自分自身のギックリ腰治療

9月16日土曜日、台風18号は沖縄から九州に向かっていました。既に秋雨前線は刺激され雨模様。乾燥器無し洗濯機の我が家は、コインランドリー頼みとなっています。
少なくとも2、3日は雨だろうと判断し、久々にコインランドリーに行くことにしました。想定は20分乾燥でしたが、ボーッとしているのはもったいないため、本と携帯型老眼鏡を持って行きました。ところが、なんとケースの中はカラ。中身の眼鏡が入っていません。ガーン。

10年程前に行ったレーシックの完全補正手術により、視力は小学校時代をしのぐ「2.0」、おそらく今も「1.5」は維持していると思います。これにより、眼鏡がないと本を読むのはかなり苦しいことになっているのですが、目を極力細め、全神経を眼に集中させることで、厳しいながらも読み始めました。

一方、背もたれのないイスは腰が痛くなりやすいので、普通であれば意識して、あるいは無意識に体を微妙に動かし、腰を固まらないようにしているようなのですが、この時は、少なくとも20分間ほぼ固定状態だったと思います。これが、おそらく「ギックリ腰」の原因だと思われます。

 

眼鏡が下のケースに入っていれば。。。

「うっ!?」

テーブルに両手をつき、思いっきり腕の力を使って、立ち上がりました。数歩あるくと痛みは緩和され、腰を曲げたり捻ったりしなければ生活はなんとか問題なさそうです。明日は、年1回の相澤良先生を囲む会が都内で行われるため、何とかせねばと思い、就寝前に鍼治療を試みました。

頚や肩のこり、口内炎、花粉症、風邪の初期、体調不良時、謎の足首痛など、自分への鍼治療はめずらしくないのですが、腰はうつ伏せの状態で行うことになります。腕を動かすと背中の筋肉は緊張し硬くなり、体を動かすと場合によっては筋力により鍼は曲がります。折れる心配はありませんが、筋肉のとっては好ましいものではないと思います。
受傷当日のギックリ腰の治療は、遠隔部への置鍼、原発部位への単刺(刺したら、すぐに抜く)が基本ですが、この日は様子見という意識もあり、骨盤上方の圧痛部5、6か所への単刺のみとしました。

翌朝、起床時の印象は良かったのですが、残念ながらほとんど変わらない状態でした。ただ、両手を頼りにすれば立ち上がることは可能で、「ズキッ」とくる動作時の鋭い痛みも一瞬なので、予定通り会には出席できました。座っていた時間は約3時間+アルコール摂取が良くなかったのか、その日の夜は悪化しました。この日を「10」とすると初日の昨日は「7」という感じです。

現在、業務委託による訪問の仕事も行なっているのですが、半分がマッサージです。そのため「何とかしないとまずい!」という状況に追い込まれることとなりました。


9月17日の夜は受傷後40時間位たっており、炎症はないと判断して全て置鍼としました。背中の上方、肩甲骨下部付近も、腕が届く範囲で圧痛を探し、両手をモゾモゾさせながら、何とか刺入しました。おそらく理想的な刺鍼ポイントからは1cm近くずれていたかもしれません。こうして、15本程刺鍼し、約15分間置きました。この結果、翌日の痛みは「7」に戻ったという感じでした。


18日も同様に行いましたが、この日は居眠りしてしまったこともあり、結果的に1時間近く置鍼することになりました。前日から既に筋肉の改善は進行していたと思いますが、おそらく、この長い置鍼時間もプラスに働いたものと思います。幸いにも翌日の痛みは「3」くらいまでに改善されていました。

手を使うことなく、立ち上がることもできるようになり、ほぼ自然に動けるレベルになりました。最もホッとしたのは、バックでの駐車です。特に右に捻る動作では激痛があり、痛みを我慢し、歯を食いしばって車を何とかとめていたのですが、この気になっていた、危険な事態も回避できました。

 

21日夜、残念ながら痛みはほぼ「3」で横ばい状態でした。しつこい痛みが骨盤直上、背骨近くの奥の方に感じます。最も疑われる筋肉は多裂筋です。一瞬の鋭い痛みはないのですが、イスから立ち上がり、背筋を伸ばすと2、3秒、ズーンとする嫌な鈍痛が後を引く感じです。

そこで3日ぶりに自己治療をすることにしました。今回の体勢は横向き、鍼は寸6・3番(長さ50mm・太さ0.2mm)という少し長く、少し太い鍼を使い、体勢的に刺鍼可能な範囲の圧痛ポイントを狙って単刺+雀啄(鳥がクチバシでつつくような刺激を加える手法)で施術しました。刺入の深さは場所によりますが、3~4cm程だと思います。この際、1ヵ所、トリガーポイント(関連痛を伴う硬結)をヒットした時にみられる「ビクッ」とする局所短収縮(LTR)がありました。また、鍼尖に粘りつくようなゲル状の感触がありました。こうして、この施術により奥にくすぶっていた硬いブツと緊張はだいぶぬけた印象があり、翌日は1.5」になっていました。

 

「脊柱(背骨)を支えるために強力で重要」といわれる多裂筋(今回は場所的に腰多裂筋)が、イスに腰掛け、やや前傾となっている上体を、地面から引っ張るように存在する重力に対抗し、緊張を維持したまま、約20分間必死に支え続けた結果の産物だったのだろうと思います。

 

画像出展:「肉単」

出版:エヌ・ティー・エス

今回の自己治療を通して、再確認できたことは、ギックリ腰の治療は遠隔治療および30分以上の長い置鍼と、単刺・雀啄で圧痛、硬結をピンポイントで狙うことが最重要であるということです。そして、良い睡眠(早寝+睡眠時間)も忘れてはいけない大切なポイントだと思いました

 

画像出展:GATAG

運動器エコー

「月刊スポーツメディスン8月号 No.193」の特集は「運動器超音波がもたらす新しい診療」でした。また、副題は「エコーガイド下の治療、エコーでスタッフ連携」となっています。
そして寄稿は次の4つです。
1.第2世代の幕開け!進化続ける運動器エコー:ソニックジャパン株式会社 代表取締役 松崎正史氏 
2.日本から世界へ!進化続ける運動器エコー:帝京大学スポーツ医科学センター 同大学医学部整形外科講座、医療技術スポーツ医療学科 笹原潤先生
3.超音波診“断”から超音波診“療”の時代へ:横浜私立大学運動器病態学教室、同大学付属病院整形外科 宮武和馬先生
4.スポーツ医学の本場Stanford大学での挑戦:PM&R(Physical Medicine and Rehabilitation) Orthopaedic Surgery, Stanford University 福島八枝子先生

 

「月刊スポーツメディスン8月号 No.193」

出版:ブックハウス・エイチディ

運動器エコーについて、「月刊スポーツメディスン」では、既に2008年から次のようなタイトルで特集が組まれていました。10年近く前から始まっていたということを知り、たいへん驚きました。
・2008年…「スポーツに役立てる超音波診断装置」
・2011年131号…「超音波 診断から診療へ-整形外科領域で進むエコー革命」
・2012年141号…「運動器超音波解剖-コメディカルが動画で診る時代」

今回のブログは、8月号 No193、4つの寄稿より「運動器エコーとはどんなものか」を知ることを目的にまとめてみました。

 

