起因する末梢性のものと、脳血管障害により小脳などを障害することによって起こる中枢性のものとに分けられます。
めまいの種類としては、ぐるぐる回る、回転性めまい。ふらふらする、浮動性めまい、目の前が暗くなる、失神性めまいがあります。鑑別においては耳鳴、難聴、耳閉塞感に代表される蝸牛症状の有無がポイントになります。

 

ポイント
1.めまいの原因は緊急性のある疾患や、精神疾患まで多岐に渡っているの

  で鑑別が大切です。
2.運動障害、感覚障害、頭痛・嘔吐、起立歩行不可などの中枢性めまいが

  疑われる場合は救急搬送を考えます。
3.鍼灸治療では、耳、自律神経、消化器官のいずれが原因であるかを検討

  し、判断します(混在あり)。

 

補足説明
急性発症で原因が末梢性のものとしては、良性発作性頭位変換めまい症とメニエール病が考えられます。前者は蝸牛症状(耳鳴、難聴、耳閉塞感)はなく、頭の位置の変化でめまいが誘発されます。一方、後者は激しいめまいに蝸牛症状を伴います。

脳幹部梗塞の中枢性めまいでは、めまい以外に手足の運動障害、感覚障害および嚥下障害があります。重症な場合には意識障害や四肢麻痺まどの症状もみられます。小脳の出血や梗塞の場合は激しいめまいに頭痛や嘔吐、四肢に麻痺がないのに起立歩行できないなどが現われます。中枢性めまいの特徴が顕著な場合は、すみやかに医療機関に救急搬送することを検討します。
末梢性めまいである、良性発作性頭位変換めまい症とメニエール病は鍼灸適応疾患ですが、それでも病院での診察をお勧めしています。これは鍼灸治療と薬の併用が有効であると考えているためです。
鍼灸治療では、原因を耳、自律神経(ストレス)、脾胃(消化器官)の3つに分類し、それぞれを四診により特定してから治療に入ります(混在していることもあります)。なお、下記に代表的な脈とその本治、および共通する標治を書き出しましたが、個人差がありますので最も一般的なものという位置付けになります。

 

1.耳に原因がある  
・本治
 ・脈…腎経と心包経が熱型であることが多い。      
 ・治療…腎と心包の水穴で熱を抑える。 
2.自律神経に原因がある
・本治
 ・脈…肝経に緊脈、肺経に軟脈がみられることが多い。  
 ・治療…肝の水穴、肺の土穴により、自律神経を安定させる。
3.脾胃に原因がある
・本治  
 ・脈…肝経と脾経が軟脈であることが多い 。   
 ・治療…肝と脾の土穴で気血津液を補う。 
4.標治(共通)
・耳周辺(特に翳風付近)の硬さや硬結を緩め血流を改善する。
・仙骨部に硬結があれば、それを緩め脳脊髄液の循環を改善する。      
・後頚部や後頭部に硬結、圧痛、ブヨッとしたものがあれば、刺鍼により血

 流を改善する。

 

付記
随症療法第1巻9号で、岡部素道氏は頭部・頚部・肩背部・腰部・腹部等の硬結を取ることの重要性を指摘されています。