1.整形外科で使われる主な画像診断装置
 ・主にネットで調べた情報を元に、レントゲン(X線)、CT、MRI、超音波の特徴を表にし

  ました。右端の「超音波」は手軽にしかも静的、動的と機能性高く軟部組織をみることが

  できる優れた装置であることがわかります。

2.整形外科の問題点
・『私が今、整形外科とスポーツ整形について思っている問題点は、たとえば首が痛いとか、膝の裏が痛いとか、そういう訴えについて、とくにレントゲンなど画像上も問題がなければ、病態もわからないまま“筋肉の痛み”と決めつけ、「痛み止め、湿布、リハビリで」という治療が一般的になっているということです。(宮武和馬先生)』
・『今後は、おそらく内服、外用、リハビリオーダーは、人工知能(AI)でできるようになる可能性が高いです。当面、我々整形外科医が取り組むべき課題は、やはり手術あるいは注射ということになると思います。では手術だけでいいのかというと、整形外科と名乗る以上は、関節外にも注目すべきだと思っています。海外では整形外科のみでなく、PM&R(Physical Medicine and Rehabilitation)という分野ができています。そこでは、エコーガイド下で、注射をしたり、手術を行ったりしています。つまり、関節外に対してアプローチする専門家がいます。日本には、「リハビリテーション科」があり、多くのリハビリ科医は主に脳卒中などのリハビリを行い、運動器のリハビリは、まだそこまで注目されていないところがあります。その意味で、わが国でもPM&Rの概念をもう少し整形外科やリハビリ科が取り入れてもよいのではないかと思っています。(宮武和馬先生)

 

3.Fascia (ファシア)とは
・Fasciaの定義については、「人体の張力ネットワーク 膜・筋膜 最新知見と治療アプローチ」の監訳者であり、首都大学東京の竹井仁先生の序文を引用させて頂きます。


Fascia(膜・筋膜)は、身体全体にわたる張力ネットワークを形成し、すべての器官、あらゆる筋・神経・内臓などを覆って連結しています。筋膜に関する研究はここ30~40年ほどで大きく発展しました。それまでは、皮膚、浅筋膜、深筋膜などをいかにきれいに取り去り、筋外膜に覆われた筋を露出させるかに力が注がれてきました。また、どの筋が骨を介してどのような作用をするかに関しての研究が主流でした。
しかし、生体においては、筋群の最大限の力が骨格への腱を経て直接的に伝達することは少なく、筋群の作用は、むしろ筋膜シート上へと、収縮力あるいは張力の大部分を伝えることがわかってきました。また、これらのシートは、共同筋ならびに拮抗筋にこれらの力を伝達し、それぞれの関節だけでなく、離れたいくつかの関節にも影響をおよぼすことも明らかになってきたのです。さらに、筋膜の剛性と弾性が、人体の多くの動的運動において重要な役割を果たすことも示されてきました。これらの事実は、新しい画像診断や研究手法の開発によって飛躍的に明らかになってきました。
2007年10月にHarvard Medical Schoolで開催された第1回国際筋膜研究学術大会(The 1st International Fascia Research Congress)において、「Fascia」は、「固有の膜ともよばれている高密度平面組織シート(中隔、関節包、腱膜、臓器包、支帯)だけでなく、靭帯と腱の形でのこのネットワークの局所高密度化したものを含む。そのうえ、それは浅筋膜または筋内の最奥の筋内膜のようなより柔らかい膠原線維性結合組織を含む」と定義されました。

 

「人体の張力ネットワーク 膜・筋膜 最新知見と治療アプローチ」

出版:医歯薬出版

 

下の図は上の写真をイラストにしたもので、

外側から[皮膚]ー[浅筋膜]-[深筋膜]になります。

 

「アトラスとテキスト 人体の解剖 」

出版:南江堂

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『「感覚神経は筋肉を包むfasciaに多く存在している」という論文が2011年に出ています。要は筋肉内ではなく、それを包むfasciaに感覚神経がたくさんあるから効くのだという理論です。』

画像出展:「月刊スポーツメディスン8月号」

4.「エコーガイド下の治療」について
・はじめに
 ・「エコーガイド下の治療」ということに焦点を当て、寄稿の中から特に重要と感じ
たもの

  を取り上げました。

 ・「エコーガイド下の治療」に焦点を当てた1番の理由は、見ることができなかった筋肉や

  Fasciaを静的だけでなく動的にも見ることができ、確認しながら治療ができる。この進歩

  は革命的であると考えたためです。

・使いこなすには 
 ・エコーはゼリーを塗って、プローブを患部に当てれば見えます。操作はとても簡単ですが

  、課題は何が見えているのか分かること。これはエコーの問題ではなく解剖の知識の問題

  です。つまり、勉強により解剖の知識を高めることが必須になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この写真は、腰部多裂筋をターゲットとして、エコーガイド下の注射を行っているところです。(写真の下方が頭です。エコーで筋肉や筋膜などの状態を確認しながら、背骨の際に注射しています)

画像出展:解剖・動作・エコーで導くFasciaリリースの基本と臨床―筋膜リリースからFasciaリリースへ 」

出版:文光堂

・ハイドロリリース
 ・「ハイドロリリース」はエコーガイド下での注射によるfasciaリリースを提唱している

  川洋至先生が産み出した用語です。この概念は海外でもハイドロダイセクション

  (hydrodissection)という用語で通じますが、海外での利用はほとんどが絞扼性神経障

  害に使われています。

  一方、日本では生理食塩水を使い、どこのfasciaでも、例えば寝違え肩こりだったら肩甲

  挙筋と僧帽筋の間だったり、肩が挙上できない、外旋できないだったら、烏口上腕靭帯に

  というふうに行われています。
 ・理想は体液に更に近い組成のリンゲル液です。ビカネイトという点滴に使われる液体だと

  全く痛くない注射ができます。(生食の場合、少し痛い)
 ・現在、広く流布している「筋膜リリース」と区別するために超音波で見えている現象を言

  葉にして定義されました。(2017年3月頃)
 ・『現在、自分が思っている理論は、筋肉と筋肉の間のfasciaに対して、たとえば動きが悪

  くなっているところに対して、生食を打ってあげる。癒着という大それたものではなく、

  イメージになってしまいますが、私はadhesion(接着)と呼んでいます。

  (宮武和馬先生)』

 

 

画像出展:「月刊スポーツメディスン8月号」

 ・利点
  ・薬液はキシロカインやメピバカインなどの麻酔薬やステロイドである必要はなく、副作

   用のない生理食塩水(生食)が使える。

  ・今まで見えなかった軟部組織が把握できる。深層筋の状態もわかる。 
  ・動かしながら見ることができる。
  ・診察室のベッドサイド使える。ポケットエコーを使えば外出先でも使える。

  ・診断的治療ができる。(数mm単位で注射できるので効果の有無で病態の弁別が可能)
   ・精度の高い診断によりPT(理学療法士)との連携が良くなる。
   ・エコーガイド下での注射は、痛い組織をエコーで見て、そこで針を持っていくこと

    ができる。(従来型を「ブラインド注射」という)

 

日本では薬事法により医療機器は安全が担保されていなければならず専用機が必要です。

 

画像出展:「月刊スポーツメディスン8月号」

・活用例
・トレーナーも使っていて、医師不在のときはトレーナーからエコー画像をメールで送ってもらっている。
『たとえば、これはアキレス腱断裂に対し保存治療を行っていた選手です。受傷1週で外固定をスプリントから装具に変更し、エコーで見ながら可動域訓練を開始するといった積極的な保存治療を行っています。この選手については、受傷1週の時点は自分がエコーで診たのですが、翌日からアメリカへ出張しなければならず、それから2週間は自分が直接診察できないといった状況でした。普通でしたら、その間どうしようとなるのですが、当センターではその間もトレーナーがエコー画像を動画で送ってくれるのです。静止画ではわからない断裂部の接着状況を、アメリカにいながら送ってもらった動画で確認することができました。(笹原潤先生) 』

 

画像出展:「月刊スポーツメディスン8月号」

・アメリカの運動器エコー事情は進んでいる。
『先日、アメリカの運動器エコー事情を視察するため、松崎さん(ソニックジャパン株式会社 代表取締役)とピッツバーグに行ってきました。ピッツバーグの大西賢太郎先生(PM&R科)のもとを訪れ、クリニックでの外来診療の様子やレジデントへの教育などを見学してきました。膝前十字靭帯損傷や半月板損傷の診断をエコーで行っていたり、エコーガイド下手術の専用機器があったりと、日本との違いに驚くこともありましたが、その一方で、日本の技術力の高さ(プローブの性能など)にも改めて気づかされました。(笹原潤先生)』 


・診断と治療~動的診断への挑戦~
『では、どう診断、治療するかというと非常に難しい。やはりまだ診断する力が足りていないと感じるのが現状ですが、やはりここだろうと思っているところと、圧痛や身体所見を使って診ていきます。私の今の見方は、簡単な身体所見をとって、ある程度どこの筋肉が悪いかを診ていきます。「ここが痛い」と本人が言うのはあまり当てにならないので、そこを目安に圧痛を診ていきます。圧痛が非常に大事で、痛いところが全然違うところに隠れていることもあり、それをある程度予想して圧痛部位を探っていき、それに対してエコーを当てて、そこに何があるか組織を確認します。筋肉だけと思いきや、そこの下に神経があったりということが多くあります。つまり、身体所見と圧痛、それを静的にエコーで確認して、何の組織があるかを見ていく。さらに最近は動的診断、動かして診ていく。これがやはりエコーの一番の武器なので、動かして診断しエコーガイド下でハイドロリリースを行う。身体所見、圧痛、エコーを組み合わせないとこういう注射は実現できません。(宮武和馬先生)』


5.アメリカのエコーガイド下治療 (福島八枝子先生)
・『日本とアメリカの最も大きな違いは、整形外科surgical科とPM&R科(整形外科のnon‐surgical科;運動器保存療法)(PM&R:Physical Medicine and Rehabilitation)が明確に分かれていることです。整形外科surgical科とPM&R科間の診療連携は非常に密ですが、医師自体はまったく異なった臨床研修プログラムを経ており、PM&R治療概念は日本国内の一般的な整形外科保存療法の延長ではありません。まったく異なった診療科として存在しているという背景です。PM&R科が提供する治療の1つに超音波ガイド下注射と超音波ガイド下最小侵襲手術があるのみです。注射では、日本国内ではあまり馴染みがありませんが、こちらでは圧倒的に再生注射です。PRP(Plate rich plasma)やstem cell注射が主流です。ぼろぼろになって摩耗した関節軟骨や靭帯を再生させたいと医療者も患者も大いに期待を寄せています。また、慢性・難治性腱障害などには超音波ガイド下最小侵襲手術による治癒促進や不良瘢痕組織の除去が必要となります。手術デバイスの開発が進んでいます。』

 

画像出展:「月刊スポーツメディスン8月号」

超音波を使って筋肉の硬さを測る

今回のブログは、「月刊トレーニングジャーナル 2017 8 No.454」の特集「ケガや不調を防ぐヒントとアドバイス」から「骨格筋の硬さ情報をケガの予防に活かすための基礎研究 -超音波を使って硬さがわかる」を取り上げました。この寄稿の筆者は、稲見崇孝先生(慶応義塾大学体育研究所)です。他の2つのテーマは「不測の事態を予防する取り組み」と「トレーニング分野との協業で傷害予防を」となっています。

 

月刊トレーニング・ジャーナル 2017年8月号(通巻454号)

発行:ブックハウス・エイチディ

サブタイトルの「超音波を使って硬さがわかる」とあるように、主役は筋肉と超音波診断装置のお話です。整形外科で最も利用されているX線検査では筋肉は写りません。

一方、MRIは大掛かりな装置であり、ダイナミックな筋肉を対象とする画像診断装置としては、重厚長大な感じは否めません。
その点、超音波診断装置は機能性に優れ、リアルタイムで筋肉を診断できる素晴らしい画像診断装置です。また、表面筋電図では難しい深さの情報にも対応できる点も魅力です。
話はそれますが、私はMPS研究会(MPSとは筋膜性疼痛症候群)という会の会員になっています。この会は木村裕明先生(木村ペインクリニック)が会長をされており、整形外科や麻酔科、ペインクリニックの先生を中心に筋膜性疼痛症候群(MPS)に対し、超音波診断装置の活用に積極的に取り組まれています。

 

こちらは2017年3月に出版されたものですが、木村裕明先生は編集主幹をされています。

Fasciaとは筋膜、靭帯、支帯、関節包、傍神経鞘などの線維性結合組織を包括する概念です。

(吉岡紀夫先生の「筋膜療法 Fa・ther」を熟読するという宿題があり、まだ読めていません)

 

発行:文光堂 

寄稿のなかでは、組織の硬さをリアルタイムで画像化する超音波エラストグラフィ(Ultra Sound Elastography:超音波組織弾性映像法)という新しい装置が登場しています。

 

ネット検索で見つけたエラストグラフィに関する2つのサイトをご紹介します。
1.JRA日本中央競馬会 競走馬総合研究所 (下左図)

・なんと!ヒトではなく馬の画像です。従来(白黒)の画像とエラストグラフィ(カラー)の画像の比較が分かりやすかったため載せました。 
2.がんなび (下右図) 
・複数のメーカーが製品化していると思いますが、この記事では日立メディコが筑波大学との共同研究で実用化し、2003年末から販売されているとのことでした。なお、このエラストグラフィの装置は、日立製の超音波装置に追加できるユニットになっているそうです。


 

こちらは過去に大腿直筋を損傷した選手が筋収縮しているときの画像です。左大腿部は筋の形が変形しており、見ためは左右差が顕著ですが筋力には差がないとのことです。

 

画像出展:月刊トレーニング・ジャーナル 2017年8月号(通巻454号)

稲見先生は、この状態に対し疑問を提示されています。

『たとえば膝関節の伸展筋力は大腿直筋、外側広筋など4つの筋で構成された大腿四頭筋の力です。大腿直筋の肉ばなれを起こした選手がいたとして、大腿四頭筋全体の筋力の回復をもって現場に復帰したり、左右差なしと言うだけで本当によいのかどうか。個々の筋の状態をそもそもダイナミックに評価できないのかという思いがありました。パラリンピックに出場する選手の中には普段鍛えにくい筋が非常に肥大している場合があることを考えると、ある部位の損傷によって損傷していない他の協同筋が適応もしくは代償した可能性もあるわけです。それで最終的に左右で同じ値になったとしても、中身は違うのではないか。外からみた動きが本当に正しいのか、と思います。
必要となるのは、個々の筋を細かく評価するツールですが、超音波エラストグラフィはそれを可能にする診断装置です。たとえば、予防トレーニングでは左右差も1つの評価項目ですが、関節角度が左右同じであっても(同じように筋収縮していても)、貢献する筋の硬さ情報が違うといったことが観察できます。予防トレーニングを実践する選手にとっても、見やすく色づけされた動画であることは納得しやすいと思います。』

 

画像出展:月刊トレーニング・ジャーナル 2017年8月号(通巻454号)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは腓腹筋の硬さを縦軸、収縮強度を横軸に取ったグラフです。このグラフについて、稲見先生は次のように解説されています。
『最大筋力を100%としたとき、少しずつ収縮強度を上げていくとどうなるか。健常側では直線的に上がっていくグラフとなっており、これは先行研究の通りです。一方、肉ばなれ後の脚は低強度から一気に硬くなってしまいます。15%強度の硬さが、健常例の45%強度に相当しています。筋の硬さは筋活動と正相関の関係にあるため、これだけ硬いということは、同じ出力で筋力に左右差はないのに過活動しているということになります。また、活動量が多いことも硬さを上げる要因であるため、中枢からの指令も違っているはずです。中枢についてはまだ詳細に測れていないのですが、部位を局所的に見ると瘢痕化していて実際に筋が正常な収縮をできる状況にありません。よって少なくともこのような事例では局所的に起こっている潜在的な問題があると考えています。
つまり本来はいくつかの協同筋と一緒に活動しないといけないのに、ある特定の筋だけが頑張っているということが起こり得るので、これをトレーニングやリハビリテーションとして改善・予防していくために必要な取り組みがあるのではないかと思います。』

先にご紹介した大腿直筋を損傷した選手の話に戻りますが、何故、詳細な評価を受けたのか、その理由が説明されていました。

リハビリして現場に戻ったのち、左右差がないのはわかっているが、過去にケガをしたほうの太ももの付け根(大腿直筋近位)にのみ疲れがたまるという「なぜ」がありました。陸上短距離の国際大会に出場する選手なのですが、その部位だけ疲れてしまって動けなくなる、脚があがらなくなる、反対の脚では起こらないということでした。MRIでは瘢痕が確認できました。エラストグラフィで硬さを測定すると、受傷側は安静時でも健常側より硬く、さらに筋電図で大腿部の上部から下部まで細かくみてみると活動の序列が崩れていて、訴えのあった疲れる箇所の過活動が確認されました。
これから、再度損傷しないように予防していくために、柔軟性トレーニングと並行して股関節屈曲トレーニングより膝関節の伸展トレーニングを増やすなどのトレーニング時期を設けました。なお、この選手の受傷機転は運動会での競争中、走り始め3歩目くらいでぶちっと筋がきれる音がしたとのことだったのですが、片づけが終わるまでアイシングなどの処置ができなかったことにも問題がありました。テーピングをして2週間後の大会に出場していることから、一般的によく起こりうるレベルの肉ばなれかと思いますが、軽視・放置してはならない事例だと言えます。』


まとめ

腓腹筋の肉ばなれ後の硬さの問題や、陸上短距離選手の事例を拝見すると、気になる筋肉ごとの硬さをダイナミックに測定できることは、選手に起きている症状の分析を容易にし、リハビリや予防トレーニングのメニューを正しい情報に基づき最適化できるということなので、超音波エラストグラフィは筋肉の最新状況を分かりやすく見せてくれる頼もしい診断装置であると思います。

宮市選手の怪我について(足関節捻挫)

先月(ドイツ時間6月28日)、宮市選手が所属しているドイツ・ブンデスリーガ2部のザンクト・パウリは、宮市選手が紅白戦で右膝前十字靭帯断裂の大怪我を負ったことを発表しました。
圧倒的なスピードを武器に、高校卒業後ヨーロッパサッカーに挑戦。大きな魅力と可能性をもった宮市選手の負傷は大変残念なニュースでした。
私も「慢性怪我病」に悩まされたサッカー人として、どういうことになっているのか、今までの経緯などを知りたくなり、ネット検索で宮市選手の怪我の履歴を調べてみました。

 

2011年11月 左足首捻挫
2012年4月 右肩負傷
2012年11月 右足首靭帯損傷
2013年3月 右足首靭帯損傷
2014年3月 左ハムストリング損傷
2015年7月 アキレス腱痛
2015年7月 左膝前十字靭帯断裂
2016年9月 右脚肉離れ
2017年6月 右膝前十字靭帯断裂

 

大雑把に言うと、「足首捻挫→肉離れ→膝の靭帯」という経緯ですが、私の場合も同じようなパターンでした。もっとも、ボールを蹴るスポーツであるサッカーにおいて、擦り傷や打撲を除くと足首の捻挫が多いのは十分に予想されるものです。一つ気になるのは、多くのサッカー選手は足首捻挫を楽観的に捉えてはいないだろうかという懸念です。

高校生の私は、「捻挫なんてたいした怪我ではない」とまじめに考えず、酷いときは全く伸縮性のない幅広のガムテープを持ち出し、足首をガチガチに固定して試合に出たこともありました。自分の体を大切にしない愚かな行為で体は悲鳴をあげていたと思います。

このように足首の捻挫は無理すればプレーできてしまうところに大きな問題点があります。
宮市選手などの一流アスリートの中にも、厳しい競争に直面している状況などから、受傷後の適切なケアが十分ではない選手も多いのではないかと想像します。
そこで、「適切のケア」とはどういうものなのか、今更ですが、謙虚な気持ちで「足関節捻挫」を理解し、どのような対応を取るのが良いのか調べてみました。
今回、勉強の材料とさせて頂いたのは「足関節捻挫予防プログラムの科学的基礎」という本です。ブログは主に第2章(足関節捻挫)の「足関節内反捻挫の病態と予後」から、そして、サッカーに関する内容を中心に取り上げています。

 

監修:福林徹、蒲田和芳

出版社:ナップ 

この本は文献を調査分析した内容となっています。文献検索はPubMedを用い、「epidemiology(疫学)」「ankle(足首)」「sprain(捻挫)」などの用語と各種スポーツ名を組み合わせて検索した結果、1,831件が抽出され、29文献が第2章で選択、参考とされました。

その、第2章の概要説明は次のような書き出しになっています。
『足関節捻挫はスポーツ外傷のなかでも発生頻度が高い疾患である。しかしながら治療が十分でなかったり、機能低下を残したままスポーツ活動に復帰する例が多く、再受傷の頻度が高い。この理由としては、ある程度の期間休んでいると疼痛が軽減することや代償的な動きにより日常生活やスポーツ活動ができてしまうことなどから、機能改善のためのリハビリテーションが十分に行われないことがあげられる。そして機能低下が残存した状態で競技復帰した選手は後遺症に悩まされる可能性が高い。』

これは、40年前とほぼいっしょ。やはり、選手側の実状は変わっていませんでした。


上の2枚の絵は、捻挫の受傷例を紹介しています。

いずれも、「足関節捻挫予防プログラム」からの出展です。

 

 

左は「外反」と「内反」を紹介した写真です。

足首の捻挫としては圧倒的に内反の捻挫が多くなっています。

画像出展:「人体の正常構造と機能」

出版会社:日本医事新報社

 

足関節捻挫の疫学
1.サッカーに見られる特徴
・文献では、足関節外傷の発生率は11~31%であり、そのうち足関節捻挫は60~70%です。他のスポーツと比べると外反捻挫(三角靭帯、前脛骨腓靭帯)の発生率の高さが特徴です(17.7%=14.3+3.4)。これはインサイドキックをやシュートブロックの際にボールが足尖付近に当たることでの受傷やボールを蹴る際、軸足に対して外側からのタックルなどでの受傷が多いためと考えられます。

 

画像出展:「足関節捻挫予防プログラム」

出版会社:ナップ

 

 

 

 

 

 

前距腓靭帯は、下の左図(外側面)、三角靭帯は、右図(内側面)に出ています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 画像出展:「人体の正常構造と機能」

・文献の中に内側縦アーチの高さと捻挫の発生率の関係を報告したものがありました。
自分自身の話になりますが、私は偏平足です。ということは代表的な「ローアーチ」に分類されます。下段のグラフは「イスラエルにおける女性国境警察学校の訓練期間における足関節捻挫」の調査でサッカーとは無関係ですが、この調査データを見ると、初回捻挫でも「正常」の倍以上の発生率となっており、「再発捻挫」は数倍の発生率になっています。つまり、ローアーチでは慢性捻挫への移行リスクが非常に高いということがわかります。
つまり、偏平足の選手は正常の足の選手に比べ、例えば、予防のためのテーピングや、練習後のケアなどに時間をかけ、人一倍、足関節捻挫、特に再発捻挫に注意しなければならないということが分かります。


上左図は、内側縦アーチ(土踏まず側で衝撃吸収)・外側縦アーチ(バランス保持)と横アーチの図です。出展は「人体の正常構造と機能」からです。 

 

 

左図は「足関節捻挫予防プログラムの科学的基礎」からの出展です。ローアーチの受傷が圧倒的に多くなっています。

・下のグラフはサッカーの試合時間と足関節捻挫の発生率のグラフです。勝敗を左右する前後半の終盤の攻防、特に後半は負けているチームは、疲れたディフェンス陣を切り裂くような俊敏なフォワードを投入してきます。こうなると、疲労のピークの中で体を張ったぎりぎりのプレーが求められますので、捻挫に限りませんが怪我の確率は高まります。
対策は鍛えることです。120分走りきる走力や止まれる体をつくることです。そして、怪我への意識を高め、必要十分なケアを日々心がけることだと思います。

 

画像出展:「足関節捻挫予防プログラムの科学的基礎」

2.損傷部位
・急性足関節内反捻挫の調査では、損傷部位が多岐に渡っていることが明らかになっています。
 ・足関節・足部の骨折
 ・骨軟骨損傷
 ・靭帯損傷
 ・腱損傷
 ・神経損傷

 画像出展:「足関節捻挫予防プログラムの科学的基礎」

・MRIによる急性内反捻挫の損傷部位の調査では、次のように報告がありました。
 ・外側の軟部組織
  ・96%…前距腓靭帯
  ・80%…踵腓靭帯
  ・27%…短腓骨筋
  ・13%…長腓骨筋
 ・内側の軟部組織
  ・53%後脛骨筋 
  ・13%…長母指屈筋
  ・ 7%…長指屈筋
  ・ 6%…三角靭帯

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

画像出展:「人体の正常構造と機能」

このMRIによる調査で注目したいのは、内反捻挫でも内側に損傷が発生することで、特に後脛骨筋が50%超えているというところです
後脛骨筋については、過去のブログ(後脛骨筋腱機能不全症)で紹介させて頂いているのですが、ここでは「トリガーポイントマニュアル(トリガーポイントの原点ともいうべき書。著者はJanet G.TravellとDavid G.Simons)」から後脛骨筋のトリガーポイントをご紹介します。この本には各筋肉毎にキャッチフレーズのような見出しがついているのですが、後脛骨筋は「ランナーの強敵(邦題)」となっていました。
慢性捻挫でアキレス腱から内果付近に疼痛があって、この絵の「✖印」付近に棒状の硬結があり、押すと、思わず「ウッ」となる強い痛みがある場合は、後脛骨筋のトリガーポイントが原因になっている可能性が考えられます。

3.重症度分類
・グレードⅠ…靭帯の損傷がなくストレッチされた状態でわずかな腫れと圧痛があり、わずかな機能低下があるかないか、構造的な関節の不安定性がない状態
・グレードⅡ…中等度の疼痛と靭帯の部分損傷があり、損傷部位付近の圧痛と腫脹があり、可動域制限と軽度から中等度の関節不安定性を有する状態
・グレードⅢ…靭帯の完全損傷で、強い腫脹、出血、圧痛、機能低下、異常運動と関節不安定性がある状態

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

徒手検査では完全断裂のケースを除いて正確性に課題があります。正確な損傷部位の診断にはMRIによる画像診断が必須です。

画像出展:「整形外科徒手検査法」

4.腫脹
・腫脹は足関節の内反捻挫に起こる代表的な徴候の一つです。
・MRIを用いた観察した報告では、足関節捻挫直後に腫脹が認められた例は108例中23例(21.3%)です。腫脹は捻挫直後から徐々に減少しましたが、7週以上経過しても数は0にはならず、直後に腫脹した患者の約半数に腫脹が残存していました。
 
5.可動域制限
・足関節捻挫では可動域制限が多くみられます。捻挫後の背屈制限を捻挫3日後と10日後に計測し、比較した調査では差は見られなかったとする報告がありました。

 

6.神経筋機能低下
・急性内反捻挫において96%に損傷がみられる前距腓靭帯には低閾値で反応が速いタイプⅡと、高閾値で反応が遅いタイプⅢの固有受容器があります。その多くは靭帯の付着部に多いのですが、この付着部は損傷部位となることが多いため、靭帯損傷に伴い固有受容器による機能が低下すると考えられています。

 

 

 

画像出展:「足関節捻挫予防プログラムの科学的基礎」

・足関節捻挫受傷後の浅・深腓骨神経の伝導速度を測定した報告では、受傷後4~8日で浅・深腓骨神経の伝導速度が低下し、5週後に差はなくなりました。また、重症度別に受傷2週間後の腓骨神経・脛骨神経の伝導速度の低下の有無を調べた報告によると、グレードⅡでは腓骨神経で17%、脛骨神経で10%、グレードⅢでは腓骨神経で86%、脛骨神経で83%の患者において伝導速度の低下が観察されました。

上左図は総腓骨神経(深腓骨神経・浅腓骨神経)が、左図には脛骨神経が出ています。

 

 

 

画像出展:「人体の正常構造と機能」

6.荷重制限(跛行[歩行制限])
・足関節捻挫では荷重制限はよくみられる症状です。報告の中には、可動域制限が大きいほど患側の歩幅、片脚支持時間が減少し、反対に健側の立脚時の時間が増加したというものがありました。

 

足関節内反捻挫の予後
1.スポーツ復帰
・復帰時期は組織の治癒過程を考慮すべきです。
 ・前距腓靭帯の治癒過程
   1~3週…血管増殖、線維芽細胞増殖、コラーゲン形成
   3週後~…コラーゲンの成熟
   4~8週…コラーゲンの成熟が継続 →この頃から復帰が可能になると考えられている。

       目安は受傷後7週間。
・スポーツ復帰に要する日数
 ・グレードⅠ…8日
 ・グレードⅡ…15日

 

2.後遺症
足関節捻挫の後遺症に苦しむ患者は多く、復帰後6週の時点で復帰選手の55%に後遺症がみられ、6ヵ月後でも40%に後遺症が残ったという報告もあります。
・急性期の圧痛の部位と7年後の圧痛の部位の変化に関する別の報告では、急性期に前距腓靭帯に圧痛があったケースでは、その32%が同部位に、23%が足関節前外側に、16%が内果に、29%が前足部の靭帯に圧痛が存在するとしています。

 

3.再受傷
・グレードⅡ、グレードⅢの捻挫の発生率は、足関節捻挫の既往のあるものに高いという報告があります。
年間3回以上の捻挫を慢性的な足関節捻挫とし、その発生率について7年間の追跡調査を実施したところ、慢性的な足関節捻挫に移行した患者は全体の11%でした。
 
4.まとめ
・足関節内反捻挫は損傷部位が多岐に及び、症状が持続し、後遺症や再発のリスクの高い損傷です。
・足関節内反捻挫の画像診断は有用です。
・足関節内反捻挫の予後は重症度のほか、足関節の機能や荷重能力などを組み合わせることで予測しやすくなります。

 

できることなら
・足関節内反捻挫を受傷してしまったら、それが「グレードⅠ」と思えば8日間、「グレードⅡ」と思えば15日間、「グレードⅢ」なら15日間以上、この期間は通常の練習を休み、サッカーシューズは履かず、サッカーコートには足を踏み入れず、もくもくとケアとリハビリに集中する。これを守り実践する。
そして、チームスタッフだけでなく、選手一人一人も自分の体のケアを優先するという習慣を身につけること。

これができるならば、と思うのですが。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この図に出ている「バランスボード(アンクルディスク)」は、固有受容覚が関係している神経筋機能を改善するものとして評価されています。

画像出展:「足関節捻挫予防プログラムの科学的基礎」

Big News!(2018年9月21日ドイツ)宮市 亮 選手復活!

宮市亮が復帰戦で自ら祝砲! 2年4カ月ぶりのゴールに雄叫び

宮市選手の不屈の精神に感動します。心から応援します。

画像出展:「SoccerKING」

ハムストリングス肉離れの予防

以前、「肉離れ予防に必要だったこと」というブログをアップさせて頂いていますが、今回の題材は「月刊スポーツメディスン」からになります。

 

月刊スポーツメディスン2017年6月号(通巻191号)

ブックハウス・エイチディ

参考にさせて頂いた寄稿は「運動を制限する要素の考え方① -“スポーツ場面”を題材に運動を制限する要素を組織レベルから考える」筆者は、一般社団法人日本オランダ徒手療法協会代表理事の土屋潤二氏です。現在、サッカーJ3に所属している「SC相模原」のトレーナーとして、フィジカルトレーニングの指導をされています。
寄稿内に登場する疾患、スポーツ傷害は「アキレス腱断裂」と「ハムストリングス肉離れ」の2つですが、ブログでは「ハムストリングス肉離れ」だけを取り上げています。

『独自の問診方法から多角的な視点より仮説を立案する。そして、組織レベルで原因を予想することで、治療テクニック・運動プログラムを選択計画していく。』

1.ハムストリングス肉離れの再発率
・再発率:30.6%
・復帰後1週目:12.6%
・復帰後2週目:8.1%
 →うち全体の約2/3が復帰後2週間以内に再発している。

 

2.ハムストリングスの肉離れのリスク要因と予防

 

画像出展:「月刊スポーツメディスン2017年6月号」(ブックハウス・エイチディ)

 

表にも記載されていますが、〇は「筋力不足」は「柔軟性/可動域不足」△は「それ以外の原因」です。整理すると以下のようになります。また、これらは受傷後のリハビリの課題、そして復帰の指標となるものです。
A.筋力を強化すべき筋肉
 ・ハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋・半膜様筋)
 ・大殿筋
B.筋力のバランスが重要な筋肉
 ・ハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋・半膜様筋)
C.柔軟性を求められる筋肉
 ・腸腰筋
 ・大腿直筋

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

画像出展:「人体の正常構造と機能」(日本医事新報社)

従来から指摘されてきた大腿四頭筋(前面)とハムストリングス(後面)の筋力比(H/Q比)は、最近の研究では関連していないという結果がでているようですが、土屋氏は「関係あり」という見解を持たれています。
また、「エキセントリックな筋力不足」という記載がありますが、「エキセントリック」については、石井直方先生の著書である「究極のトレーニング」から引用させて頂きます。

 

コンセントリックとエキセントリック
『筋の収縮形態には、筋が短縮しながら力を発揮する短縮性収縮(コンセントリック収縮)と、筋が伸張されながら力を発揮する伸張収縮(エキセントリック収縮)があります。バーベルを持ち上げるのはコンセントリック、ブレーキをかけながら下ろすのはエキセントリックとなります。(下図参照)

山を歩いて下ったり、スキーで滑り降りたりする場合は、全体としてみると筋をブレーキとして使うのでエキセントリックです。 山を下りることは、エネルギー的に見れば、山から一気に飛び降りるのと同じです。ただし、飛び降りた場合には、身体が山頂にいるときの位置エネルギーのすべてを着地の瞬間に吸収するため、粉々に壊れてしまいます。歩いて下りれば、このエネルギーを一歩一歩に分散して受け止められます。スキーも同じです。
筋をブレーキとして使うエキセントリック収縮には三つの特徴があります

まず、エネルギー消費が少ないこと。前述のように、エキセントリック収縮では、外界からエネルギーを与えられますので、筋としてのエネルギー消費もきわめて小さくなります。

この外界から与えられたエネルギーのうち、大部分は筋中の微細構造に吸収されます。そこで、筋の微小な損傷が生じ、その周辺に炎症が起こって遅発性筋痛、いわゆる「筋肉痛」になります。筋の微小損傷と遅発性筋痛を起こしやすい、これが2番目の特徴です。
3番目の特徴は、「速筋線維の優先的動員」です。コンセントリック収縮では通常、エネルギー効率のよい遅筋線維から優先的に使われ、負荷が大きくならないと速筋線維は使われません。一方、エキセントリック収縮では、負荷が小さくとも速筋線維から優先的に動員されることが、筋電図解析によって明らかにされています。確かに、筋をブレーキとして使うのであれば、収縮の速い速筋線維から使ったほうがより安全で確実でしょう。』


3.予防のためのトレーニングとストレッチ
 ・6週間を1サイクルとして、徐々に負荷を挙げながらシーズン中繰り返し行う。 
 ・受傷は加速局面の「ダッシュ」より中間疾走の「スプリント」で起こりやすい。
 A.スプリントトレーニング
 ・加速走の特徴は徐々にハムストリングスに張力がかかる走法。100%では走らない。
  ・1/2週目(サイクル1)
   ・30m加速走x6本
  ・7/8週目(サイクル2)
   ・30m加速走x6本
 

  ・3/4週目(サイクル1)
   ・15mインターバル走x10本x2セット
   (インターバル:30秒、セット間休息:2分)
  ・9/10週目(サイクル2)
   ・15mインターバル走x11本x2セット
   (インターバル:30秒、セット間休息:2分)

 

  ・5/6週目(サイクル1)
   ・5mダッシュx6本
   ・15mダッシュx4本
   ・25mダッシュx2本
  ・11/12週目(サイクル2)
   ・5mダッシュx7本
   ・15mダッシュx4本
   ・25mダッシュx2本

 

 B.レジスタンストレー二ング
  ・ハムストリングスのエキセントリックなトレーニング
   ・ヒールスライド(座位で足を伸ばし、片足ごとに踵を使って抵抗をかけながら膝を

    屈曲させていく)
   ・スクワット

 

 C.ストレッチ
  ・腸腰筋、大腿四頭筋、ハムストリングスの硬さをチェック 
  ・股関節屈曲/伸展に対して可動域制限がないようにストレッチを行う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腸腰筋のストレッチ例

大腿四頭筋(大腿直筋を含む)のストレッチ例

画像出展:「痛みが楽になる トリガーポイント ストレッチ&マッサージ」(緑書房)

「肉離れ予防に必要だったこと」

今回のブログは、この「月刊トレーニングジャーナル 2017 1 No.447」の特集の中から「肉離れ予防に必要だったこと -正確な把握と適切な対策、伝える努力」を取り上げています。

特集は全部で4つあり、他は「予防の考えを浸透・継続させる取り組み」、「予防できる環境を整えるために」、「育成時代のコンディショニング」になります。

「肉離れ予防に必要だったこと」を選択したのは、何といっても、私自身が散々肉離れとおつきあいしてきたという経緯があり、非常に興味深く、また多くのスポーツ関係者にとって役に立つものと考えたためです。記述は特に印象に残った部分を列挙する形式とさせて頂きました。
筆者は内藤重人氏、読売巨人軍二軍トレーニングコーチ兼医療コンディショニング副室長です。関係者を巻き込んだ、緻密な調査・分析に基づいた素晴らしい内容となっており、実際に肉離れによる戦線離脱者の激減に成功されています。


1.障害予防マニュアルの作成
 ・2015年シーズン、春季キャンプ中の2月16日から6月16日までの約4ヶ月間に、一軍選手9名(11

  件)、二軍選手3名(4件)の肉離れが発生し、これが戦力ダウンに結び付いた。
 ・現場、球団の上層部から、予防のための教科書になるようなマニュアル作成の依頼があった。
 ・春先のケガは野球に限らずどのスポーツにも起きる。原因がわかれば予防できると考えた。
 ・マニュアルを作成するにあたり、選手のコンディショニング及び障害予防に携わるスタッフであ

  るトレーニングコーチ、理学療法士、トレーナーがそれぞれどんな考えを持っているのかをヒア

  リングした。
 ・なぜ肉離れは起きたのか、なぜ野手なのか、なぜシーズン序盤なのかをキーワードに原因を探っ

  た。
 ・スポーツ医科学に関するさまざまな情報を集めるため、JISS(国立スポーツ科学センター)、病

  院、大学、さらに日本肩関節学会、JOSKAS(日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会)、日本整

  形外科スポーツ医学会、日本臨床スポーツ医学会などから、症例や論文など大変参考になる情報

  を頂いた。

このマニュアルは、ユニフォームのポケットに収まるサイズになっているそうです。(素晴らしい!)

2.肉離れとは何か
 ・マニュアル作成を始めてから月に数回「C(コンディショニング)会議」を開いて、球団フロン

  トを含む5~6名で昨年の肉離れ発生原因を検証した。
 ・実は、肉離れの定義が難しく、そのため治療や評価のノウハウが曖昧な状況だった。そして、定

  義を考える上で、肉離れのMRI画像から専門医は何を診るかということが参考になった。特に出

  血像が重要になるが、出血像の多少と重症軽症を安直に結びつけるべきでなく、出血像が少ない

  からといって安易に復帰させるべきではない。
 ・肉離れの定義は、二関節筋を中心とした羽状筋で、筋腱移行部に起こりやすい筋膜・腱膜の損傷

  であると考えている。
 ・肉離れの定義を限局して考えることにより、その対処法を明確にするという根本をおさえること

  が、予防に取り組むうえでも大事である。このことが今回一番の収穫だった。


3.野球の特性を踏まえて
 ・攻守交代は身体を冷やすことになる。肩については何度か送球して準備するが、下肢に対する準

  備は不足しがちであり、ケガをしやすい要素をもっている。
 ・今回の検証から、肉離れは複合的な問題で起き、何か単一の原因を突き止めるのは難しいという

  ことが分かった。
 ・下腿(腓腹筋、ヒラメ筋)の肉離れは加齢との相関が高いことが報告されている。
 ・ハムストリングスの肉離れに関して、走塁の局面ではファーストベースを駆け抜ける際に足を大

  きく伸ばし強く踏み込むので、股関節屈曲・膝伸展で体幹は回旋(股関節内旋)という肉離れが

  起きやすい状況になる。
 ・野球選手は疾走距離が長くても前傾姿勢のまま走ることが多いが、地面を押す局面(走り方)ば

  かりでスピードを上げようとすると、肉離れは起きやすい。投げる距離によって投げ方が変化す

  るのと同じように、走る距離によって走り方も変わることを理解する必要がある。投げる動作と

  同様に、走る動作も個々の走技術の特性を理解して、画一的でない指導が必要である。


4.トレーニング、食事改善による予防
 ・肉離れの件数は2015年の11例から、一軍では2例に、二軍では0になった。(目標は、マニュア

  ルの冒頭の「肉離れ ゼロへ」)
 ・トレーニングでは、スパイクでの全力疾走、方向を変えるアジリティ、ストレッチショートニン

  グサイクルで下腿部に刺激を入れるジャンプトレーニングという、全力疾走・アジリティ・ジャ

  ンプという3つの要素を取り入れた。実施はウォームアップ直後に入れた。
 ・食事改善では、電解質の確保のため水分補給はスポーツドリンク、カフェインを含む緑茶は避け

  る。体脂肪はリスクファクターになるため、キャンプ中の食事の献立はホテルと協力して考え

  る。また、寮や練習場などでの食事の献立も見直している。


5.ケガにつながるものは私生活まで網羅
 ・障害予防は、選手や医療スタッフを含め、現場にいるすべての人の仕事である。なぜなら、ケガ

  の原因は現場にいる人間しかわからないためである。
 ・試合時の気温・湿度・気候や練習量、また長距離移動した直後だったかなどの状況を見落とさな

  いことが重要である。
 ・選手の体調や日々変わるので、それを選手が自覚できるか。今の疲労や身体コンディションをど

  う考えるかが重要であり、マニュアルにはシーズン以外についても書かれており、ストレッチや

  トレーニング、食事、睡眠、入浴、メンタルなどすべて網羅している。
 ・ちょっとした不調なら自ら治す能力が人間にはあるが、煙草やアルコール、カフェイン、ファス

  トフード、不規則な生活は体調を崩す。選手自身の私生活が悪ければ成功にはつながらない。セ

  ルフコンディショニングが重要となる。

サッカーの足首損傷、予防プログラムで40%減

これはエムスリー(https://www.m3.com)という医療情報等を提供されているサイトの医療ニュースになります。

4121人の男女サッカー選手を含む10件のランダム化比較試験(RCT)のレビューから、足関節損傷の予防プログラムにより同リスクが40%軽減するとの結果が明らかになった。サッカー選手の足関節損傷に対する予防的介入の有効性を示した研究は初めて。米国では年間22万7700人がサッカー関連外傷で治療を受け、このうち足関節損傷患者は3万6300人を超えると見られている。米国整形外科学会(AAOS)が9月7日、Journal of Bone and Joint Surgery誌の掲載論文を紹介した。
今回の検討では、足関節損傷予防プログラムを検討した10件のRCTから、男女サッカー選手4121例のデータを解析。予防プログラム導入により、足関節損傷リスクが40%減少することが判明した。評価対象となったRCTは、足関節損傷を予防するための運動として、神経筋運動、固有受容性運動(バランス)、筋力強化運動、ストレッチ運動の有効性を検討したもので。装具やテーピングなどの外部サポーターについては検討していない。
研究グループは「今回の新たな知見が医師による患者へのエビデンスに基づく指導の裏付けとなる他、選手の負傷リスク低減を目指すコーチや選手の意思決定にも役立つだろう」とコメントしている。』

発信元(http://newsroom.aaos.org/media-resources/news/prevention-programs-significantly-reduce-ankle-injuries-in-soccer-athletes.htm)

 

この記事に書かれた内容を詳しく知りたいと思い、たどりついたサイトが下記になります。

左側の種目の中からSoccerをクリックすると、「予防法(HOW CAN SOCCER INJURIES BE PREVENTED?)」として11項目あり、例えば「使い過ぎ(Avoid overuse injuries)」では5つのポイントが指摘されています。
・練習量が多いということは必ずしも良いことではない。
・スポーツ医療関係者は毎年、オフ期間を取ることを推奨している。
・若いアスリートは「練習しすぎ」という誘惑に負けないようにする。
・自分の体調変化を意識し、もし痛みや嫌な感じがあるようなら、練習時間や強度を下げる。
・これらのことにより、怪我のリスクを下げ、そして燃え尽き症候群やオーバートレーニング症候

 群といった問題を避けることができる。

 

英語のサイトではありますが、日本では見かけない情報サイトのためご紹介させて頂きました。

 

 

スポーツ医について

スポーツ医とは、日本整形外科学会発行の「スポーツ医へのかかわり方」によると、
「スポーツが好きで、スポーツをする方々の気持ちを理解し、そのサポートをすることに喜びを持って、スポーツ外傷・障害の治療、予防、競技力向上などに医学的な面から取り組んでいる医師です。」と説明されています。

また、日本には、「日本整形外科学会認定スポーツ医」、「日本医師会認定健康スポーツ医」、「日本体育協会公認スポーツドクター」という3つの資格があります。
これらの3つの資格に共通しているのは、25単位(25時間)の基礎講習を受講するということですが、それぞれには特色がありますのでご紹介させて頂きます。

日本医師会認定健康スポーツ医
応募資格 : 医師経験年数は問わない
講習科目 : 25単位
健康スポーツ医とは 
 国民の健康増進に対する要望が高まるにつれて、発育期の幼児、青少年、成人、老人等に対する 運動指導を含めて地域保健の中でのスポーツ指導、運動指導について、医師の果たす役割はきわめて大きい。地域社会において運動への関心が高まってきていることや、特定健診後の保健指導における運動指導が重要であることから、運動を行う人に対して医学的診療のみならず、メディカルチェック、運動処方を行い、さらに各種運動指導者等に指導助言を行い得る医師として日本医師会が養成した医師。
特徴
 ・内科、眼科、耳鼻科、脳外科などの各専門科の医師がいる。
健康スポーツの紹介

ホームページでは紹介されていないため、各都道府県の医師会に問い合わせする必要があります。


日本整形外科学会認定スポーツドクター 
応募資格 : 整形外科専門医取得が前提条件
講習科目 : 25単位
特徴
 ・整形外科専門医になるには、整形外科の研修認定施設で一定期間の仕事を行い、その後、症例

  レポート、試験、面接などをへて合格することが前提条件。
 ・認定スポーツ医以外の分野がある。(日整会認定リウマチ医、日整会認定脊椎脊髄病医、日整

  会脊椎内視鏡

認定スポーツドクターの紹介

都道府県検索では責任者(院長等)と施設名(病院等)。「詳細」をクリックすると、住所、連絡先、ホームページ、診療上得意とする分野・身体部

                     位、スポーツ種目等が表示されます。


日本体育協会公認スポーツドクター 
応募資格 : 医師経験年数問わず。但し、医師経験年数5年を満たしている必要がある。
講習科目 : 基礎(25単位)の他、日本体育協会が独自に行っている、応用(27単位)がある。
スポーツドクターの役割
 スポーツ関係臨床医として、スポーツ医・科学に関する知識を有し、スポーツマンの健康管理と競技力向上の援助、スポーツ障害・外傷の診断、治療、予防などにあたる。また、競技会等における医事運営やチームドクターとしてのサポートなど、スポーツ活動を医学的な立場からサポートする。
特徴
 ・メディカルコンディショニング資格の中の1つである。他に「アスレティックトレーナー」、

  「スポーツ栄養士」、「スポーツデンティスト」がある。
 ・基礎講習に加え、応用講習が用意されており育成プログラムが充実している。

 ・下記がホームページに掲載されている講習内容です。上段の「基礎」は3団体共通です。

公認スポーツドクターの紹介

地図(都道府県)・種目・科目・キーワードで探せるので非常に使い勝手に優れています。

怪我の連鎖を考える

小学6年生の夏までは怪我知らずでした。

怪我がサッカーの邪魔をし始めた最初の出来事は、膝下の脛骨粗面の軟骨が過度な運動等により炎症し隆起する、オスグッド・シュラッテル病でした。これは成長期によくみられるものです。


それ以降、特に大学の4年間は練習できたのは半分以下だったように思います。選手として全く情けないものでした。

何故、これほど怪我をすることになってしまったのか、この悪しき経験は同じような境遇の選手には参考になることもあるだろうと考え、自分なりに背景や原因などを考え整理してみました。

 

抽象的ではありますが、下記がまとめた内容です。
問題点は、「怪我に対する意識の低さ」、「精神のアンバランス」、「肉体のアンバランス」の3つです。対策は青色で囲ったなかに、それぞれ3点ずつ書いていますが、要約すると「客観的に自分の体と心を把握」し、「客観的にチーム内で今、自分は何をすべきか」を理解し、納得し、そして行動することだと思っています。

なお、参考までに主な怪我の既往歴をご紹介させて頂きます。
1.1970年:12歳(小学6年生)
 ・オスグッド・シュラッテル病

  ・整形外科にて、先生に「何か効果のある治療法はないですか?」と質問したところ、

   「問題の軟骨にドリルで穴を開ける手術があるが。。。」
   とのお話があったため、特に迷うこともなく、その手術を行いました。

   当然、麻酔はかけられたのですが、その痛みは大変なもので、激痛にランクされる痛みだっ

   たと思います。

   手術後の状態はあまり変わらず、筋力低下が1番の原因と思いますが、中学1年の50m走では

   身長が5cm程伸びたにも関わらず、1年前より0.4秒遅くなってしまいました。

   また、その後の怪我との関連性は不明ですが、怪我の連鎖に足を踏み入れてしまったことを
   考えると、この手術は良い選択ではなかったかも知れません。
  ・ちなみに、オスグッド・シュラッテル病は大腿四頭筋の筋疲労の状態が長く続くことが原因

   となるので、鍼灸治療で大腿四頭筋中心に、裏面のハムストリングスや腰殿部の緊張を緩め

   ることにより予防ができます。

 

2.1975年:17歳(高校2年生)
 ・足首のくるぶし(内果)の骨折(ヒビ) ※多分左足(通常左足着地なので)

  ・サッカーの試合中、ヘディングで着地したときに、「バキッ」と音がしてプレー続行不能に

   なりました。
   捻挫の経験はあったため、「この痛みはヒビだな。」と恐れつつ、近所の整形外科でレン

   トゲン写真を取ったところ、「捻挫だね。」と一言。心の中で「それはないだろう!」と

   意外な診断にびっくりし、翌日、電車で15分程離れた少し有名な病院(多分、西川口だった

   と思います)で診て頂いたところ、「骨折」とのことでした。
   この時、「お医者さんも絶対ではないのだ。」ということを知りました。

 

3.1975年:17歳(高校2年生)
 ・右足大腿二頭筋(太ももの裏面外側)筋断裂

  ・数々の肉離れを経験しましたが、音を感じたものはこれだけです。
  ・この怪我はおよそ縦横2x1cm程のしこりとして長い間、思い出のように存在していました

   が、代々木の研修生時代に仲間に運動鍼(数本刺鍼した状態で、他動で数回筋を動かすとい

   う手技。他動とは施術者が行うもので、患者は脱力し筋肉に力を入れることはしません)を

   やってもらい、ほぼ、なくなりました。このように肉離れ等の古傷はかなり改善できます。

 

4.1979年:21歳(大学2年生)
 ・右肩関節脱臼

  ・高難度の筋トレを1度成功させ、調子にのって2回目を行ったところ、何と脱臼!

   「肩がねぇ」と大笑いしているチームメートに連れられ、自分の左手で右肘を固定しながら

   近くの整形外科に歩いて来院。麻酔注射を打たれ、無事元におさまりました。

   愚かな行為を深く反省しました。

 

5.1980年:22歳(大学3年生)
 ・左膝前十字靭帯断裂

  ・左サイドからカーブをかけて低い軌道のセンターリングの練習中に、キック直前でボールが

   イレギュラーバウンドし、左足にわずかに当たるもほぼ空振り状態となり、負傷、あまりの

   痛さにグランドを転げまわってしまいました(痛みには自信があったのですが)。
   1、2年前の膝の内側側副靭帯損傷の時と異なり、3日、4日と日がたっていくと腫れも徐々に

   引いていき、痛みも大したことがなく「これは軽症だったのでは?」と期待してしまい、

   確か2週間程度で練習を再開しました。しかし、激しくクイックな上体の動きに足がついてい

   けず、膝をひねってはグラウンにうずくまるという情けない事態を繰り返す結果となってし

   まいました。

   このことにより、前十字靭帯が切れているのだろうということを覚悟しました。
   当時は十字靭帯断裂の場合、復帰はできて1年という状況であり、この怪我が大学3年の夏の

   終わりだったため手術するという選択肢はなく、また、将来医学が進歩すれば、優れた手術

   方法で、それ程入院することなく完治できる日が来るだろうという思いも少しありました。
   ちなみに、手術は13年後の1993年、原因は半月板損傷でまともな歩行ができなくなったた

   め、膝の権威であった横浜港湾病院の高沢先生に半月板の部分切除と問題の前十字靭帯の再

   建手術を実施して頂きました。

   入院は3週間で13年前に比べ、手術による切開の大きさは1/3程度で済んだと思います

   (友人比較)。
   なお、靭帯断裂後もテーピングをして、都リーグに加盟している自分の会社のチームでサッ

   カーを続けていました。
  ・トレーナーなどが充実した現在では、このようなお粗末な話はないと思いますが、受傷時は

   激痛だがその後は比較的順調と感じた時は、靭帯にしろ腱にしろ完全に切れていると考えた

   方が良いと思います。 

大昔の1993年5月でしたが、既に35歳になっていました。横浜港湾病院は有名なスポーツ選手が数多くお世話になっており、私が入院していたときは、プロスキーヤーの木村公宣選手がいて、術後のリハビリ期間にもかかわらず、相当な重量のバーベルをかついでスクワットをガンガンやっていました。

また、部屋にはサーファー、プロスキーヤー、バレーおよびバスケの実業団選手、そして中学生(体操)がいて、不思議な雰囲気の楽しい入院生活でした。